住宅の快適性を高めるペアガラスとは?仕組み・メリット・単板ガラスとの違いを徹底解説
1. ペアガラスとは?
ペアガラスとは、2枚のガラスの間に空気層(またはガス層)を設けた断熱性の高い窓ガラスのことです。
複層ガラス、複層サッシとも呼ばれ、現代の住宅では標準仕様となりつつあります。
2枚のガラスの間に設けられた中間層(中空層)が外気温の影響を受けにくくし、
夏の暑さ・冬の寒さの両方に強い家をつくる重要な要素として採用が広がっています。
2. ペアガラスの構造
ペアガラスは以下の3つの層で構成されています。
- 外側ガラス
- 中間層(空気またはガス)
- 内側ガラス
中間層には乾燥空気またはアルゴンガスなどが封入されており、
これが断熱層として働きます。
また、ガラス周囲は金属スペーサーで固定され、
外気と中間層が混じらないように気密が保たれています。
3. ペアガラスが選ばれる理由(メリット)
3-1. 高い断熱性能
中空層によって外気温の影響を受けにくくなるため、
夏は室内の冷気を逃がしにくく、冬は暖房熱を室内に保ちやすくなります。
断熱性が上がると、
- 冷暖房費の節約
- 温度ムラの減少
- ヒートショック対策
といった効果にもつながります。
3-2. 結露しにくい
外気温が低いと、単板ガラスはガラス表面が冷えすぎて結露が発生します。
ペアガラスは表面温度が下がりにくいため、結露対策に非常に効果的です。
3-3. 防音性が向上
複層構造のため、単板ガラスより音を通しにくく、
交通量の多い道路沿いの住宅などで効果を発揮します。
3-4. UVカット性能
ガラスの種類によっては、紫外線を大幅にカットし、
家具の日焼け・フローリングの変色を防止できます。
4. 単板ガラスとの違い
| 項目 | ペアガラス | 単板ガラス |
|---|---|---|
| 構造 | 2枚のガラス+空気層 | 1枚だけ |
| 断熱性能 | 高い | 低い |
| 結露 | しにくい | しやすい |
| 防音 | 良い | 普通 |
| コスト | 中〜やや高め | 安い |
| 快適性 | 高い | 低め |
ペアガラスは単板に比べて初期費用は上がりますが、
光熱費の削減・結露防止・快適性の向上が長期的なメリットになります。
5. ペアガラスの種類
5-1. Low-Eペアガラス
ガラスの内側に「Low-E(金属膜)」をコーティングした高性能タイプ。
日射の反射・遮熱効果や断熱性能がさらに向上します。
- 遮熱タイプ:夏の日射をカットしたい場合
- 断熱タイプ:冬の寒さを防ぎたい地域向け
気候によって使い分けることで効率的な建物性能を実現できます。
5-2. ガス入りペアガラス
中空層に「アルゴンガス」や「クリプトンガス」を封入したもの。
空気よりも熱伝導率が低いため断熱性能がさらに高まります。
5-3. 防犯合わせガラスとの複合タイプ
侵入対策として、室内側のガラスを合わせガラスにした製品もあります。
6. ペアガラスの注意点・デメリット
6-1. 重量が増える
単板ガラスより重いため、サッシの構造体に一定の強度が必要です。
6-2. 交換費用がやや高い
複層構造のため修理・交換コストが上がる傾向があります。
6-3. 経年で内部に結露が入る場合がある
「内部結露」は気密性が失われた際に起こるため、
年数が経つとユニット交換が必要になるケースもあります。
7. ペアガラスはどんな住宅に向いている?
- 冷暖房効率を上げたい住宅
- 冬の結露に悩んでいる家
- 大通り沿いで騒音が気になる環境
- 高断熱住宅(ZEH、注文住宅など)
- 家具の日焼けを防ぎたい場合
特に断熱リフォームでは「窓の性能向上」が最も効果が高いため、
ペアガラスは大きな改善ポイントになります。
8. まとめ
ペアガラスとは、2枚のガラスと中空層によって構成される高断熱・防音性の高いガラスです。
住宅の快適性を大幅に向上させる重要な住宅設備であり、現代の新築住宅では標準的に採用されています。
断熱性・防音性・結露対策・光熱費の削減に貢献するため、
リフォームでも最も効果の高い改善方法として注目されています。


