Steve Hackett(スティーヴ・ハケット)入門ガイド:ジェネシス期からソロ名盤・聴きどころ解説

Steve Hackett — プロフィール

Steve Hackett(スティーヴ・ハケット、1949/1950年代生まれの英国ギタリスト/作曲家)は、プログレッシブ・ロックの重要人物の一人として知られます。1971年にジェネシスに加入し、1977年に同バンドを離れるまでの期間に、バンドのサウンドに決定的な「ギターの声」を与えました。脱退後はソロ活動を続け、クラシック、フォーク、ワールドミュージック、アンビエントなど多様な要素を取り込んだ作品群を発表しています。近年も精力的に創作・ツアー活動を続け、世代を超えて支持を集めています。

ハケットの魅力を深掘りする

1) メロディを語るギタリスト

ハケットのギターは「リフを刻む」よりも「旋律を歌わせる」ことを重視します。単なるテクニック自慢に終わらない、歌心のあるフレーズ作りが最大の魅力。短いフレーズの中にも物語性があり、ボーカルやキーボードと対話するように楽曲のドラマを押し進めます。

2) テクニックと表現のバランス

ハケットは多様な奏法を駆使します。フィンガーピッキング(クラシック/ナイロン弦の使用も多い)、ハーモニクス、トレモロ、二重奏的なアルペジオ、そして初期プログレ期から取り入れていたタッピング的なアイディアなど。だが最も重要なのはどれも「曲のための技術」に収められている点で、過剰な技巧主義に陥りません。

3) 多ジャンルを横断する作曲性

ソロ作ではクラシック風の小品、アコースティックによる地中海的な曲、エレクトロニクス/アンビエントを取り入れた曲、ロック寄りのアップテンポ曲まで振れ幅が大きい。楽曲のモチーフに文学や風景、旅の情景を選ぶことが多く、聴き手に具体的な情景イメージを与えます。

4) サウンドメイキングとアレンジ眼

ハケットは単にギターを弾くだけでなく、アレンジャー/プロデューサーとしての視点も強いです。ギター・レイヤーの重ね方、エフェクトの選択、ストリングスや民族楽器の配置などで、曲の色合いを巧みに変えていきます。最近の作品ではオーケストレーションやゲスト奏者を起用した多層的なサウンドが特徴です。

代表曲・名盤(入門〜深掘り向け推薦)

  • Genesis時代の代表作(ハケットのプレイが光る)

    • 「The Musical Box」(Nursery Cryme)— 初期プログレの劇性と物語性。ハケットのギターで物語が展開する例。
    • 「Firth of Fifth」(Selling England by the Pound)— ハケットの古典的名ソロが聴ける名曲。メロディと技巧の見事な融合。
    • 「Supper's Ready」(Foxtrot)— 大作でのドラマティックなギター表現、セクションごとの演奏の使い分け。
  • ソロ名盤(多面的なハケットを知る)

    • Voyage of the Acolyte(1975)— ソロ初期作。メロディアスで新しい地平を示したアルバム。
    • Spectral Mornings(1979)— タイトル曲「Spectral Mornings」はハケットのソロ代表曲。メロディの美しさ、演奏の繊細さが詰まる。
    • Bay of Kings(1983)— アコースティック/クラシックギター主体の作品。彼のクラシカルな側面を知るのに最適。
    • Guitar Noir / To Watch the Storms / Wolflight(代表的な中〜近年作)— 現代的プロダクションと成熟した作風。近年作ではオーケストレーションやゲストが加わり、より映画的・叙情的。
  • リイマジネーション/ライブ

    • Genesis Revisited(シリーズ)— ジェネシス楽曲をハケット流に再構築したプロジェクト。オリジナルへの敬意と新解釈が両立しています。
    • 各種ライブ盤— スタジオ盤とは別に、ライブでの即興性やアレンジ替えを楽しめます。

聴きどころのポイント(曲を聴く際のガイド)

  • メロディに注目:ギターが“歌う”瞬間を見つけるとハケットの魅力が一番伝わります。
  • アレンジの細部:効果音やストリングス、ピアノがギターとどのように絡むかを聴くと新しい発見がある。
  • ソロとバッキングの役割分担:ハケットは時にサウンドスケープを作る側になり、また時に主旋律を担う。役割の切り替えを追いかけると面白いです。

影響とレガシー

ハケットはプログレッシブ・ロックのギタリスト像を広げた一人です。単なる“速弾き”や“轟音”による表現だけでなく、クラシック的な指使い、フレーズの作り方、楽曲に即した音色選びなど、多くの後続ギタリストに影響を与えました。現代のプログレ系ギタリスト、アコースティック系のプレイヤー、作曲家志向のギタリストに特に大きな影響があります。

これから聴く人へのオススメ順

  • まずはジェネシスの代表曲(上記)でハケットの初期プレイを知る。
  • Spectral Mornings や Voyage of the Acolyte を聴いてソロの世界観に入る。
  • Bay of Kings でクラシカル/アコースティック面を見る。
  • Genesis Revisited 系や近年のアルバムで現代的なプロダクションと最新の表現を味わう。

最後に(ハケットを楽しむコツ)

Steve Hackett の音楽は「一度で全てを把握できる」ものではありません。細かなアレンジや演奏表現が曲の奥に隠れていることが多く、繰り返し聴くことで新しい層が見えてきます。歌心あるギター、ジャンルを横断する作曲センス、そしてライブでの表現力──これらが組み合わさることで、彼の音楽は年齢や嗜好を越えて魅力を放ち続けます。

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