Faces:70年代英国ロックの泥臭さと陽気さを体現する名盤ガイドと聴き方

イントロダクション — Facesとは何者か

Facesは1970年代初頭に活動したイギリスのロック・バンドで、Small FacesのメンバーだったRonnie Laneに、Jeff Beck Groupから移ったRonnie Wood、そしてソロで既に人気を博していたRod Stewartが合流して結成されました。ブルース/R&B由来の泥臭さと、英国的なパブ・ロックの気取らなさを兼ね備えたサウンドが特徴で、ロック史上“男臭く、だが陽気”な魅力を放ったグループです。

Facesの魅力 — 聴く前に押さえておくポイント

  • ボーカルの色合い:Rod Stewartのハスキーでドラマティックな歌唱と、Ronnie LaneやRonnie Woodの素朴で親しみある声の対比が、バンド・サウンドに多様性を与えています。

  • 演奏の即興性:スタジオ作品にも“ライブ感”が強く残り、演奏は緩急をつけたジャム的なノリが多いです。

  • 曲のレンジ:泥臭いロックンロールから、泣きメロのバラードまで幅広く、歌詞も酒場・旅・人間関係など身近な題材が中心です。

  • 歴史的位置づけ:Rod Stewartのソロ成功やRonnie WoodのRolling Stones加入によってバンドは短命ながら、70年代のロックの流れに強い影響を残しました。

おすすめレコード(アルバム)と深掘り解説

  • A Nod Is As Good As a Wink... to a Blind Horse(1971)

    Facesの知名度を決定づけたアルバムで、代表曲「Stay With Me」を含みます。曲ごとの完成度が高く、バンドの“ロックンロールに根差したポップ性”が最も露わになっている作品。ステージさながらの活きのいい演奏と、Rod Stewartの剥き出しのヴォーカルが直球で刺さります。初めてFacesを聴くならここから入るのが定石です。

  • Ooh La La(1973)

    バンドの成熟と別れが同居するような、情感の強いアルバム。アルバム・タイトル曲「Ooh La La」は、青春の過ちや後悔を哀愁を帯びて歌う名曲で、Ronnie Lane / Ronnie Woodの作風が色濃く出ています。全体としてはポップさと切なさが混じり合った作りで、バンドの“人間味”が丁寧に描かれています。

  • First Step(1970)

    Facesのデビュー盤。Small Facesからの移行期としての側面が強く、まだバンドの方向性を模索している感触が残りますが、その荒削りな勢いが魅力です。将来的に花開くスワンプ/パブ・ロック的な基盤が聴き取れます。

  • Long Player(1971)

    スタジオ・アルバムとしてのバランス感がよく、A面・B面で雰囲気が変わるような構成も楽しめます。さまざまなテンポ感やアレンジが試されており、バンドの幅を確かめたいリスナー向けです。

  • ベスト盤/BBCセッション等のコンピレーション

    Facesはシングル曲やライブでの名演が多く、コンパクトに名曲を聴きたいならベスト盤がおすすめです。BBCセッションやライブ音源の編集盤は、スタジオ録音よりもラフな表情やメンバー間のやり取りが感じられ、バンドの真骨頂を知るには最適です。

アルバムごとの聴きどころ(もう少し掘る)

  • A Nod...:コーラスの厚み、ギターリフの直系のかっこよさ、そしてヒット曲の瞬発力を味わってください。シングル曲はライブでの盛り上がりがイメージしやすいです。

  • Ooh La La:メロディの美しさ、歌詞の刹那感に注目。哀愁系のナンバーで胸に残るフレーズが多いので夜にじっくり聴くのがおすすめです。

  • First Step / Long Player:バンドの原石的な魅力、曲ごとに表情が違う点を楽しんでください。細かなアレンジやリズムの変化を追うと面白いです。

どこから聴き始めるか(聴き方の提案)

  • 入門:A Nod Is As Good As a Wink...(「Stay With Me」)→ Ooh La La(タイトル曲)

  • 深掘り:上記で気に入った曲のアルバム全体を通して聴き、次にBBCやライブ音源で生演奏の熱を確認。

  • 歌詞を追う:Ronnie Lane作の曲やRonnie Woodがリードを取る曲は、ほかにはない素朴な視点が光ります。歌詞カード(ライナー)を読みながら聴くと、より感情移入できます。

Facesを聴く意義 — 現代のリスナーへ

Facesは“完璧さ”を追求するバンドではなく、人間臭さ・即興性・仲間的な空気感を大事にした点で、現代のリスナーにも新鮮に響きます。ポップ志向のメロディとロックの荒々しさを同居させた作風は、ルーツ志向のロック/インディーを好む人にも訴えかけるはずです。

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参考文献