Gong(ゴング)の神話と音楽世界を徹底解説:スペースロックの名盤と初心者向け聴き方ガイド
Gong — プロフィールと魅力を深掘りするコラム
Gong(ゴング)は、1960年代末に結成されたサイケデリック/スペースロック/プログレッシブロック界の異端的存在です。創始者のデイヴィッド・アレン(Daevid Allen)とギリ・スミス(Gilli Smyth)が中心となり、ジャズ的な吹奏楽器、エフェクティヴなギター、アナログ・シンセ、独特の女性コーラス(いわゆる“スペース・ウィスパー”)を組み合わせたユニークな音世界を築きました。以降のラインアップ変遷や派生ユニット(Pierre Moerlen’s Gong 等)を含め、Gong は一貫して「物語性」と「即興性」を重視する音楽を追求してきました。
略歴と主要メンバー
- 結成と初期:デイヴィッド・アレンはソフト・マシーンを経てフランスに滞在中にGongを結成。初期の作品はフォーク/サイケ寄りの色合いを持ちます。
- 黄金期(Radio Gnome Invisible 三部作):1973年前後にリリースされた「Flying Teapot」「Angel’s Egg」「You」などで、Gong 独自の神話(Zero the Hero、Pot Head Pixies、Flying Teapot など)とサウンドが完成しました。
- 主要メンバー:デイヴィッド・アレン(ギター/ヴォーカル)、ギリ・スミス(スペース・ウィスパー)、ディディエ・マルエルブ(サックス/フルート)、スティーヴ・ヒレッジ(ギター)、ティム・ブレイク(シンセ)、ミック・ハウレット(ベース)等。後にピエール・モールランが主導する形でジャズ/フュージョン志向が強まった時期もあります。
- その後:ラインアップの変遷、解散と再結成、ソロ活動や派生バンドを経て、2000年代以降も断続的にGong名義での作品やツアーが行われました。デイヴィッド・アレンは2015年に逝去しましたが、Gong の影響力は継続しています。
Gong の音楽的特徴と魅力
- 独自の世界観(神話):音楽に付随する一貫した物語=Radio Gnome Invisible の寓話的設定が、アルバムを聴く体験を単なる曲の羅列以上のものにします。ユーモアと神秘性が同居する語り口が魅力です。
- スペース・サウンドと有機的演奏:アナログ・シンセやエフェクトを駆使した浮遊感、そこにジャズ的即興(サックスやフルート)やロックのドライヴが混ざり合うことで、空間的でありながら人間味ある演奏が実現します。
- “スペース・ウィスパー”という声の演出:ギリ・スミスの囁くようなヴォーカル表現はGongの象徴の一つで、幻想的な空気を作り出します。
- ユーモアと精神性の融合:ドラッグ文化や東洋思想、スピリチュアリティへの関心を、コミカルで親しみやすい表現に落とし込む力があります。このため敷居は低く、深掘りすると驚くほど哲学的な側面が見えてきます。
- ライブでの即興性:スタジオ盤とは異なる長尺のジャムやアレンジがライブでは頻繁に発生し、繰り返し聴く楽しみがあります。
代表作・名盤と聴きどころ(入門ガイド)
- Magick Brother(1970)
デビュー作。Gong の出発点としての重要性と、初期の歌中心のアプローチを知るのに最適です。
- Camembert Electrique(1971)
サイケ要素とロック的展開が混在し、初期の多様性を示す一枚。後のサウンドへつながる萌芽があります。
- Flying Teapot / Angel’s Egg / You(1973–1974)
いわゆる Radio Gnome Invisible 三部作。Gong の神話とサウンドが最も濃密に表現された時期で、スペースロック、プログレ、ジャズ、コメディ的要素が高次元で融合しています。特に「You」に収められた筋道の通った大曲や長い即興部分は必聴です(例:Master Builder 等、後に多くのミュージシャンに引用されるリフも存在)。
- Shamal(1976)
ラインアップの変化と音楽性の過渡期を示す作品。よりジャズ/フュージョン寄りの色彩が強まっています。
- 2032(2009)
復活後の代表作で、オリジナルの神話を引き継ぎながらも現代的なサウンドプロダクションでまとめられています。新旧ファン双方に評価の高い一枚です。
ライブ体験とパフォーマンス
Gong のライブは、演奏の巧みさだけでなく視覚的な演出、MC的な語り、即興の組み込みなど複合的なイベントです。曲の骨格は保ちつつも、その場で変容するアレンジが楽しめるため、同じ曲を繰り返し聴くことで新しい発見があります。観客を巻き込むユーモラスな語りやコスチュームも、単なる音楽ライブ以上の体験を提供します。
後続世代への影響と評価
- スペースロック/サイケデリックの文脈での重要バンドとして、多くのバンドやミュージシャンに影響を与えています(例:Ozric Tentacles など、サイケ・ジャム系バンド)。
- スティーヴ・ヒレッジやミック・ハウレットなど、Gong を経たメンバーはソロやプロデュースで別ジャンルにも影響を広げ、それがGongの知名度向上にも寄与しました。
- 「真面目さ」と「ふざけ心」を同時に持つアプローチは、後のオルタナ/アヴァン系の精神にも通じます。
Gong を聴き始めるためのプラン(初心者向け)
- まずは Radio Gnome Invisible 三部作のどれか1枚(例:Flying Teapot)を通して聴き、物語性と音世界をつかむ。
- そこから「You」や「Camembert Electrique」を聴き比べて、楽曲構成や即興性の違いを楽しむ。
- ライブ音源や近年作(2032 など)を聴くことで、スタジオ盤とライヴでの表現差を体感する。
- 関連するメンバー(スティーヴ・ヒレッジ、ティム・ブレイク、ピエール・モールラン)のソロ作にも手を伸ばすと、Gong の音楽的背景がより立体的に理解できます。
総括:Gong の「魅力」を一言で言うと
Gong の魅力は、「遊び心に満ちた叙事詩的サイケデリア」と「高い演奏力・即興性」が同居している点にあります。ふざけているようで深遠、実験的でありながら耳に残るメロディを持つ——そんな二面性が、長年にわたって多くのリスナーを惹きつけ続けている理由です。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


