Magazine(マガジン)— ポストパンクの知性と実験性を深掘りする完全解説ガイド

Magazine — プロフィールと魅力の深掘りコラム

Magazine(マガジン)は、1970年代後半の英国ポストパンクを代表するバンドの一つで、パンク・ムーブメントのエネルギーを引き継ぎながらも、より洗練された楽曲構築、文学的な歌詞、実験的なサウンド・テクスチャを追求しました。ここではバンドの背景、音楽的特徴、代表作の聴きどころ、影響と現在に至るまでの意義を深堀して解説します。

結成とメンバー(概略)

Magazineは1977年にボーカルのハワード・デヴォート(Howard Devoto、元Buzzcocksメンバー)を中心に結成されました。初期の代表メンバーは以下の通りです。

  • Howard Devoto(ボーカル) — 作詞・フロントマン。知的で断片的な歌詞世界が特徴。
  • John McGeoch(ギター) — 鮮烈で独創的なギター・スタイル。後にSiouxsie and the Bansheesなどでも活躍。
  • Barry Adamson(ベース) — 低音で楽曲を牽引。後に映画音楽やソロでも知られる。
  • Dave Formula(キーボード) — シンセやピアノでテクスチャを補強。
  • Martin Jackson(ドラム) — 初期のリズムを支えたドラマー(メンバーチェンジあり)。

サウンドの特徴と作風

Magazineの音楽は単なるロックやパンクの延長ではありません。主な特徴は次の通りです。

  • ギターのテクスチャと反復的フレーズ:John McGeochによる鏡のようなフレーズや不協和的なリフが楽曲に独特の緊張感を与えます。
  • リズム隊の精密さ:Barry Adamsonのベースとドラムの組み合わせが楽曲のドライブ感と冷静さを両立させます。
  • シンセ/キーボードの空間演出:Dave Formulaの鍵盤がポストパンク特有の陰影を加え、メロディとテクスチャの間を埋めます。
  • 文学的で観察的な歌詞:デヴォートの歌詞は冷徹で分析的。断片的なイメージや心理描写に富み、聴き手の解釈を促します。
  • ダイナミクスと抑制:派手さを抑えた中での緊張の構築—静と動のバランスが巧みです。

代表作と聴きどころ

以下は入門にも、深く掘るにも適した代表作とそのポイントです。

Real Life(1978)

  • 概要:デビュー作。ポストパンクの新鮮さと実験性を同時に提示したアルバム。
  • 聴きどころ:シングル「Shot by Both Sides」や「The Light Pours Out of Me」に見られる短く鋭いフック、そしてデヴォートの冷静な語り口が光ります。ギターとシンセの対話も顕著。

Secondhand Daylight(1979)

  • 概要:より陰影の濃い雰囲気へと移行した作品。音響的実験と複雑なアレンジが増えます。
  • 聴きどころ:テンポや構成に緩急が付けられ、暗さと繊細さが同居するトラックが多いのが特徴です。

The Correct Use of Soap(1980)

  • 概要:ポップさと実験性のバランスが取れた作品で、比較的聴きやすい楽曲も増えています。
  • 聴きどころ:メロディックな曲構成とキャッチーな瞬間があり、バンドの幅広さを感じさせます。

No Thyself(2011)

  • 概要:2009年の再結成後に発表されたオリジナル新作。オリジナル・メンバーの精神性を受け継ぎつつ現代的な視点を加えた作品です。
  • 聴きどころ:往年のサウンド・エッセンスを保ちつつ、年月を経た成熟感が表れています。

代表曲(入門トラック)

  • Shot by Both Sides — 力強いイントロと鋭い歌詞でバンドの代表曲。
  • The Light Pours Out of Me — シンセとギターの絡みが印象的な初期の名曲。
  • A Song from Under the Floorboards — 内省的で緊迫感のある楽曲(収録アルバムにより表記や位置が異なる場合あり)。

ライブとパフォーマンスの魅力

Magazineのライブは、録音よりも生の緊張感やアンサンブルの緻密さが際立ちます。デヴォートの静かながら圧のあるヴォーカルと、楽器隊の精度の高い演奏が組み合わさることで、観客は楽曲の構造美をダイレクトに体感できます。過剰なパフォーマンスを避け、音楽そのものの密度で勝負するタイプのライブです。

影響とレガシー

Magazineはポストパンクの重要な参照点であり、以下のような影響を及ぼしました。

  • ギタリストやアレンジャーに対する影響:John McGeochのプレイは多くのギタリストに模倣され、ポストパンクやオルタナティヴのギター・アプローチに大きな足跡を残しました。
  • ポストパンクの音像形成:冷ややかな知性と実験精神を併せ持つアプローチは、後のポストパンク/ポストパンク・リバイバル系バンドにも受け継がれています。
  • メンバーの派生活動:Barry Adamsonらメンバーのソロや別プロジェクトも評価され、Magazineの影響は個々のキャリアを通じても拡散しました。

なぜ今聴くべきか — Magazineの現代的な魅力

音楽的な「柔軟性」と「知性」を併せ持つ点が、現代でもMagazineを魅力的にしています。ミニマルでありながら感情的な表現、スリリングな楽器間の駆け引きは、クラシック化したポストパンクの美学を学ぶ上で格好の教材です。ポストパンクやポストロック、インディー系の楽曲制作に興味があるリスナーにも多くの示唆を与えます。

聴き方ガイド(入門〜深堀り)

  • まずはシングル曲群(「Shot by Both Sides」「The Light Pours Out of Me」)でバンドの核を掴む。
  • デビュー作『Real Life』で初期の勢いと作風を確認し、続けて『Secondhand Daylight』でより陰影の深い世界へ。
  • 『The Correct Use of Soap』でメロディー寄りの側面を知り、興味があれば再結成作『No Thyself』で現在の音楽観を比較する。
  • ライブ音源やBBCセッションなど、スタジオ録音とは異なる生の緊張感を味わうのもおすすめです。

まとめ

Magazineは単なるポストパンクの代表格という枠を超え、構築的で文学的、かつ実験的な音楽性を持つバンドです。ハワード・デヴォートの冷徹な観察眼、John McGeochの先鋭的なギター、Barry Adamsonの重心の低いベースが合わさることで、時代を超えて響くサウンドを生み出しました。ポストパンクを学びたい、あるいは感性に訴える緊張感あるロックを求めるリスナーにとって、Magazineは必聴の存在です。

エバープレイの中古レコード通販ショップ

エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

エバープレイオンラインショップのバナー

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery

参考文献