Status Quoのレコード完全ガイド:アナログ盤で聴くおすすめアルバムと購入・選択のコツ
はじめに — Status Quoという存在
イギリスのロック・バンド、Status Quo(スタッツ・クォー)は、1960年代後半のサイケ時代から出発し、1970年代以降は「ブルージーなブギー・ロック」を一貫して追求した存在です。シンプルなリフ、ツイン・リード・ギター、タイトなリズムセクションで築いた音像は、アルバム単位でもシングルでも強い魅力を持ち、長年にわたり幅広いファン層を獲得しました。本コラムでは「レコード(アナログ盤)で聴く」ことを前提に、コアとなるおすすめレコード(アルバム)を時代順に深掘りして解説します。
聴く前に押さえておきたいポイント
- フェーズの理解:初期はサイケ・ポップ、70年代初頭から中盤にかけてブギー・ロックへと転換する過程がアルバムに反映されます。
- シングル曲とアルバム曲の関係:彼らはシングルヒットも多く、アルバムはライブエナジーやリフ主導の“ボディ”を収めた作品が多い点に注目すると聴き分けがしやすいです。
- レコードで聴く価値:ギターの質感やドラムのアタック感、ステージライクな厚みはアナログ盤でより生々しく感じられます。
おすすめレコード(アルバム)— 深掘り解説
Picturesque Matchstickable Messages from the Status Quo(1968)
なによりもまず押さえるべきはデビュー期の代表作。シングル「Pictures of Matchstick Men」は彼らの名前を世界に広めたサイケデリックな名曲で、デビュー作全体は当時のサイケ/ポップ志向が色濃く残っています。アナログで聴くと、68年という時代の色彩感やエコー処理の質感がダイレクトに伝わります。
- 聴きどころ:タイトル曲のフル・アレンジ、サイケ期のメロディとギター・トーン。
- 買う理由:Status Quoのルーツを知るための必聴盤。コレクションとしての価値も高い。
Piledriver(1972)
ここで完全にブギー/ヘヴィ寄りの方向へ舵を切った感があり、以後の“クオ・サウンド”の基盤が出来上がります。リズムのビルドアップ、分厚いギター・サウンド、ライブ感のあるアレンジが特徴です。タイトル曲群はエネルギーに満ち、初期のライブ・レパートリーの核になりました。
- 聴きどころ:ギターのパンチ、ドラムの突き上げ、短く骨太なリフ中心の楽曲構成。
- 買う理由:ブギー化したStatus Quoを象徴する1枚。アナログでの音圧感が魅力。
Hello!(1973)
このアルバムで「Caroline」が登場します。シンプルながらも耳に残るフックとアルバム全体のまとまりがあり、ステージでも不動の定番となった曲を含みます。曲の構成やプロダクション面でさらなる研ぎ澄ましが見られ、バンドの黄金期の入口にあたります。
- 聴きどころ:シングル級のキャッチーさとアルバム曲の均整。特に「Caroline」は必聴。
- 買う理由:代表曲を含みつつ、70年代前半のバンド形成プロセスを追える記録。
On the Level(1975)
このアルバムからは「Down Down」がシングル・ヒットになり、商業的にも大きな成功を収めます。ポップ性とブギー性のバランスが極めて良い時期で、バンドの大衆性が確立された作品です。アルバム全体のグルーヴ感が秀逸で、ライブ感をそのまま閉じ込めたような力強さがあります。
- 聴きどころ:「Down Down」をはじめ、テンポとリズムの揺らぎが生むグルーヴ。
- 買う理由:商業的成功の裏にある楽曲力とサウンドの完成度を堪能できる。
Blue for You(1976)
中期のまとめ的な一枚で、バンドの演奏力とソングライティングがさらに磨かれた時期。ブルージーな色調が強まり、ギター・ワークとコーラスの使い方に成熟が見られます。アルバムとしての連続性を重視するリスナーに向いています。
- 聴きどころ:落ち着いたテンポの中で際立つ楽曲の密度感、コーラスワーク。
- 買う理由:シングル以外の良曲が多く、アルバムとして聴き応えがある。
Rockin' All Over the World(1977)
ジョン・フォガティの同名曲カバーをタイトルに据えたこのアルバムは、スタジアム向けの大らかなロック感と商業性を両立。タイトル曲は以後のフェスやスポーツイベントでも定番になった“賛歌”的ナンバーです。より広い層に訴求したい時期の産物として興味深い一枚です。
- 聴きどころ:タイトル曲のアンセミックな仕上がりと、派手めのアレンジ。
- 買う理由:バンドが大衆的成功を享受した時期を象徴。ライブ定番曲収録。
代表的ライブ盤(入門用)
Studio盤での堅牢さに加え、Status Quoの魅力はライブでの高揚感にあります。オリジナル・ライブ盤や公式のライヴ編集盤は、当時の演奏のスピード感やアンサンブルをそのまま伝えてくれるため、スタジオ盤と一緒に揃える価値があります。
- 聴きどころ:演奏テンポの加速、延長されたリフ回し、観客との一体感。
- 買う理由:スタッツの“現場”を体感するために最適。
どの盤を選ぶか—レコード選びの考え方(購入ガイド)
- オリジナル盤:当時のミックスやダイナミクスが楽しめる反面、コンディションで音質差が出やすいです。収集価値も高い。
- リマスター/再発盤:最近のリマスターや重量盤(180gなど)はノイズ低減やダイナミクス改善が期待できます。オリジナルの音色を重視するか、音のクリアさを重視するかで選択してください。
- 曲順・収録差:地域差(英盤、米盤、国内盤)で収録曲や曲順が異なる場合があるので、聴きたい曲が入っているか確認しましょう。
- ジャケットやインナー:初期プレスには当時のライナーや写真、インサートが良好な状態で残っているものもあり、コレクターズ・アイテムとしての価値があります。
アルバムごとの「今」聞く意義
- 初期(1968あたり):サイケ→ポップの変遷を知る歴史的資料として価値あり。
- 70年代前半(Piledriver〜Hello!):バンドのサウンド基盤が形成される過程を体感できる。
- 70年代中盤以降(On the Level〜Rockin' All Over the World):ブギーを武器にした大衆ロックの完成形。ライブで化ける曲が多数。
まとめ
Status Quoは「一言で言えばブギー」という側面が強調されがちですが、アルバムごとに微妙なニュアンスの違いと成長の痕跡があり、レコードで追うことでその変化が鮮明に分かります。初期のサイケ・ポップを知りたければデビュー作、ブギーとしての核心を味わいたければPiledriverやHello!、ライヴ感をそのまま体験したければライブ盤やOn the Level〜Rockin' All Over the Worldあたりを中心に選ぶと良いでしょう。
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参考文献
- Status Quo - Wikipedia
- Status Quo | AllMusic
- Status Quo Discography | Discogs
- Official Status Quo website


