Wim Mertensのレコード入門:代表盤&聴きどころ|初心者におすすめの5作品と選び方
Wim Mertensとは — ミニマルと歌のあいだ
Wim Mertens(ウィム・メルテンス)はベルギー出身の作曲家/マルチインストゥルメンタリストで、1980年代以降に欧米で広く知られるようになったミニマル系の作家です。ピアノを中心にしたシンプルで反復的なフレーズ、しばしば言語を持たないボーカル(いわゆる「非意味語」やインストゥルメンタル・ボイス)を組み合わせるスタイルが特徴で、ポップと実験音楽、映画音楽的要素が交差する独自の音世界を作り出しています。
聴きどころの共通項
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メロディは反復と少しずつの変化で成立しており、初聴では静かでも繰り返すほどに情感が立ち上がります。
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声が“楽器”として扱われる曲が多く、歌詞の意味よりも音色・フレージングが主眼です。
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編成はピアノ単体から室内アンサンブル、オーケストラ編成まで幅広く、作品ごとに表情が大きく変わります。
おすすめレコード(深掘り解説)
1. 「Struggle for Pleasure」関連リリース(代表曲を含む盤)
「Struggle for Pleasure」はメルテンスの最も有名な楽曲のひとつで、ミニマルなピアノ・モチーフが繰り返されながらゆっくりと拡張していく名旋律です。単独でシングルとして出ていることもありますし、コンピレーションやアルバムに収録される形でも流通しています。
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聴きどころ:冒頭のシンプルなフレーズがだんだんと和音やリズムのニュアンスを伴って広がり、ドラマ性を作る構造がわかりやすく楽しめます。
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おすすめの聴き方:ヘッドフォンで中低域の余韻やピアノのタッチ感をじっくり追うと、反復のなかでの細かい変化が鮮明に聞き取れます。
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なぜレコードで買うべきか:アナログ盤はピアノの空気感や残響が豊かに出やすく、作品の「余白」がより生きます。複数の盤が出ているため、オリジナル盤とリイシューで音色の差を比較する楽しみもあります。
2. 「Maximizing the Audience」(初期作/代表的アルバム)
初期のメルテンス作品をよくまとめたアルバムで、彼の作曲美学が最も純度高く出ている時期の音源が聴けます。ピアノ中心の室内楽的アレンジから、ヴォーカルを前面に出した曲までバランス良く配置されていることが多いです。
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聴きどころ:ミニマリズム的な反復構造と、さりげない調性の変化によって湧き上がる感情の移り変わり。
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コレクター向けポイント:初期盤(オリジナルLP)は当時のマスタリングやアナログ感が魅力。リイシューはノイズ処理やリマスタリングで音像が違う場合があるため、好みで選び分けると面白いです。
3. 「The Belly of an Architect」〈映画音楽〉(サウンドトラック盤)
ピーター・グリーナウェイ監督の映画のためにメルテンスが手がけた音楽作品は、映画的なスケール感とメルテンス的なミニマル・様式の折衷が非常に魅力的です。サウンドトラックとして聞くことで彼の表現のレンジの広さがよく分かります。
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聴きどころ:空間を意識した配器、テーマの発展、そして映画的な緊張と解放の演出。単独で聴いてもドラマ性があります。
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レコードの魅力:サウンドトラックのLPはジャケットやアートワークもコレクション性が高いので、視覚と聴覚の両方で楽しめます。
4. 声を前面に出した作品群(シングルやボーカル曲が多い盤)
メルテンスの特徴のひとつは、歌(言葉)をあえて曖昧化し「音としての声」を使う手法です。こうした曲を集めた盤は、言語的な意味を追わずに声の音色やフレーズの美しさを味わいたいリスナーに特におすすめです。
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聴きどころ:発声のニュアンス、ハーモニーの成り立ち、歌と楽器の境界にある表情。
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リリース選び:ヴォーカル曲が多い盤はミックス次第で前後感が変わるので、オリジナルミックスを優先するかマスタリング済みのリイシューを選ぶかで印象が変わります。
5. 後期/拡張編成の作品(オーケストラ志向や室内楽的な拡張)
キャリアを重ねるにつれて、メルテンスはより大がかりな編成や複雑なアンサンブルを用いることも増えました。ピアノ・ミニマルの枠を超えて、より幅広い音響世界を追求した作品群です。
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聴きどころ:密度の高いアレンジ、異素材の組合せ、叙情の拡張。
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レコードとしての魅力:大編成の録音はセパレーションや空間表現が重要なので、カッティングやプレスの良好なLPを選ぶと演奏のディテールがより伝わります。
レコード購入時の実用的アドバイス(音楽的観点)
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試聴:可能なら試聴または音源のサンプルを確認して、ピアノのタッチ感や余韻が好みかを確かめること。メルテンスの音楽は音の「余白」が重要なので、デジタル配信とアナログで印象が大きく違うことが多いです。
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オリジナル盤とリイシューの比較:オリジナルLPは当時のマスターの空気感を持つ反面ノイズが気になる場合もあります。リイシューはクリーンだが雰囲気が変わることがあるので、好みで選んでください。
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盤の選び方:ジャケットやライナーノーツに作曲ノートや録音クレジットが載っているか確認すると、編成や演奏者の情報が得られ、聴き方のヒントになります。
どのレコードから入るべきか(初心者向けガイド)
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まずは「Struggle for Pleasure」系の収録盤:代表曲に触れることでメルテンス的美学が掴みやすいです。
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次にサウンドトラック盤:映画音楽的な広がりを感じられ、構成の大きさを体感できます。
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その後、初期のピアノ中心のアルバムと、声を前に出したボーカル曲集を比較して、どの側面が好みかを見極めるとコレクションが楽しくなります。
まとめ
Wim Mertensはその一見シンプルな旋律の背後に豊かな構造と感情の高まりを秘める作曲家です。アナログ盤で聴くとその余韻や空間表現が一層際立つため、レコード収集に向いたアーティストと言えます。初心者は代表的な曲を含む盤から入り、サウンドトラックや後期の拡張編成盤に広げていくと、メルテンスの多面的な魅力を効率よく味わえます。
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