エンゲルベルト・フンパーディンク入門:レコードで聴くべき名盤・必聴シングルと盤選びガイド

エンゲルベルト・フンパーディンク(Engelbert Humperdinck) — 温かい声と時代を越えたロマン

エンゲルベルト・フンパーディンクは、温かく艶のあるバリトンとオーケストレーションを基調としたロマンティックな歌唱で、1960年代後半から世界的な人気を築いた英国のポップ歌手です。ステージ名はドイツの作曲家と同名ですが、彼自身は英国出身(本名 Arnold George Dorsey)。そのレパートリーは、ジャズ/ブロードウェイの色を残しつつ、ポップスやアダルト・コンテンポラリーの定番曲を多く世に出しました。

なぜレコードで聴くべきか

  • オーケストラ演出やマイクワーク、ステレオ処理など、当時の制作技術がレコードで最もよく伝わります。

  • シングルA面の名曲群は、オリジナル盤の音色やモノ/ステレオ差で趣が変わることが多く、コレクター/リスナー双方に楽しみがあります(※機器の扱い・保管についての解説は今回は割愛します)。

  • ライヴ・アルバムやコンピレーションと合わせて聴くことで、彼の歌唱表現の幅・時代毎のアレンジ傾向が見えてきます。

おすすめレコード(名盤・必聴盤)

1) シングル「Release Me」

まずは代表曲「Release Me」。彼を一躍スターダムに押し上げた楽曲で、ショーアップされた歌唱とストリングスの効果が印象的です。シングルのオリジナル盤(1960年代の英国盤)を聴くと、当時のシングル・ミックスならではの存在感が味わえます。シンプルに彼の魅力を知るには最適な一枚です。

  • 聴きどころ:ブレイク(間奏)での弦楽器の配置、歌の抑揚。

  • おすすめの聴き方:原曲シングル→アルバム収録ヴァージョンの順で違いを比較すると当時の編集思想がわかります。

2) アルバム「The Last Waltz」(※タイトル曲を含む代表作)

タイトル曲「The Last Waltz」もまた彼の代表的なナンバー。ワルツのリズムに乗せたドラマチックな歌唱が魅力で、アルバムとしてはオーケストラの使い方や歌詞世界の統一感が特徴です。初心者には“王道”の一枚として勧められます。

  • 聴きどころ:ホーン/弦のアレンジと歌の間の呼吸、コーラス・ワーク。

  • 盤選びのポイント:オリジナル・プレスや初期ステレオ盤は音場感が自然です。再発盤はリマスターがされている場合もあるので、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。

3) 「A Man Without Love」(シングル/収録アルバム曲)

メロディアスなバラード「A Man Without Love」は、彼の“傷心を歌う”側面がよく出た曲。コーラスとストリングスの絡みが美しく、歌い方のニュアンスが光ります。アルバムの中でもミドルテンポの名曲として位置付けられています。

4) アルバム「After the Lovin'」(1976)

1970年代中盤の代表作で、アメリカ市場での復活作として知られる「After the Lovin'」は、より洗練されたAOR/アダルト・コンテンポラリー寄りのサウンドが特徴です。プロダクションが一段とモダンになり、当時の音作りを楽しみたい人におすすめ。

  • 聴きどころ:タイトル曲のフック、より柔らかく整えられたサウンドスケープ。

  • おすすめの聴き方:60年代のオーケストラ・ポップからこのアルバムへと時代を追い、アレンジの変遷を体感する。

5) ベスト/コンピレーション盤(例:「The Very Best of Engelbert Humperdinck」系)

シングル曲を手っ取り早く聴きたいなら、編集ベスト盤が便利です。年代を横断して主要ヒットを網羅したものを1枚持っておくと、彼の代表曲を漏れなく楽しめます。複数のベストが出ているので、収録曲リストを確認して“自分の好きな時期の曲”が入っているものを選びましょう。

  • 注意点:同名のベスト盤が多く存在するので、収録曲・リマスターの有無を確認すると良いです。

6) ライヴ盤(ライブ録音)

ラスベガスやテレビ出演を中心としたステージでの表現力は、スタジオ録音とは別の味わいがあります。ライヴ盤ではマイク技術やアレンジの即興的な変化、観客とのインタラクションが楽しめます。ショーアップされたエンターテインメント性を体験したいなら是非。

聴きどころ・楽しみ方のガイド

  • 声そのもの:太く温かい中音域が武器。情緒をそこに乗せる歌い方を聴いてください。

  • アレンジ:60年代はオーケストラ中心、70年代はよりモダンなコンテンポラリー寄り。時代ごとのプロダクションの違いを意識すると面白いです。

  • カバー曲の解釈:スタンダードやイタリアン・ポップスの名曲カバーも多く、彼ならではの丸みを帯びたフレージングで新鮮に聴こえます。

  • 曲順で聴く:シングル→名盤(アルバム)→ライヴ→ベスト盤、という順で聴くと彼の表現の広がりがよくわかります。

盤の選び方(コレクションの観点)

  • オリジナル・プレス:60年代シングルや初期LPは当時の空気感があり、コレクター的価値も高いです。

  • リマスター/再発:音質重視なら近年のリマスター盤もおすすめ。収録曲やボーナストラックの有無を確認してください。

  • 海外盤の違い:英米など地域によって収録曲やジャケット違いがあることが多いので、好みに応じて探すと楽しめます。

おすすめの聴き順(入門〜深掘り)

  • まずは代表シングル(「Release Me」「The Last Waltz」「A Man Without Love」など)

  • 次に名盤アルバム(オーケストラ中心の60年代盤)

  • 70年代のプロダクション(「After the Lovin'」など)を聴いて時代差を比較

  • 最後にライヴ盤や編集盤で余韻を楽しむ

補足:プロデューサーとマネジメント

エンゲルベルトの成功にGordon Millsらマネジメントチームの存在や、当時のスタジオ・アレンジャー/オーケストレーターの手腕も大きく寄与しています。楽曲そのものだけでなく、制作陣の仕事にも耳を傾けると新たな発見があるでしょう。

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参考文献