ジョン・ウィリアムズのサウンドトラック名盤ガイド — レコードで聴くおすすめ盤と選び方(初心者〜コレクター向け)
はじめに — どの「John Williams」か
本コラムでは、映画音楽の巨匠 John Williams(ジョン・ウィリアムズ、1932年生まれ。スター・ウォーズ、ジョーズ、インディ・ジョーンズなどで知られる米国の作曲家・指揮者)のレコード(サウンドトラック)おすすめ盤を中心に深掘りして解説します。クラシック・ギタリストの同名アーティスト(John Christopher Williams)を想定している場合は別途ご指定ください。
ジョン・ウィリアムズという作家性
ジョン・ウィリアムズは映画の「場面」と「感情」を音楽で直感的に結びつける力量に長けています。オーケストラルな色彩感、明快なモチーフ作り、リズムの効用、そして時にはシンプルな旋律(例えば《シンドラーのリスト》のヴァイオリン主題)で観客の記憶に深く残るスコアを多数手がけてきました。録音やアレンジも常に高水準で、レコードで聴くと映画館での体験を音だけで再現するような没入感があります。
はじめに聴くべき定番アルバム(名盤)
Star Wars: Original Motion Picture Soundtrack(スター・ウォーズ)
代表曲:Main Title / Throne Room and End Title 他
なぜおすすめか:ウィリアムズの“冒険”を象徴するテーマ群が凝縮された一枚。ワイドなオーケストレーションと記憶に残るメロディが詰まっており、サウンドトラック入門として最適です。初期アナログ盤(1977年リリース)は当時のオーケストラ録音ならではの生々しさが魅力で、リマスター再発盤はダイナミクスと低域表現が改善されています。The Empire Strikes Back(スター・ウォーズ 帝国の逆襲)
代表曲:The Imperial March(ダース・ベイダーのテーマ)、Yoda's Theme 他
なぜおすすめか:映画音楽史に残る「帝国の行進(Imperial March)」など、劇的なモチーフの切れ味が秀逸。ドラマ性の高い曲が並び、オーケストラの緊張感を楽しめます。アナログでの再生は低域の重みとブラスの威圧感が映えます。Jaws(ジョーズ)
代表曲:Main Title(あの二音のモチーフ)
なぜおすすめか:シンプルな二音の反復で恐怖を演出することを示した教材的名作。ミニマルに近い手法が如何に効果的かを体感できます。短い楽曲構成ながら心理的効果は抜群で、サウンドデザインと音楽の相互作用を学べます。Raiders of the Lost Ark(レイダース/失われたアーク)
代表曲:Raiders March 他
なぜおすすめか:冒険映画の黄金律とも言えるテーマの応酬。ウィリアムズらしい“英雄的”な主題とリズムの推進力が光ります。映画的な爽快感をレコードで味わいたい人に。Schindler's List(シンドラーのリスト)
代表曲:Theme from Schindler's List(イツァーク・パールマンのソロが印象的)
なぜおすすめか:極めて抑制された美しさと悲哀を持つスコア。ヴァイオリンの孤独な旋律が胸に迫ります。音楽の“叙情性”を深く味わいたいときに聴くべき一枚です。Jurassic Park(ジュラシック・パーク)
代表曲:Theme from Jurassic Park(壮大な主題)
なぜおすすめか:自然と畏怖、感動が混ざる主題はウィリアムズの成熟を示します。フルオーケストラの豊かな響きが魅力で、聴くたびに映像の情景が浮かび上がるような体験を与えてくれます。Close Encounters of the Third Kind(未知との遭遇)
代表曲:Main Title、Five Tones(劇中のモチーフ)
なぜおすすめか:音とシンボルの繋ぎ方が独創的。異星との“対話”を音で表現する実験性と、スコアのドラマ性が共存しています。Superman(スーパーマン)
代表曲:Main Title(飛行するテーマ)
なぜおすすめか:英雄叙事詩としてのオーケストラの扱い方が分かりやすく、ブラスや弦の使い方が映画のスケール感を決定づけます。古典的なハリウッド・スコアの理想形の一つ。
どの盤(プレスやエディション)を狙うか — 聴き方の観点から
レコード収集の文脈で重要なのは「何を聴きたいか」です。音楽のテクスチャやオーケストラの空気感を重視するならオリジナル・アナログ盤や初期の高品質マスタリング盤を。最新のリマスターはノイズ低減やダイナミクスの最適化が施されていて、モダンなターンテーブル環境での再生に向きます。
また、映画サウンドトラック特有の“映画音響との整合性”を楽しみたい場合は劇中順の編集やボーナストラックを含む拡張盤が有益です。逆に「テーマだけを高音質で聴きたい」なら8〜12曲のコンピ盤も入り口として機能します。
聴きどころのガイド(曲ごとの注目ポイント)
- 主題のモティーフ化:同じ短いモチーフが場面ごとに変容して使われる手法(例:Jawsの二音、帝国の行進)。モチーフの変奏に注目して聴くと構造がよくわかります。
- 管弦楽の色彩:弦楽器の分散和音、木管のカウンター、金管のフォルティッシモなど、オーケストラのパレットを味わう。
- ソロ楽器の表現:ヴァイオリン(シンドラー)、フレンチホルンやトロンボーン(叙情/英雄表現)、時に独奏がドラマを担う。
- リズム/パーカッションの役割:推進力や緊張感の付与に注目。特にアクション場面のスコアはリズム構成が効果的です。
入門〜コレクター向けの買い方・選び方(音楽的視点)
- まずは代表作1〜2枚(Star Wars、Raiders、Schindler's Listなど)でジョン・ウィリアムズの「語り口」を掴む。
- 映画の体験を音だけで追体験したければサントラの劇中順エディションや完全版スコアを狙う。
- 名演奏や録音クオリティ重視なら、レジェンド級のアナログ・マスターや信頼できるリマスター盤の評を調べる(音質レビューやオーディオフォーラムを参照)。
- コラボレーター(指揮者、ソリスト、録音エンジニア)にも注目すると、別の楽しみが広がります(例:イツァーク・パールマンと共演したシンドラー盤など)。
まとめ — なぜジョン・ウィリアムズのレコードを集めるのか
ジョン・ウィリアムズのスコアは、映画音楽としての即効性と、純粋な音楽作品としての充実度を両立しています。レコードで聴くとオーケストラの空間表現やダイナミクスが際立ち、映画で味わった感情を音だけで追体験できます。初心者は代表作から、愛好家は異版やディレクターズ・スコアの違いを楽しむ、という聴き方の幅が広い点も魅力です。
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参考文献
- John Williams (composer) — Wikipedia
- John Williams — AllMusic
- John Williams — Discogs
- Film Music Society — (映画音楽情報のリソース)


