ザ・フィフス・ディメンション完全ガイド:代表曲・名盤と五声ハーモニーの聴きどころ
The 5th Dimension — プロフィール概要
The 5th Dimension(ザ・フィフス・ディメンション)は、1960年代後半から1970年代にかけて活躍したアメリカの男女混成ボーカルグループです。コアメンバーにはマリリン・マクー(Marilyn McCoo)、ビリー・デイヴィス・Jr.(Billy Davis Jr.)、フローレンス・ラルー(Florence LaRue)、ラモント・マクレモア(Lamonte McLemore)、ロン・タウソン(Ron Townson)などがいます。ポップ、ソウル、ゴスペル、ジャズの要素を取り入れた洗練されたハーモニーと、ストリングスを含む豪華なアレンジで商業的成功を収め、代表曲はいくつもチャート上位に入っています。
成り立ちと活動の流れ
1960年代半ばに結成され、ロサンゼルスの音楽シーンで成熟していったグループです。チームは良質な楽曲セレクション(Jimmy Webb、Laura Nyro、Burt Bacharach / Hal David らの楽曲を取り上げることが多かった)と、プロデューサー/エンジニアとの密接な制作で独自のサウンドを作り上げました。特に1967年以降、"Up, Up and Away"、"Stoned Soul Picnic"、"Aquarius/Let the Sunshine In"、"Wedding Bell Blues"、"One Less Bell to Answer" などのヒットで広く知られるようになりました。彼らの功績は複数のグラミー賞受賞にも結びついています。
サウンドと魅力の核
- 五声ハーモニーの完成度
男女混成ならではの幅広い音域を活かした五声ハーモニーが最大の魅力。リードとバックのバランス、声質のコントラストを活かしたアンサンブル感は抜群で、曲ごとに異なる“表情”を作り出します。
- 楽曲セレクションのセンス
Jimmy Webb や Laura Nyro、Bacharach/David など、ソングライターの選曲眼が光ります。ポップでありながら歌詞やメロディに深みがあり、大人のリスナーにも刺さる楽曲が多いのが特徴です。
- 洗練されたプロダクション
ストリングスやブラスを織り交ぜたオーケストレーション、コーラスと楽器の緻密な配置。ポップスとしての耳当たりの良さと、ソウル/ジャズ的な大人っぽさを両立させています。
- パフォーマンスの魅力
テレビ出演やライブでの視覚的な演出や衣装、洗練された振る舞いも彼らの魅力の一部。マリリン・マクーのリードボーカルの存在感(特に女性パート)は、グループの“顔”としての役割を果たしました。
- 時代性と文化的影響
1960年代後半の“希望”や“変化”を象徴する楽曲(例:"Aquarius/Let the Sunshine In")で若い世代にも影響を与えつつ、大衆音楽のクロスオーバーを実現した点で重要な役割を果たしました。
代表曲と名盤の紹介
- "Up, Up and Away"(1967)
Jimmy Webb 作の代表曲。爽やかで希望に満ちたメロディと華やかなアレンジが印象的。グループにとってのブレイク曲の一つで、複数のグラミー受賞にも繋がりました。
- "Stoned Soul Picnic"(1968)
Laura Nyro の楽曲を取り上げたカバー。ソウルフルな雰囲気とアンサンブルの豊かさがよく表れたナンバーです。
- "Aquarius/Let the Sunshine In"(1969)
ミュージカル『Hair』の曲を組み合わせたメドレーで、当時の文化的ムードを象徴する大ヒット。ポップ・カルチャーにおける“時代の歌”の一つとなりました。
- "Wedding Bell Blues"(1969–70)
Laura Nyro 書き下ろしの曲を取り上げ、マリリン・マクーの歌唱で大ヒット。ポップでキャッチーな女性ヴォーカルの魅力を前面に出した楽曲です。
- "One Less Bell to Answer"(1970)
Burt Bacharach / Hal David の楽曲を取り上げたバラード。表現力豊かなリードとアレンジの繊細さが聴きどころです。
- おすすめアルバム
- Up, Up and Away(アルバム、1967) — グループの初期の魅力が詰まった一枚
- The Magic Garden(1967) — Jimmy Webb の楽曲群を軸にしたコンセプト色の強い作品
- Stoned Soul Picnic(1968) — 多様な楽曲を収めた名盤
- Portrait / The Age of Aquarius(1969–1970)あたり — ヒット曲を多数収録
魅力を深掘り:聴きどころと楽しみ方
- ハーモニーに注目して聴く
同じ曲でもリードが替わる部分やコーラスのレスポンスを意識すると、5人の声の重なりと役割分担が鮮明に見えてきます。
- アレンジの細部をつぶさに追う
イントロのストリングス、ブリッジの転調、小節ごとのコーラスの刻みなど、プロダクションの凝り具合が味わえます。
- オリジナルとカバーを比較する
Laura Nyro や Jimmy Webb の原曲(または他アーティストのカバー)と聴き比べると、The 5th Dimension が楽曲に与えた色付けがよく分かります。
- 歌詞と時代背景を合わせて読む
特に"Aquarius/Let the Sunshine In"のような楽曲は当時の社会的ムードと結びつくため、時代背景を知ると理解が深まります。
メンバーのその後と遺産
グループとしての活動の他、マリリン・マクーとビリー・デイヴィス・Jr.はデュオとしても成功し、テレビ出演やソロ活動でも注目されました。The 5th Dimension のスタイルは後続のアーティストにも影響を与え、ポップとソウルの架け橋としての位置付けを確立しています。
まとめ
The 5th Dimension は、卓越したハーモニー、選曲センス、洗練されたプロダクションによって1960〜70年代のポップ・シーンで独自の地位を築きました。一聴で耳に残るメロディと、聴き込むほどに味わいが増すアレンジを持ち合わせており、年代を問わず楽しめるグループです。代表曲や名盤から入り、ハーモニーやアレンジの細部に目(耳)を向けると、彼らの魅力をより深く味わえます。
参考文献
- AllMusic: The 5th Dimension — Biography & Discography
- Britannica: The 5th Dimension
- Grammy.com: The 5th Dimension — Artist Page
- Discogs: The 5th Dimension — Discography
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