Jan Hammer入門:必聴おすすめ名盤7選+シンセ&Miami Viceの聴きどころ解説

Jan Hammerとは

Jan Hammer(ヤン・ハマー)はチェコ出身のキーボーディスト/作曲家で、1970年代のジャズ・フュージョンやシンセサイザー音楽に大きな足跡を残しました。ジョン・マクラフリン率いるMahavishnu Orchestraでの強烈なインタープレイ、ソロでの実験的なシンセワーク、そして1980年代のテレビドラマ「Miami Vice」のサウンドトラックで広く知られるようになりました。本コラムでは、入門から深掘りリスニングに最適な“おすすめレコード”をピックアップし、それぞれの聴きどころや位置づけを解説します。

おすすめレコード一覧(要チェック盤)

  • Mahavishnu Orchestra – The Inner Mounting Flame (1971)

    なによりもまず聴くべき歴史的名盤。ジョン・マクラフリンの超絶ギターとともに、ヤン・ハマーのオルガン/初期シンセがフュージョンにロック的なエネルギーを注ぎ込みます。代表曲「Meeting of the Spirits」など、テンション高いアンサンブルとソロの応酬が続く一枚で、ハマーの若き破壊力と音色センスを知るには最適です。

  • Mahavishnu Orchestra – Birds of Fire (1973)

    より構造化され、アグレッシブさが進化した2作目的名盤。タイトル曲「Birds of Fire」をはじめとした緊迫感ある楽曲群に、ハマーのシンセによる空間的テクスチャーが重要な役割を果たします。プログレッシブでありながらスピード感のある演奏が魅力で、ハマーのサウンド・デザイン能力を学ぶのにふさわしい作品です。

  • Jan Hammer – The First Seven Days (1975)

    ハマー初期のソロ代表作。創世記をモチーフにしたコンセプト的な構成で、ロック、ジャズ、シンセ主導のアンビエンスが混ざり合う野心作です。ほとんどを自ら演奏・プロデュースしており、当時のシンセサイザー/マルチトラック技術を駆使したサウンドスケープが堪能できます。ソロ作品としての創造性と音色探求が光る一枚です。

  • Jan Hammer – Oh Yeah? / Black Sheep(1970年代のソロ作群)

    中期ソロ作群は、よりメロディックでロック/ポップの要素が増え、フュージョン系リスナーのみならず広い層にアピールする内容になっています。ハマーのシンセ・リード、メロディメイク、そして時にポップな構成が目立ち、〈シンセをフロントに据えた楽曲作り〉の好例としておすすめです。盤ごとに雰囲気が異なるので聴き比べが楽しい時期でもあります。

  • Neal Schon & Jan Hammer – Untold Passion (1981)

    Journeyのギタリスト Neal Schon とのコラボレーション作。ロック寄りの曲調にハマーのシンセが鮮烈に絡み、メロディ面での魅力が前面に出た1枚です。ギターとシンセという分かりやすいフロント陣の対比で、ハマーの“歌もの的”な側面を知るのに向いています。

  • Miami Vice 関連(TV音楽/サウンドトラック)

    1980年代、ハマーはテレビシリーズ「Miami Vice」のメイン作曲家として一気に一般層にも知られるようになりました。特に「Miami Vice Theme」はシンセ主導のインスト曲として世界的ヒット(米国チャートで1位を獲得)し、映画的で夜の都市をイメージさせる音作りはその後のテレビ/映画音楽にも大きな影響を与えました。代表曲「Crockett's Theme」などは単独のシングルやコンピにも収録されているため、サントラ系でハマーの“映像音楽家”としての側面を楽しめます。

  • Jeff Beck – Wired (1976)(客演/コラボレーション)

    ギタリスト Jeff Beck の傑作アルバムで、ヤン・ハマーはキーボード/シンセで重要な役割を果たしています。ギターとシンセの相互作用が際立つ楽曲が多く、ハマーの即興力やサウンド・アレンジの巧みさがロックの文脈でも映える好例です。フュージョンとロックのクロスオーバーを体感できます。

各アルバムの聴きどころ(ポイント解説)

  • 演奏の“緊張感”に注目:Mahavishnu Orchestra 時代の録音はテンションの高さが特徴で、複雑なリズム&ハーモニー上でのハマーのキーボード・フレーズは“攻めのテクスチャー”として効いています。

  • 音色選びと音響設計:ソロ作やサウンドトラックでは、ハマーの音色構成(アナログシンセやフェイザー、リバーブの使い方)が楽曲の核になっています。楽曲ごとの“空間の作り方”に注目すると違いがよく分かります。

  • メロディとムードの幅:80年代以降のTV音楽では短いフレーズで強いイメージを作る技術が光ります。一方で70年代の作品は長尺の中でテーマが展開していくため、作曲家としての深さを感じ取れます。

  • コラボレーション作品を見る目:Jeff Beck や Neal Schon との共作は、ハマーのプレイが“他のソロイストとどう対峙するか”を知る良い教材です。ギター主導の楽曲でのハマーの立ち回り(支えるのか、対等に切り込むのか)を聴き分けてみてください。

入手・聴きどころのアドバイス(音楽的観点)

初めてハマーを聴くなら、まずはMahavishnu Orchestraの代表作で“破格の演奏力”を体験し、その後にソロ作でハマー個人の音作りと作曲センスを辿るのが王道です。ポピュラー指向を求めるならMiami Vice関連曲やNeal Schonとの共作から入ると親しみやすいでしょう。作品ごとに音楽的コンテクスト(ジャズ・ロック、フュージョン、サウンドトラック)を意識して聴くと、ハマーの多面性が見えてきます。

補足:レア盤や編集盤に関して

オリジナルLPのプレスや初期CDは、特にマニアックなリリースが多いアーティストです。未発表音源やサントラの別バージョンが収録されたコンピ等がリイシューされることもあるので、ディスコグラフィーを確認すると新たな発見があるでしょう(詳細な版情報はDiscogs等で確認するのが便利です)。

参考文献

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