The Faces(フェイセス)徹底解説:魅力・代表曲・ライブの熱量とレガシー

プロフィール:The Facesとは何者か

The Faces(フェイセス)は1969年にイギリスで結成されたロック・バンドです。もともと1960年代中盤に成功を収めたSmall Facesのメンバー(Ian McLagan、Kenney Jones、Ronnie Lane)に、ロッド・スチュワート(ボーカル)とロニー・ウッド(ギター)が加わって誕生しました。彼らはストレートなロックンロール、ブルース、カントリー感覚を雑に混ぜ合わせた“酒場的(パブ的)”なサウンドと、即興性とワイルドさに富んだライブで知られます。

主要メンバー

  • Rod Stewart(ロッド・スチュワート)— ボーカル(後にソロで世界的成功)
  • Ronnie Wood(ロニー・ウッド)— ギター(後にThe Rolling Stones加入)
  • Ronnie Lane(ロニー・レイン)— ベース/ソングライター(メランコリックで人間味ある曲を多く提供)
  • Ian McLagan(イアン・マクラガン)— キーボード(リズム感とグルーヴを支える存在)
  • Kenney Jones(ケニー・ジョーンズ)— ドラムス(堅実なビートでバンドを安定させる)

サウンドと魅力の核心

The Facesの魅力は「完璧さより人間味」を重視したところにあります。テクニシャンの精密さではなく、ステージ上の一体感、酒に酔ったような勢い、リズムのゆらぎや即興的なやり取りが聴き手を引き込みます。以下にその要素を整理します。

  • 生々しいヴォーカルと表情豊かな歌唱:ロッド・スチュワートのしゃがれた声は、感情の起伏やユーモアをダイレクトに伝える武器でした。
  • 双頭のギター/リズムの化学反応:ロニー・ウッドのスライドやリフと、イアンのロックンロール的なピアノ/オルガンが噛み合い、独特のグルーヴを作ります。
  • ソングライティングの幅:ロニー・レインの叙情的で素朴な曲(人間の弱さや旅情を描く)と、スチュワート/ウッドらのストレートなロック・チューンの振れ幅。
  • ライブの即興性と観客参加:シング・アロング(合唱)を誘うコールや、リズムを変えるジャム的展開など、観客と一緒に作るショーの楽しさ。
  • イメージの説得力:おしゃれ過ぎない労働者的なルックス、泥臭さと洒落っ気の同居が当時のロック像に新鮮さを与えました。

代表作とおすすめの聴きどころ

The Facesは短い活動期間(主に1970年代初頭)で数枚のアルバムを残し、その中に名曲と強烈なライブ感が詰まっています。特に聴いてほしい作品をピックアップします。

  • First Step(1970)

    ファーストアルバム。バンドとしての原石が見える一枚で、ライブ感と多様な楽曲性が窺えます。初期の勢いと共同作業のフレーバーが魅力です。

  • Long Player(1971)

    より落ち着きを増しつつ、曲の幅を広げてきた作品。ポップ寄りの曲から泥臭いロックまで、バンドの多面性が表れているアルバムです。

  • A Nod Is As Good As a Wink... to a Blind Horse(1971)

    商業的にも成功したアルバム。ここから「Stay With Me」などの代表曲が生まれ、バンドの知名度が広がりました。ロックンロールの爽快さとイギリス流のグルーヴ感が融合した名盤です。

  • Ooh La La(1973)

    バンド後期の傑作。タイトル曲「Ooh La La」は後年さらに評価が高まり、切ないメロディと歌詞が印象的です。構成においても成熟が感じられる一枚です。

ライブとパフォーマンスの魅力

The Facesはスタジオ録音以上にライブでの評価が高いバンドでした。下手を誇るような“未完成の魅力”を武器に、自由奔放で熱量の高いステージを展開。観客と同じ空気で歌い、演奏が時に崩れる瞬間すら一体感を生み出しました。こうした“現場主義”的な姿勢は、後のパブロックやパンクの一部アーティストにも影響を与えています。

解散とその後のレガシー

The Facesは1975年前後に自然消滅的に活動を停止します。ロッド・スチュワートのソロ成功、ロニー・ウッドのThe Rolling Stones加入、ケニー・ジョーンズのThe Who参加など、メンバー各自が別方向で活躍しました。解散後も、彼らの楽曲やライブ精神は再評価され、再発盤やベスト盤、リマスターで新たな世代に届いています。

その評価の核は「完璧さよりも生々しさ」を尊ぶ姿勢にあります。技術で聴かせるバンドではないが、聴き手に“今ここ”の高揚感を伝える力は現在でも色褪せていません。

なぜ今でも聴かれるのか:時代を超えた普遍性

  • 感情表現がストレートで分かりやすく、世代を越えて共感を呼ぶ。
  • 演奏の“余白”がリスナーに想像のスペースを与え、ライブ音源の価値を高める。
  • ロックンロール、ブルース、カントリーといったルーツ音楽を素直に咀嚼しており、現代のルーツ回帰にも相性が良い。
  • メンバーのその後の活躍(ソロ、他バンド加入)により、フェイセス期の音源に興味を持つファンが増え続けている。

入門ポイント:最初に聴くべき曲とアルバムの順序

まずは代表曲1〜2曲でバンドの“顔”を掴むのが効率的です。おすすめの順序:

  • 「Stay With Me」—(バンドのエネルギーとコーラスの魅力を即座に感じられる)
  • 「Ooh La La」—(メロウで印象的なタイトル曲;感情の奥行きを実感)
  • アルバムでは「A Nod Is As Good As a Wink...」→「Ooh La La」→「First Step」→「Long Player」の順で聴くと、成長と変化が追えます。

享受の仕方:レコード以外での楽しみ方

ライブ映像(公式・ドキュメンタリー)やメンバーのソロ作とあわせて聴くと、曲の背景やアレンジの違いがよく分かります。また、同時代のバンド(The Rolling Stonesなど)との比較で、フェイセス特有の“ゆるさ”や人間味がより際立ちます。

まとめ

The Facesは完璧主義とは縁遠い、泥臭くも心地よいロックの真髄を体現したバンドです。短い活動期間ながら、個性的なメンバーのケミストリー、唄とグルーヴの魅力、ライブの熱量は現在でも色褪せず、多くのミュージシャンやリスナーに影響を与え続けています。ロックの“楽しさ”を直球で味わいたい人にとって、入門にもなるし深掘りの価値も十分ある存在です。

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参考文献