サンタナ(Carlos Santana)入門 — 聴くべき主要名盤8選と時代別の聴きどころ
Carlos Santana — 聴くべきレコード深掘りコラム
Carlos Santana(以下サンタナ)はラテンのリズムとロック・ブルースを融合させ、ギター表現の可能性を大きく広げたアーティストです。本コラムでは、代表作・名盤を中心に各作品の音楽的特徴、聴きどころ、歴史的意義などを深掘りして解説します。入門者向けの聴き方や、時代ごとのサウンドの変遷も盛り込みましたので、既にファンの方の再発見にも役立てば幸いです。
聴く前に押さえておきたいサンタナの特徴
- ラテン/アフロ・キューバン由来のパーカッション(コンガ、ティンバレス等)をロック・ブルースの中核に据える。
- サンタナのギターは「トーン」と「フレーズのシンプルさ」で感情を引き出す。長いサステインとモーダルなフレーズが特徴的。
- 1960–70年代は集団即興とジャズ的な拡張、1990年代以降はポップ/コラボ路線で広い層へアプローチ。
おすすめレコードと深掘り解説
Santana(1969) — デビュー作(入門に最適)
ポイント:ブルースやジャズの要素をラテン・パーカッションと融合。ウッドストック出演直後に注目を浴びた1枚。
- 代表曲:「Evil Ways」──シンプルなブルース進行にラテンのリズムが溶け込む名演。ギターの歌い回しが分かりすい。
- 聴きどころ:若いバンドのエネルギーとライブ感。リズム隊とギターのコール&レスポンス。
- 意義:サンタナを「ラテン・ロック」として世に知らしめたアルバム。後の拡張の出発点。
Abraxas(1970) — 名盤中の名盤
ポイント:ラテン、ロック、ジャズ、サイケデリックが見事に融合。商業的成功と芸術性の両立に成功した作品。
- 代表曲:「Black Magic Woman / Gypsy Queen」、「Oye Como Va」、「Samba Pa Ti」──各曲が異なる顔を持ち、アルバム全体のバランスが秀逸。
- 聴きどころ:パーカッション群の多層性、サンタナのメロディアスなギターとスペーシーなサウンドの共存。「Samba Pa Ti」のインストの歌心は圧巻。
- 意義:サンタナを国際的スターに押し上げた1枚。ラテン・ロックの金字塔として評価される。
Santana III(1971) — オリジナル・ラインアップの集大成
ポイント:初期のメンバー(グレッグ・ローリー、ニール・ショーンら)を擁しており、コアとしての化学反応が頂点に達した作品。
- 代表曲:「Everybody's Everything」「No One to Depend On」──グルーヴ重視の楽曲が多い。
- 聴きどころ:コーラス、オルガン、ギターの掛け合い。バンドとしての一体感と緻密なアレンジ。
- 意義:初期サンタナ・サウンドの完成形。以降の実験的な方向性への橋渡しにもなる。
Caravanserai(1972) — ジャズ/フュージョンへの深化
ポイント:即興性、テクスチャー志向が強まり、ロックからよりジャズ・フュージョン寄りへと舵を切った作品。
- 代表曲:「Waves Within」「Just In Time」などインスト中心の静謐で瞑想的な楽曲群。
- 聴きどころ:空間的なサウンドスケープ、モーダルなソロ展開。ドラムやキーボードの音色に注目。
- 意義:ロック・ファンだけでなくジャズ寄りのリスナーにアピールした一枚。サンタナの音楽的冒険心が際立つ。
Lotus(1974) — ライブの醍醐味(日本録音の名盤)
ポイント:日本・大阪でのライブを収めた大作。長尺の即興演奏が楽しめるライブ名盤。
- 代表曲(演奏):アルバムは長時間のインプロヴィゼーションを収録。曲ごとの枠を超えた流れるような演奏が魅力。
- 聴きどころ:スタジオ録音では得られない伸びやかなギター・ソロとパーカッション群の躍動。ライブの空気感がそのまま伝わる。
- 意義:1970年代前半のサンタナの即興力を堪能できる記録的作品。
Supernatural(1999) — カムバックかつ大衆化の成功例
ポイント:ロブ・トーマスとの「Smooth」をはじめ、豪華ゲストとのコラボで商業的に大成功。グラミー多数受賞。
- 代表曲:「Smooth」「Maria Maria」──ラジオヒットとなり新世代のリスナーを獲得。
- 聴きどころ:サンタナのギターは従来のスタイルを保ちつつ、ポップなアレンジでより明快に表現される。
- 意義:ベテランとしての再評価を確実にし、幅広い層に影響を与えた一枚。
Moonflower(1977) — スタジオ曲とライブ素材のミックス
ポイント:スタジオ録音とライブ録音を組み合わせたダブル・アルバム。過去の名曲の新解釈も含むため、各時代の違いを比較して楽しめる。
- 代表曲:「Black Magic Woman」などの再提示やライブでの延長線上の演奏。
- 聴きどころ:スタジオの洗練とライブの即興の対比が楽しめる構成。
- 意義:キャリアを総括しつつ、新たな解釈を示した作品。
Shaman(2002) — Supernatural路線の継続と世界性
ポイント:引き続きコラボ志向で、ワールドミュージック的要素も取り込みつつモダンなプロダクションに対応。
- 代表曲:「The Game of Love(※別のヴァージョンではなくアルバム全体の流れ)」など、メロディ中心の曲が多い。
- 聴きどころ:ポップな構造の中で光るサンタナのギターの存在感。
- 意義:90年代以降の新しい活動の継続線上にある作品。
作品ごとの「どこから聴くか」ガイド
- 入門(まずはエネルギーを感じたい) → Santana(1969)→ Abraxas
- ジャズ/実験的側面を堪能したい → Caravanserai → Lotus(ライブ)
- 90年代以降のポップなサンタナを知りたい → Supernatural → Shaman
- キャリア全体を通しての対比を楽しみたい → Moonflower(スタジオ&ライブ混在)→ Santana III
聴きどころの具体的ポイント(曲を聴くときの注目箇所)
- リズムの「間(ま)」:パーカッションが刻む微妙なグルーヴの揺れが演奏の推進力になる。
- ギターのトーンとダイナミクス:音色の変化やサステインの使い方で感情がつくられる。
- インプロヴィゼーションの構成:テーマ→展開→クライマックス→回帰、という流れを追うと即興の物語性が見えてくる。
サンタナのアルバムを深掘りするための聴き方(順序と注目点)
- ステップ1:代表曲を一通り聴いてサンタナらしさ(メロディ、リズム)を掴む(例:Black Magic Woman、Oye Como Va、Smooth)。
- ステップ2:アルバム単位で初期→中期→近年と聴き進め、編成やアレンジの変化を比較する(ギターの使い方、キーボードや管楽器の役割の変化など)。
- ステップ3:ライブ音源(Lotus、Moonflowerのライブ盤)で即興性とバンドの一体感を味わう。
最後に—サンタナを聴く喜び
サンタナの魅力は、スタイルの跨ぎ方と「歌うギター」の純粋な表現力にあります。ラテンのリズム感とロックの躍動、ジャズ的な即興性が混ざり合う瞬間にこそ、彼の音楽的深みが現れます。今回紹介したアルバム群は、その多様性と進化を追ううえでの主要なマイルストーンです。ぜひ時代を追って聴き比べ、音の変化や編成の違いを体感してみてください。
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