ページオーソリティ(PA)を徹底解説:算出方法・DAとの違い・測定と実務KPI設計

ページオーソリティとは

ページオーソリティ(Page Authority、略称:PA)は、米国のSEOツールプロバイダであるMozが開発した指標で、特定のウェブページが検索結果ページ(SERP)でどの程度上位に表示される可能性があるかを予測するためのスコアです。0から100までのスケールで表され、数値が高いほど「検索エンジンで上位表示されやすい」と見なされます。重要なのは、PAはGoogleの公式指標ではなく、あくまでMozが自社データと機械学習モデルを基に算出する“予測値”である点です。

ページオーソリティの算出方法と特徴

MozはPAの算出に複数のシグナルを使うと明言しており、主にリンク構造(被リンク数、被リンクの質・信頼性)、内部リンク、アンカーテキストなどの要素を重視しています。Moz自身はPAは「機械学習モデルによって算出される複合スコア」であり、具体的な算出式は公開していませんが、以下の特徴が知られています。

  • 0–100のスケール:指数関数的(対数)に上がるため、70→80は0→10より遥かに難しい。
  • 相対的なスコア:業界や競合性により同じ数値でも意味合いが異なる。比較は同一業界や対象キーワードの競合ページ間で行うのが実務的。
  • Mozのインデックスに依存:PAはMozのリンクデータ(Link Explorer 等)とアルゴリズム更新のタイミングで変動する。
  • Googleのランキングシグナルではない:PA自体がGoogleのランキングアルゴリズムに直接組み込まれているわけではない。

ページオーソリティとドメインオーソリティ(DA)の違い

PAと混同されやすい指標にドメインオーソリティ(Domain Authority、DA)があります。両者の違いは次の通りです。

  • スコープ:PAは個々のページ単位、DAはドメイン(またはサブドメイン)全体を評価。
  • 用途:特定ページの競合力を評価するならPA、サイト全体の信頼性・影響力を見るならDA。
  • 影響関係:一般に高いDAはPAを押し上げやすい(ドメイン全体の被リンクがページに流れるため)が、個別ページのPAはページ固有の被リンクや内部リンク構造で大きく左右される。

ページオーソリティに影響する主な要因

PAを高めるために直接的・間接的に影響する代表的な要素を列挙します。Mozはリンク関係のシグナルを重視していますが、実務上は下記要素を総合的に改善することが重要です。

  • 被リンクの数と質:高品質な関連性のあるサイトからのリンクは最も重要な要素。
  • リンク元ドメインの多様性(リファラルドメイン数):同一ドメインからの大量リンクよりも多様なドメインからのリンクが評価されやすい。
  • 内部リンク設計:重要ページへ適切に内部リンクを張ることでリンクジュースを集める。
  • コンテンツの質と独自性:被リンクを獲得しやすく、ユーザーの滞在時間など間接的な評価指標にも良い影響。
  • アンカーテキストの自然さ:過剰に最適化されたアンカーテキストはペナルティリスクや評価低下を招くことがある。
  • 技術的SEO:サイトのクロール・インデックス状況、重複コンテンツ、canonical設定などは間接的にPAの評価に影響。
  • Mozのインデックス更新タイミング:Moz側のデータ更新によりスコアが変動する。

ページオーソリティの測定方法とツール

PAはMozの独自指標なので、計測は基本的にMozのツール群で行います。代表的な方法は次の通りです。

  • Moz Link Explorer:URLごとのPAや被リンクプロファイルを確認できる公式ツール。
  • MozBar(ブラウザ拡張):ブラウザ上でページごとのPAやDAを簡易表示。
  • Moz Pro API:大量ページをプログラムで取得・分析する際に利用可能(有料)。
  • 代替指標の参照:AhrefsのURL Rating(UR)、MajesticのCitation Flow/Trust Flow、SEMrushのAuthority Score等を併用して総合的に評価する。

