ブラケットとは何か?建築・設備・土木で使われる支持金物の基礎知識を解説

ブラケットとは

ブラケットとは、建築・設備・土木の分野で「支持・固定・補強」を目的として用いられる金物(支持金具)の総称です。
一般にL字形やU字形などの金属製パーツで、壁・床・天井・梁などの構造体に取り付け、配管・ダクト・機器・棚・照明器具などを支えるために使用されます。

建築現場では非常に用途が広く、種類や形状も多いため、正しい選定は安全性や施工品質に大きな影響を与えます。


ブラケットが使用される主な場面

1. 配管の支持

給水、排水、空調、消火などの配管を壁や天井に固定する際に使用されます。
配管重量・水の充填重量・振動・熱膨張などを考慮してブラケットを選定します。

2. 空調ダクトの支持

ダクトを天井から吊る際や、壁掛けの支持金物としてブラケットが使用されます。

3. 機器の固定

  • ルームエアコンの室外機用ブラケット
  • ファンコイルユニット用ブラケット
  • 給湯器・ボイラーの壁掛けブラケット

など、機器設置には欠かせません。

4. 建具・棚・照明などの支持

住宅や店舗では、棚受け金物、照明器具の固定などにもブラケットが使われています。


主なブラケットの種類

L型ブラケット

最も一般的な形状で、棚受けや配管支持、軽量機器の固定など用途が広い。

U型ブラケット

配管(特に丸管)を挟んで固定する用途に多い。
吊りバンドや支持金物と併用することが多い。

アングルブラケット(アングル材)

鋼材を加工したブラケット。重荷重対応が可能で、機器架台の補強などに使われる。

サドルブラケット

丸管を半円形でしっかり支持するタイプ。配管を安全に固定できる。

空調用ブラケット

室外機や換気扇など専用設計のもの。振動対策として防振ゴムが組み込まれているものもある。


ブラケット選定のポイント

1. 耐荷重

配管・機器の重量に加え、以下の「実荷重」を考慮します。

  • 水の充填重量
  • 断熱材の重量
  • 点検作業時の付加荷重
  • 振動の有無

耐荷重を誤ると落下事故につながるため非常に重要です。

2. 材質

主な材質は以下です。

  • 鉄(亜鉛メッキ)
  • ステンレス(SUS304・SUS316)
  • アルミ

屋外や腐食環境ではステンレスが推奨されます。

3. 取付部の強度

ブラケット自体が強くても、固定先の壁・柱・梁・スラブが弱ければ意味がありません。
アンカー種類や打ち込み深さの検討も必要です。

4. 振動対策

機器や配管が振動する場合、防振ゴムや防振架台と併用するのが一般的です。


ブラケットとよく比較される支持金物

バンド

丸管を締め付けて固定する金物で、ブラケットと併用されることが多い。

吊り金具(ハンガー)

天井から配管・ダクトを吊るための金物。
ブラケットは壁・梁が主だが、ハンガーは「吊り」が主体という違いがある。

インサート

天井内に埋め込む固定金具。
インサート → 全ネジ → ブラケット → 配管といった組み合わせで使用される。


ブラケットの施工で注意すべきポイント

1. アンカーの種類選定

コンクリートアンカー、ケミカルアンカー、打ち込み式など、固定対象に応じて使い分ける。

2. 錆対策

屋外や湿気の多い場所ではステンレスや亜鉛メッキを使用し、塗装やコーキングで腐食を防ぐ。

3. 水平・垂直の調整

ブラケットの傾きは機器不良や配管勾配不良につながるため、レベル調整が必須。

4. メンテナンススペース確保

ブラケット位置が悪いと機器の点検ができなくなるため、更新性を考慮した設計が必要。


ブラケットが建築品質に与える影響

ブラケットは小さな金物ですが、建築・設備の安全性を支える重要な要素です。

メリットとしては、

  • 配管・機器の落下防止
  • 振動抑制
  • メンテナンス性の向上
  • 機器寿命の延長
  • 施工品質の安定

など、建物の信頼性に直結する役割を持っています。


まとめ

ブラケットとは、建築・設備・土木で使用される「支持・固定・補強」のための金物です。
配管や機器の設置に欠かせない存在であり、適切な種類・材質・固定方法の選定が建物の安全性や耐久性を大きく左右します。

ブラケットは小さな部材ですが、正しい理解と施工が建築品質を守る上で非常に重要です。


参考文献