建築・土木で使われる複合単価とは?意味・使い方・積算での注意点をわかりやすく解説
1. 複合単価とは?
複合単価とは、ある工種を施工する際に必要となる複数の作業・材料・経費をひとまとめにして設定した単価のことです。
「複合」とは“複数を組み合わせる”という意味で、
施工に必要な要素(材料費・労務費・運搬費・消耗品・機械損料など)を セット価格 として扱う単価を指します。
例:
- 〇〇工(1mあたり〇〇円)
- 〇〇舗装(1㎡あたり〇〇円)
- ○○配管工事(1mあたり〇〇円)
こうした一式単価・セット単価は、実際の施工に必要な項目を積み上げたうえで“まとめた単価”となっています。
2. なぜ複合単価が使われるのか
建築・土木工事には、多くの作業や材料が関わります。
たとえば「アスファルト舗装」一つを取っても、
- 乳剤散布
- アスファルト材料費
- 転圧機械の使用
- ダンプの運搬
- 人件費
- 現場交通誘導
- 小運搬
- 散水
- 副資材(養生・燃料 等)
など、非常に多くの要素が必要となります。
しかし、これらを 細かい単価で全て記載すると積算書が膨大になる ため、
現場の実態に合わせて「適切な項目をまとめた単価」として設定されているわけです。
複合単価のメリットは以下の通りです。
- 積算がシンプルになり、計算ミスが減る
- 施工の全体像(必要作業)が一つの単価に含まれている
- 発注者・受注者が共通認識を持ちやすい
- 小規模工事・維持修繕工事にも使いやすい
3. 複合単価の具体的な例
● 例①:アスファルト舗装(㎥/㎡単価)
単価の中には、次のような要素が含まれていることが一般的です。
- 材料費(アスファルト合材)
- 乳剤散布
- 輸送費(ダンプ)
- 人件費(施工手間)
- 機械損料(ローラー・プレート等)
- 小運搬・現場内移動
- 付帯作業(清掃・養生 等)
● 例②:配管工事(1mあたり)
- 配管材料(VP・PE・鋼管等)
- 継手・副資材
- 接合作業(溶接・接着・ねじ込み)
- 支持金具・バンド
- 掘削/埋戻し(場面により含まれる)
- 機械工具
- 職人手間
● 例③:道路維持修繕の単価
- 穴ぼこ補修
- 路肩整形
- 草刈り
- 側溝清掃
など、自治体の積算書では日常的に複合単価が使われることがあります。
4. 「積算単価」との違い
積算単価=材料・労務・機械などを個別に積み上げた単価
複合単価=その積算結果をまとめて一式にした単価
という違いがあります。
複合単価は「積算単価の簡略版」であり、
以下のような場面でよく使用されます。
- 小規模工事
- 維持修繕工事
- 反復性の高い定型的工事
- 発注者が単価設定を明確にしているケース
5. 複合単価に含まれるものと含まれないもの
■ 含まれることが多いもの
- 材料費
- 労務費
- 機械損料
- 現場内運搬
- 消耗品
- 付帯作業(清掃・養生など)
■ 含まれないことが多いもの
- 交通誘導員
- 夜間作業加算
- 遠距離運搬
- 間接工事費(共通仮設費・現場管理費)
- 不測の撤去・追加施工
発注者の仕様(設計書)により異なるため、
「複合単価に何が含まれているか」を必ず確認することが重要です。
6. 複合単価の注意点
① “含まれる範囲”を誤解しない
工種ごとに含まれる作業が異なるため、
内容を確認せずに金額だけで判断すると赤字になる可能性があります。
② 現場条件で大きく変動する
舗装厚・運搬距離・地盤条件などにより、
複合単価が適正でないケースもあります。
③ 発注者単価に合わせる必要がある
自治体や元請が定めた複合単価がある場合、
その単価を必ず使用して見積を作る必要があることが多いです。
7. まとめ
複合単価とは、
- 複数の材料・作業・機械費を セットでまとめた単価
- 積算を簡略化し、発注者・施工者の共通認識を作るための単価
- 小規模工事や維持修繕で特に利用される
- 単価に含まれる作業範囲を必ず確認する必要がある
という、建築・土木積算において非常に重要な概念です。
複合単価を理解しておくことで、
見積作成・積算ミス防止・現場の利益管理が格段に正確になります。


