Azymuth完全ガイド:ブラジル発サンバ×ジャズ×ファンクの名盤と聴きどころ

Azymuth — ブラジルの“サンバ・ファンク”を極めたトリオのプロフィール

Azymuthはブラジル、リオデジャネイロ出身のジャズ/ファンク/ブラジリアン・グループ。キーボード、ベース、ドラムのトリオ編成で、サンバやボサノヴァのリズム感を土台に、ジャズの即興性とファンクのグルーヴ、エレクトリック鍵盤やシンセによるモダンなテクスチャを融合させた独自のサウンドで知られます。

結成当初からの主なメンバーは、キーボーディストのジョゼ・ロベルト・ベルラミ(José Roberto Bertrami)、ベーシストのアレックス・マリエイロス(Alex Malheiros)、ドラマーのイヴァン“ママォン”コンチ(Ivan “Mamão” Conti)。3人の緻密なアンサンブルと各自の個性的な演奏が、Azymuthの核を成しています。

歴史とキャリアの概略

  • 1970年代にブラジル国内で活動を開始し、国内外で徐々に評価を高めた後、長年にわたりコンスタントに作品を発表。

  • アルバムやシングルを通じて一貫して示された「ダンサブルでありながらジャジー」「土着リズムにモダンなプロダクションを重ねる」姿勢が、クラブやリスニングの双方で支持を獲得。

  • その音楽はアシッドジャズ、ラテン・ファンク、ヒップホップ/エレクトロニカのプロデューサーたちにもインスピレーションを与え、サンプリングやリワークでも取り上げられています。

サウンドの特徴 — なぜ聴く者を惹きつけるのか

  • リズム感:ブラジルのサンバ/ボサの発想を土台にしながら、ドラムの“間”とフィーリングをファンクのグルーヴと結合。軽やかな浮遊感とタイトなビートが同居します。

  • ベースライン:アレックス・マリエイロスのベースはメロディックかつリズミカル。単にリズムを支えるだけでなく、楽曲のフックとして前面に出ることが多いのが特徴です。

  • 鍵盤/シンセ:ベルラミのエレクトリックピアノ(ローズ等)やアナログ/デジタル・シンセの使い分けが独特の“ブラジリアン・ジャズ・フューチャー感”を作り出しています。スペーシーなパッドとシャープなリフのコントラストが魅力。

  • アレンジとプロダクション:シンプルながら効果的なアンサンブル配置、余白を生かしたミキシング、民族楽器やパーカッションのさりげない挿入で、都会的かつ温かみのある音像を構築します。

代表曲・名盤(入門ガイド)

Azymuthのディスコグラフィは長く、多くの編集盤やベスト盤も出ています。まずは以下の曲・アルバムから入ると、バンドの魅力が掴みやすいでしょう。

  • 代表曲:「Jazz Carnival」 — バンドを象徴する一曲。高揚感のあるメロディとサンバ寄りのリズムが特徴で、クラブやラジオでも広く知られるフック曲です。

  • 初期のセルフタイトル作品(セルフタイトル/デビュー作) — トリオとしての基本が確立された作品群。ここからAzymuthらしい「ブラジル×ジャズ×ファンク」の骨格を確認できます。

  • 編集盤/ベスト:『Jazz Carnival - The Best of Azymuth』など — 長年の活動を手早く俯瞰するのに便利。シングルヒットからアルバム曲までバンドの変遷を追えます。

  • 近年の作品(2000年代以降の再評価期のアルバム) — 伝統を踏まえつつ現代的なサウンドプロダクションが加わり、新たな世代のリスナーにも聴きやすくなっています。

(補足)Azymuthの作品はオリジナル盤、再発、コンピレーションなど形態が多岐に渡るため、聞く目的(ダンス寄り/リスニング寄り/コレクション)に合わせて盤や配信版を選ぶと良いでしょう。

音楽的な深掘り:聴きどころを具体的に解説

  • イントロ/間(あいだ)の使い方:楽曲の冒頭で余韻を残す短いフレーズや、ブレイクでの“間”の取り方が洗練されており、リズムの開始点に微妙なずらしを作ることでグルーヴが生まれます。

  • モード的なメロディ:単純なコード進行でもモード感のある旋律を乗せることで、聴き手にジャジーな浮遊感を与えます。ローズやシンセの音色選定がこれを際立たせます。

  • ダイナミクスのコントロール:トリオ編成のため音数は多くない一方で、各楽器の音量・フレーズの密度を巧みに変化させることで曲の起伏をつけています。小編成ならではの“余白の美学”がある。

影響と遺産:なぜ現代のクリエイターが注目するのか

  • サンプリング文化との相性:リズミカルでタイム感が良く、シンセやエレピの音色が特徴的なため、ヒップホップやハウス、エレクトロニカのプロデューサーたちにサンプリングされることが多い。

  • クロスオーバー性:民族音楽的な要素とクラブミュージック的なビートの橋渡しをし、ジャズ・リスナーだけでなくダンスフロア、ラウンジ系、アンビエント好きにも届く普遍性を持つ。

  • リイシューと再発見:CDやアナログの再発、ストリーミング配信、リミックスを通じて新しい世代に再評価され、国内外でのライブ/フェス出演やコラボレーションが続いています。

聴き方の提案 — 初めて聴く人へのガイド

  • 集中して聴く:まずはヘッドフォンでベースとドラムの絡み(グルーヴ)に注目。低域の動きが曲の芯を作っています。

  • 繰り返しで発見:一度の試聴で捉えきれない“間”や細かな装飾音は、リピートで新たな発見があります。ジャズ的な即興性が聴きどころです。

  • プレイリスト:テンポ感の近い曲や同時代のブラジリアン・ジャズ/フュージョンと組み合わせると、Azymuthの位置づけが分かりやすくなります。

コラボレーションと個々の活動

各メンバーはAzymuth以外にもサイドプロジェクトやセッションワークを行っており、ブラジル国内外のミュージシャンと共演歴があります。これがAzymuthの音楽に多様性を与え、トリオのサウンドを進化させる一因になっています。

まとめ — 時代を越えて響く“軽やかな強度”

Azymuthの音楽は、表面的には軽やかで明るく聞こえますが、実際には高度な演奏力と緻密な構成、そして洗練された音作りを内包しています。そのバランス感覚が、多様なリスナー層や後続の音楽家たちに愛される理由です。まずは代表曲やベスト盤から入り、気に入ればアルバム単位で深掘りしていくのがオススメです。

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