建築・住宅で知っておきたいホーローとは?特徴・素材・メリットをわかりやすく解説
1. ホーローとは?
ホーロー(琺瑯・エナメル)とは、金属の表面にガラス質の釉薬(うわぐすり)を高温で焼き付けた複合素材のことです。
金属の強さとガラスの美しさ・耐久性を併せ持つため、
建築・住宅設備・キッチン用品など幅広い分野で使われています。
もともとは美術品や食器に使われてきた技法ですが、
現代では住宅設備(浴槽・キッチンパネル)でも一般的です。
2. ホーローの構造
ホーローは次の層で構成されます。
- 金属(ベース)
- 鋼板(スチール)が最も一般的
- 鉄の強度・加工性がメリット
- 下地ホーロー(ベースコート)
- 金属との密着性を高めるための層
- ガラス質の上塗りホーロー(トップコート)
- 表面がガラスになる
- 色・艶・デザイン性を決める部分
800〜900℃の高温で焼成され、金属とガラスが化学的に結合します。
この結合により、金属の頑丈さ+ガラスの美しさと耐久性が生まれます。
3. ホーローの特徴とメリット
3-1. 耐久性が高い
ガラス質なので、
- キズがつきにくい
- 変色しにくい
- 水・油・薬品に強い
特にキッチンや浴室など、水回りに非常に向いています。
3-2. 汚れが落ちやすい(清掃性が高い)
表面はガラスなので、汚れを吸着しにくく、
油汚れ・水アカも軽く拭くだけで落ちるのが特徴です。
3-3. サビに強い
鋼板をガラスで覆っているため、
金属が空気や水に触れず、腐食しにくくなります。
3-4. 匂いや菌が残りにくい
ガラス質は匂いを吸着しにくく、
住宅設備として衛生的です。
3-5. デザイン性が高い
釉薬の色や質感を自由に調整できるので、
光沢のある美しい仕上がりが可能です。
4. ホーローのデメリット
4-1. 強い衝撃に弱い
表面はガラスのため、
金属の上にガラスがのっている構造なので
「落とす」「ぶつける」などの強い衝撃で欠ける(チッピング)可能性があります。
4-2. 重量がある
鋼板ベースなので、プラスチック(FRP)より重く、
施工時に注意が必要。
4-3. 補修がやや難しい
割れた部分の補修は可能だが、
完全に元通りの見た目にするのは難しい場合があります。
5. 建築・住宅設備で使われるホーロー製品
5-1. キッチン(タカラスタンダードが有名)
- キッチンパネル
- キッチン扉
- キャビネット内部
- レンジフード部品
特にタカラスタンダードは「高品位ホーロー」で知られており、
傷に強く、掃除がしやすく、磁石が付くという特徴があります。
5-2. 浴槽・浴室壁
鋼板ホーロー浴槽は保温性が高く、
浴室パネルとしての耐久性も高いのが特徴です。
5-3. 給湯器・ボイラーの外装
金属ベース+ガラス質の耐候性により、
屋外設置に向くため多くの機器で採用。
5-4. 看板・サイン・外装材
昔の駅名標や道路標識もホーローでした。
屋外でも色褪せない大きな利点があります。
6. ホーローと他材料の比較
| 材料 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| ホーロー | 耐久・清掃性・美観に優れる | 衝撃に弱い、重い |
| FRP | 軽くて施工しやすい | 汚れやすい、経年劣化 |
| ステンレス | 強い・耐食性・軽量 | 指紋や水アカがつきやすい |
| 樹脂(樹脂パネル) | 安価・軽い | 傷つきやすい、熱に弱い |
7. まとめ
ホーローとは、
- 金属にガラスを焼き付けた複合素材
- 水回り設備・キッチン・浴室に最適
- 傷・汚れ・湿気・熱に強く、長く使える
- 一方で衝撃には弱い
という特徴を持った素材です。
建築設備の選定や住宅のリフォームの際に、
ホーローの特性を知っておくと、
耐久性や掃除のしやすさの面で最適な選択ができるようになります。


