1200 Microgramsの全貌:薬物名を冠したコンセプト性とサイケデリック/ゴアトランスのライブ体験
プロフィール
1200 Micrograms(通称:1200μg)は、1990年代後半から活動するサイケデリック/ゴアトランス系のコラボレーション・プロジェクトです。名称や楽曲タイトルに“LSD”“DMT”“Mescaline”“Psilocybin”など幻覚剤に由来するワードを冠することで知られ、サイケデリック体験をテーマにしたコンセプト性の高い音楽を展開してきました。プロジェクトにはRaja Ram(Shpongle などで知られるフルート奏者/プロデューサー)を中心に、著名なトランス・プロデューサーが参加しており、レーベルや国境を越えたコラボレーションで作品を発表してきました。
音楽性とサウンドの特徴
- テーマ主導のコンセプト性:各トラックが薬物名やサイケデリック体験を表すタイトルを持ち、楽曲構成やサウンドデザインがその“体験”を描写するストーリーテリング的な役割を果たします。
- ゴア/サイケデリックトランスの基盤:強いローリングベースライン、刻みの効いた四つ打ちキック、シンセのアルペジオや複層的なリードメロディを用い、ダンスフロアを強烈に駆動するビートを持ちます。
- メロディとスペイシーなテクスチャ:ゴア特有の尖った高域リードに加え、フルートや環境音、フィルター処理されたボイスサンプルなどを混ぜ、トリップ感のある音響空間を作り出します。
- サンプリングとユーモア:薬物名や科学、宗教的・神秘的なナレーションを引用することがあり、硬派なダンスミュージックながら遊び心や皮肉を含む表現が特徴です。
- ライブ/DJの両面で機能:スタジオでの緻密な重ね録りと、クラブやフェスでの即時性を両立させた編曲が多く、楽曲はDJプレイでもライブセットでも強い訴求力を持ちます。
代表曲・名盤(推薦トラックと聴きどころ)
以下は1200 Microgramsを初めて聴く人にもおすすめできる代表的なトラック群です。いずれもプロジェクトの「コンセプト」「サウンド」「ダンス性」を体現しています。
- 「LSD」 — 典型的な1200 Microgramsサウンド。サイケデリックなリードと高密度のサウンドデザインで、タイトルが示す“トリップ”感をダイレクトに表現します。
- 「Mescaline」 — ゆったりめの導入から徐々に盛り上がる構成で、叙情的なメロディと重厚なリズムが共存します。
- 「DMT」 — 短時間で強烈なインパクトを与えるトラック。尖ったシンセと急峻な展開でクラウドを一気に高揚させます。
- 「Psilocybin」等の関連曲 — 自然や神秘をテーマにした音響表現が特徴で、サウンドスケープを楽しむのに適しています。
これらの曲はシングルやコンピレーションとしてリリースされていることが多く、アルバム単位でもコンセプトが一致しているため、通しで聴くことでより深い世界観に浸れます。
ライブ/パフォーマンスの魅力
- フェス映えするドラマ性:イントロからの導入→ブレイク→爆発的なピークという構成が得意で、フロア一体型の盛り上がりを生みます。
- 視覚との親和性:映像や照明との連動でサウンドの“トリップ感”を視覚的にも増幅できるため、ライブ演出が非常に効果的です。
- DJセットとしての柔軟性:テンポ感やフレーズがフロアコントロールしやすく、他アーティストの曲とミックスしやすいプロダクションになっています。
1200 Micrograms の魅力が刺さる理由
- 明快なコンセプト性:「薬物名をタイトルにし、その状態を音で描写する」という一貫した発想がわかりやすく、興味を引きます。
- 踊れるサイケデリカ:幻想的なサウンドを維持しつつダンスミュージックとしての推進力を失わないバランス感が、クラブ~アウトドアフェスまで幅広いシーンで受け入れられます。
- コラボレーションの力:複数のプロデューサーが持つ手癖や個性を融合させることで、単一の作家では出せない多彩さが出ています。
- オーディエンスとの “物語” の共有:曲名やサンプルが与えるイメージで聴衆の想像力を刺激し、音楽がただの音ではなく“体験”になる点が大きな魅力です。
聴き方・楽しみ方の提案
- ヘッドフォンで世界観を深堀り:サウンドデザインの細かいディテール、背景の環境音やエフェクトをじっくり聴くと新たな発見があります。
- プレイリストで“旅”を再現:代表曲を時間軸に並べて聴くと、緩やかに導入して高揚する「トリップの流れ」を体験できます。
- ライブ映像やVJと合わせて:映像とセットで見ると視覚的なストーリーテリングが強化され、曲のイメージがより鮮やかになります。
- リミックスや同時代の作品と比較:同じゴア/サイケジャンルの別アーティストと聴き比べることで、1200 Micrograms独特の味付け(メロディライン、サンプル使い、構成)が見えてきます。
影響と位置づけ
1200 Microgramsは、90年代から00年代のサイケデリック/ゴアトランス・シーンにおいて「コンセプト性」と「ファンキーなダンス性」を両立させたプロジェクトとして評価されています。薬物を直接的に題材にすることで賛否も呼びますが、そのストレートな表現とエンタメ性は、ジャンルの大衆化・フェスティバリティ向上に寄与しました。また、参加メンバーがそれぞれのソロワークや他プロジェクトで培った技術を持ち寄ることで、ジャンル内での影響力を持ち続けています。
まとめ
1200 Microgramsは、明確なテーマを音に落とし込み、ダンスフロアとヘッドスペース(内的体験)の双方で強い効果を発揮するユニークなアクトです。サウンドの尖りとメロディのキャッチーさ、そしてライブでの物語性が相まって、初めてのリスナーでも入りやすく、何度も繰り返し聴きたくなる魅力を持っています。サイケデリックトランスを深掘りしたい人、フェスで強烈な一曲を探している人のいずれにもおすすめできるプロジェクトです。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
参考文献
- 1200 Micrograms — Wikipedia (英語)
- 1200 Micrograms — Discogs(ディスコグラフィ)
- 1200 Micrograms — Last.fm(アーティスト情報・タグ)


