アラン・ホールズワース入門:聴き方と必聴アルバム7選(シンセアックス解説付き)
はじめに — Allan Holdsworthとは何者か
Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)は、現代ジャズ/フュージョン・ギター界における最重要人物の一人です。独自のレガート奏法、複雑かつ拡張されたハーモニー感覚、そしてギター以外にシンセアックス(SynthAxe)を積極的に導入した先進性で知られます。テクニックのみならず、音楽的な「間(ま)」や和声進行の選択が独特で、影響を受けた/受けたとされるミュージシャンは数多く、ギタリストはもちろん作曲家やフュージョン/現代ジャズの聴き手にも強く推薦されるアーティストです。
聴き方のポイント
- 単純なギター・ソロの速さやフレーズを追うのではなく、ホールズワースの「音の流れ(レガート)」、音と音の繋がり方、微妙なタイミングのずらし、そこに含まれる独特の和声(非定型なテンション)に注目すると新たな発見があります。
- シンセアックスを使用した曲では「音色のレイヤー」と「ギタリストとしての発想」が交差します。楽器のテイストが変わっても彼のフレーズ形成の美学は一貫しています。
- アルバムごとにプロダクションやバンド・メンバーが異なるので、各作の空気感やアレンジを比較しながら聴くと彼の音楽的進化が見えてきます。
おすすめ盤(解説付き)
I.O.U.(1982)
ホールズワースのソロ名義を広く知らしめた初期の重要作。エレクトリックでありながらジャズ的な自由度が高く、彼のギター語法が耳に残る1枚です。ここでの演奏はメロディの構築や独自のテンション使いがはっきりと示されており、入門にも適しています。
Metal Fatigue(1985)
タイトル曲を含むこの作品は、ホールズワースの「バンド・アンサンブル感」と作曲能力が結実した代表作の一つ。リズム隊との緻密な相互作用、ポップ過ぎないが耳に残るテーマ、ギターのテクニックと楽曲構成の両立が魅力です。フュージョン寄りのダイナミクスと、洗練されたプロダクションを楽しめます。
Atavachron(1986)
ホールズワースがシンセアックスを本格的に導入したアルバムとして知られています。シンセアックスによる音色の広がりと、彼独特のフレージングが相まって「ギターの枠」を超えた表現を生んでいます。テクスチャやサウンドデザインに興味がある人に特におすすめです。
Secrets(1989)
メロディの洗練度、ヴァラエティ豊かな曲想、そして時に内省的なムードが特徴のアルバム。ホールズワースの書く曲の「情緒」が前面に出る作品で、リスナーを引き込む語り口があります。ギター・トーンやミックスも聴きやすく、彼のエモーショナルな側面を知るのに良い一枚です。
Hard Hat Area(1993)
ロック寄りのアタック感やリズムの重心が少し変わった感触があり、より攻めた表現が聞ける作品。技術的な見せ場はもちろんのこと、バンドとしてのグルーヴ作りが評価されるアルバムです。演奏のダイナミズムに注目して聴くと面白いです。
The Sixteen Men of Tain(2000)
2000年代以降の代表作であり、晩年の創作力が凝縮された1枚。アンサンブルのバランス、曲の作り込み、サウンドメイキングすべてが高水準にまとまっており、彼の後期作を代表する名盤とされています。新旧のホールズワース像を結ぶ作品として強く推薦します。
All Night Wrong(ライブ、2002)
ライブ盤としての充実度が高く、スタジオ録音とはまた違った即興的なやりとりや熱量を体感できます。テクニックの冴えだけでなく、演奏者同士の呼吸やライブならではの空気感を楽しみたい人に最適です。
初めて聴く人に向けた再生リスト構成の提案
- ステップ1(導入): I.O.U. → Metal Fatigue(彼の基礎的な語法と作曲傾向を掴む)
- ステップ2(実験性): Atavachron → Secrets(シンセアックス導入や多様な表現を体感)
- ステップ3(深掘り): The Sixteen Men of Tain → All Night Wrong(晩年の成熟とライブの即興性を比較)
各アルバムで注目すべき聴取ポイント(技術以外)
- 和声の選び方:普通のテンションではなく、微妙に「ずれた」テンションが使われることが多い。コード・バッキングを聴くと新しい響きが得られます。
- フレーズの歌い回し:フレーズ同士の繋ぎ方、語尾の処理(減衰のさせ方や音の切り方)に独自性があります。
- バンドとのインタープレイ:ドラマーやベーシストとの間で生まれる間合いの取り方に注目すると、ホールズワースの音楽感覚がより明瞭になります。
買い方・聴きどころの注意点(リマスター等)
リイシューやリマスター盤が存在するアルバムもあります。音像やミックス感が変わることがあるため、初めて聴く場合はオリジナル盤/リマスター盤の試聴サンプルを聴き比べるのも一興です。ただし演奏自体の魅力はどの版でも失われにくいので、音質に強くこだわらないなら手軽に入手できる版で問題ありません。
最後に — なぜAllan Holdsworthを聴くべきか
ホールズワースは単に「速いギタリスト」でもなく、単に「変わった和音を使う人」でもありません。彼の音楽は演奏技術・和声知識・サウンドデザイン・表現力が融合した稀有なものです。ギターやフュージョンに興味がある人はもちろん、現代ジャズの新しい可能性を知りたいリスナーにも強くおすすめします。
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