ページオーソリティを高める具体的な施策(ステップバイステップ)

PA向上は短期で大きく改善するのが難しく、積み上げ型の施策が必要です。以下に実務向けのフローを示します。

  • 現状把握と目標設定

    • 対象ページの現在のPA、被リンク数、リファラルドメイン数、上位競合ページのPAを把握。
    • 何をもって「成功」とするか(PAの数値、オーガニック流入、目標キーワード順位)を設定。
  • コンテンツ強化

    • 検索意図を満たす高品質で独自性のあるコンテンツに改良。データや事例、図表を追加。
    • リソースページ化(ハウツー、ガイド、研究結果などによるリンク獲得を狙う)。
  • 被リンク獲得のためのアウトリーチ

    • 関連業界のサイト、ブログ、メディアに対してピッチを行う(ゲスト投稿、共同調査、プレスリリースなど)。
    • 既存のリファラルドメインと関係を構築して追加のリンクを促す。
  • 内部リンク最適化

    • サイト内部から重要ページへ自然にリンクを集める。パンくず・関連記事・カテゴリページの最適化。
    • アンカーテキストは自然な語句で多様性を保つ。
  • 技術的改善とユーザー体験(UX)の向上

    • ページ速度、モバイル対応、構造化データ、正しいcanonical設定を実施。
    • 重複コンテンツを解消し、低品質ページはnoindexや統合で整理。
  • 不要リンクの見直し

    • スパム的または低品質な被リンクがある場合は、まずはリンク提供元へ削除依頼→削除できない場合にGoogleのDisavowを検討(慎重に)。
  • 継続的な計測と改善

    • Mozの定期チェック(Link ExplorerやMozBar)でPAの推移を確認し、効果のある施策を拡大。
    • PAだけでなく実際のオーガニック流入、コンバージョン、順位変動も併せて評価。

注意点・限界と代替指標の活用

PAは有益な参考値ですが、次のような限界があります。実務ではPAに過度に依存しないことが重要です。

  • Google の公式指標ではない:PAが高くてもGoogleの順位が上がる保証はない。
  • 指数的なスケール:数値の小さな差は意味が小さいが、高数値領域では改善が難しい。
  • データ更新の遅延:Mozのインデックス更新に伴ってスコアが変動するため、短期変動の解釈は慎重に。
  • 業界差:被リンク文化の濃い業界と薄い業界でスコアの意味が変わる。
  • 操作可能性:短期的なリンク購入やスパム的施策で一時的に上げられるケースもある(リスクあり)。

代替・補助としては、AhrefsのURL Rating(UR)、MajesticのTrust Flow/Citation Flow、SEMrushのAuthority Score、実際のオーガニックトラフィック(Google Analytics / GA4)やキーワード順位(Search Console)などを併用して総合的に判断することを推奨します。

実務での目安とKPI設計例

PAは相対指標なので、以下のようにKPIを設計すると運用しやすくなります。

  • 目標を「PAそのもの」ではなく、1) 主要キーワードの順位、2) オーガニック流入、3) 被リンクのリファラルドメイン数 に設定する。
  • 競合比較:主要競合上位5ページのPAをベンチマークにし、自ページが同等に達することを短中期目標にする。
  • 時間軸:コンテンツ改善→アウトリーチの組合せで3–6か月単位での測定を推奨(リンク構築は効果検証に時間がかかる)。

まとめ

ページオーソリティ(PA)は、Mozが提供する「ページ単位の検索上位表示予測スコア」であり、被リンクプロファイルや内部リンク構造など複数のシグナルから算出されます。検索順位改善の参考指標として有用ですが、Googleの公式指標ではなく、単体での過信は危険です。実務ではPAを被リンク戦略やコンテンツ改善の目安として使いつつ、オーガニック流入やキーワード順位、他ツールの指標と組み合わせて総合的に施策を評価・改善することが重要です。

参考文献