Ultravox 名盤ガイド|Vienna から Lament までの聴き方と必聴アルバムを徹底解説
イントロダクション
Ultravox(ウルトラヴォックス)は1970年代後半から1980年代にかけて、ポストパンクからニュー・ウェイヴ、シンセポップへと移行していった英国の重要バンドです。ジョン・フォックス時代の実験的・アート志向な路線から、ミッジ・ユーレ加入後の映画的でドラマチックなサウンドへと大きく変貌を遂げ、80年代ポップの重要な一翼を担いました。本コラムでは、「レコード収集の楽しみ」として聴きどころ・選ぶ理由に焦点を当てつつ、Ultravoxのおすすめアルバムを深掘りして紹介します。
Ultravoxの音楽的特徴 — 聞くべきポイント
- シンセとアナログ楽器の融合:Billy Currieのバイオリン/シンセが曲の色合いを決める。
- リズムの個性:Warren Cannの電子ドラムや独特のビート感が曲の躍動を作る。
- ドラマ性のある構成:特にMidge Ure期は映画のような起伏と大きなスケール感が特徴。
- サウンドメイクの変遷:初期のポストパンク/グラム寄りのサウンドから、80年代の洗練されたシンセサウンドへの移行が楽しめる。
おすすめレコード:必聴アルバム解説
Systems of Romance(1978)
ポストパンク期からシンセ要素を強めていった過渡期の名盤。バンドのサウンドがよりモダンに研ぎ澄まされ、のちのUltravox像の原型が見える作品です。
- 代表曲:“Slow Motion”、“Quiet Men”
- 聴くべきポイント:薄暗く抑制の効いたメロディと、Billy Currieの味わい深いシンセ/バイオリンが際立つ。ギターやベースのニュアンスも聞き取りやすく、音像の変化を楽しめる。
- なぜおすすめか:初期のアート性とシンセへの転換が同居する、Ultravox史上重要なマイルストーン。
Vienna(1980)
ミッジ・ユーレが加入して完成された代表作で、タイトル曲“Vienna”はバンドの代名詞的な1曲。映画的な広がりと耽美さを持つサウンドが特徴です。
- 代表曲:“Vienna”、“Sleepwalk”、“Passing Strangers”
- 聴くべきポイント:静と動の対比、鍵盤と弦(シンセ・バイオリン)の重なりで作られる壮大な空間を味わってください。曲ごとのドラマ構成が非常に緻密。
- なぜおすすめか:Ultravoxを入り口に80年代シンセポップ/ニュー・ウェイヴを知るのに最適な一枚。
Rage in Eden(1981)
Viennaの成功の直後に発表されたやや暗めで実験的な作品。ライブ感とスタジオでの密な音作りが同居しており、聴き込むほどに発見があるアルバムです。
- 代表曲:“The Thin Wall”、“We Came to Dance”
- 聴くべきポイント:アレンジの陰影や音の重ね方に注目。ポップさの裏にある緊張感が魅力。
- なぜおすすめか:バンドの創作意欲と挑戦がよく表れた中期作。
Quartet(1982)
プロデューサーに異色の人選が加わったことで、さらにポップで洗練された音を得たアルバム。シングルヒットも出て、より広いリスナーに届いた作品です。
- 代表曲:“Reap the Wild Wind”、“Visions in Blue”
- 聴くべきポイント:アレンジの緻密さ、メロディの明快さが際立つ。ポップ路線ながらもUltravoxらしい陰影は残る。
- なぜおすすめか:キャッチーさとバンドの美学がバランス良く融合した、80年代初頭の完成形。
Lament(1984)
80年代中盤の産物で、テクノロジーの進化を取り込みつつも感情表現を失わない作品。シングル“Dancing with Tears in My Eyes”など、ダイナミックな楽曲が並びます。
- 代表曲:“Dancing with Tears in My Eyes”、“One Small Day”
- 聴くべきポイント:シンセサイザーのサウンドデザインと、メロディのドラマ感が際立つ。シングル向けのプロダクションが強め。
- なぜおすすめか:Ultravoxの音楽性がポピュラー性と融合した時期を示す作品。
初期の記録:Ultravox! / Ha!-Ha!-Ha!(1977)
ジョン・フォックス在籍期の2作は、バンドのルーツを知るうえで重要。ポストパンク、グラム、実験音楽の影響が色濃く残ります。初期の荒々しさやアイデアの種を見るには最適です。
- 代表曲:初期シングルやアルバム収録曲に、未編集の生々しさが残る。
- 聴くべきポイント:粗削りなサウンドにこそ初期の魅力があり、後の洗練との対比で楽しめます。
コンピレーションで入門するなら
代表曲をまとめて聴きたいなら公式ベストやコレクション盤も有効です。入門→気に入ったアルバムのオリジナル盤を探す、という流れがコレクションの基本になります。
アルバムごとの楽しみ方のヒント
- 曲順を重視:アルバムはストーリーを持つことが多いので、A面B面の流れを意識して聴くと深まります。
- 楽器ごとの聴き分け:Billy Currie(鍵盤/バイオリン)、Warren Cann(ドラム)、Chris Cross(ベース)の役割に耳を澄ますと、新たな発見があります。
- 歌詞と雰囲気:Midge Ure期の歌詞は映像的で叙情的。歌詞と楽器が作る「情景」のつながりを感じてみてください。
まとめ:どのレコードから始めるべきか
最初に聴くなら「Vienna」が最もわかりやすくインパクトがあります。Ultravoxの変化を順に追いたいなら、「Systems of Romance」→「Vienna」→「Rage in Eden」→「Quartet」→「Lament」という流れで聴くと、バンドの成長とサウンドの変遷が手に取るように分かります。
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参考文献
- Ultravox - Wikipedia
- Systems of Romance (Ultravox album) - Wikipedia
- Vienna (Ultravox album) - Wikipedia
- Rage in Eden - Wikipedia
- Quartet (Ultravox album) - Wikipedia
- Lament (Ultravox album) - Wikipedia
- Ultravox – Biography (AllMusic)
- Ultravox - Discogs


