The Blues Project: 60年代ニューヨークを駆け抜けるライブとスタジオの聴き方とおすすめアルバム
イントロダクション — The Blues Project とは
The Blues Project は1960年代中盤のニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジを拠点に活動したバンドで、ブルース、フォーク、ジャズ、R&B、そして初期のサイケデリアを横断する柔軟な演奏スタイルで知られます。アル・クーパー(organ/piano)やダニー・カルブ(g)、スティーヴ・カッツ(g)、アンディ・カルバーグ(bass/flute)、トミー・フランダース(vo)、ロイ・ブルーメンフェルド(dr)ら個性派揃いのメンバーたちが、ライブでの即興性とスタジオでの実験性を両立させたのが彼らの魅力です。
おすすめレコード:概説
以下では、入門~コレクター向けに幅広く楽しめる代表的な作品をピックアップし、それぞれの聴きどころや選ぶ際のポイントを解説します。バンドの“ライブの伝統”と“スタジオ実験”という二つの顔を中心に選んでいます。
1. Live at the Cafe Au Go Go (1966)
なによりもまず聴きたいのがライブ盤。カフェ・オー・ゴー・ゴーでの熱演を収めたこのアルバムは、バンドの真骨頂である即興と熱いブルース・フィーリングがそのままパッケージされています。
- 聴きどころ:アンディ・カルバーグのフルートが前面に出るインスト「Flute Thing」や、ブルースの延長で長尺に展開する曲群。ライブならではの緊張感とメンバー間の応酬を味わえる。
- おすすめポイント:バンドのエネルギーを体感したい人向け。初めて聴くならまずこれを。
- 注意点:収録はライブセットの断片的な構成のため、後の拡張版やコンプリート盤がある場合はそちらも検討すると良い。
2. Projections (1966)
スタジオでの実験性を強く打ち出した作品。アル・クーパーのアレンジ志向や、オーケストレーション、サウンド・テクスチャーの工夫が目立つアルバムで、バンドが単なる“ライブ・ブルース・バンド”に留まらないことを示しています。
- 聴きどころ:スタジオワークの緻密さ、曲ごとに異なるアプローチ(ブルース、R&B、サイケ風味の音作りなど)が楽しめる。
- おすすめポイント:作曲・編曲面での幅を知りたいリスナー、アル・クーパーの創作性に興味がある人に特におすすめ。
- 注意点:ライブの即興感を期待すると印象が異なるため、スタジオ・アルバムとしての“構成力”を味わってほしい。
3. Planned Obsolescence (1968)
メンバーの動きや音楽潮流の変化を反映した作品で、よりロック寄りの色彩が濃くなったアルバム。メンバーの脱退・加入があった時期の作品で、グループの後期的な側面を示します。
- 聴きどころ:楽曲により一貫性とロック的推進力があり、メロディー志向の曲も増えている点。
- おすすめポイント:バンドの変遷をたどりたいリスナー、60年代後半のロック・フォークの融合を知りたい人向け。
4. The Blues Project — Anthology / Best Of(編集盤)
初めて聴く場合は、編集盤・アンソロジーで代表曲と名演をまとめて把握するのが効率的です。オリジナルLPだけでは断片的になりがちなライブとスタジオの両面をバランス良く楽しめます。
- 聴きどころ:代表曲、ライブ名演、レアトラックが一枚で楽しめる点。音源の年代順やセッション別の構成になっているものを選ぶとバンドの変遷が分かりやすい。
- おすすめポイント:入門盤として最適。コレクション用途なら個別LPと併せて揃えるのが良い。
アルバムごとの「聴き方」ガイド
The Blues Project をより深く味わうための視点をいくつか挙げます。
- 編成の“掛け合い”に注目する:ダブル・ギター(ダニー・カルブ、スティーヴ・カッツ)、オルガン(アル・クーパー)、フルート(アンディ・カルバーグ)という編成が生む対話的な演奏を意識して聴くと面白いです。
- ライブでは“間と空気”を味わう:長尺のブルース・ナンバーや即興のソロ展開が多く、テンポやダイナミクスの変化に注目すると、演奏の緊張感が伝わります。
- スタジオ盤は“音作り”を聴き分ける:プロダクションやアレンジの実験性に注目すると、バンドの創造的な側面がよく分かります。
- 時代背景を押さえる:1960年代のニューヨーク・シーン、フォーク・リバイバルやブルース復興運動との関係を頭に入れると曲の選び方やアレンジの意味が見えてきます。
買うときのちょっとした目安(選び方)
レコードを購入する際の実務的な観点は、ここでは詳細な保管・再生のコツは触れませんが、“どの盤を選ぶか”という観点での注意点を挙げます。
- オリジナル・プレスか再発か:オリジナルは価格が高くなることが多いですが、音質や当時の雰囲気を重視するなら検討に値します。一方で優れたリマスター再発盤は音のバランスが良く、普段聴きには実用的です。
- 編集盤・アンソロジーの構成を確認:ライブ音源やスタジオ未発表テイクが含まれているかで価値観が変わります。ジャケットのクレジット欄(録音日・会場)をチェックすると良いでしょう。
- リリース年とラインナップ:バンドは短期間でメンバーの入れ替わりがあります。聴きたいメンバー(例:アル・クーパー在籍時の音)に合わせて盤を選ぶと満足度が上がります。
おすすめの曲(代表曲ピックアップ)
- Flute Thing — バンドの魅力を端的に示すインスト、フルート・ソロが印象的。
- Two Trains Running(うちの代表的なブルース・カバーの一つ) — 古典的ブルースを現代的感覚で演奏した好例。
- 長尺のブルース・ナンバー(ライブでの即興演奏) — ライブ盤での接近戦的な熱さを体験できる。
最終的なおすすめプラン
初めて触れるなら、まず「Live at the Cafe Au Go Go」か編集盤(Anthology系)でバンドの全体像を掴み、そこから「Projections」でスタジオにおける創造性を味わい、「Planned Obsolescence」で後期の変化を追う、という順が理解しやすいと思います。
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参考文献
- The Blues Project — Wikipedia
- The Blues Project | Biography & Discography — AllMusic
- The Blues Project — Discogs


