Magazine(マガジン)徹底ガイド:ポストパンクの名盤を深掘り・聴き方と購入時のチェックポイント

Magazine(マガジン) — おすすめレコード深掘りコラム

イギリスのポストパンク/アートロック・バンド、Magazine(1977年結成)は、ハウィー・デヴォト(Howard Devoto)の知的で内省的な歌詞と、ジョン・マッギョーク(John McGeoch)を中心とした独特のギター/アレンジ感覚で、当時のシーンに強い影響を与えました。本稿では「名盤」と呼べるレコードを中心に、楽曲の魅力、聴きどころ、購入時の指標などを深掘りして解説します(レコードの再生・保管・メンテナンスに関する解説は除外します)。

Magazine の音楽的特徴と評価ポイント

  • 知的な歌詞:デヴォトの詩は単純なロックの語り口ではなく、内面の断片や都市生活の冷笑、断片化された感情を描く傾向が強い。

  • アンサンブルの工夫:ギターの鋭いフレーズ、キーボードの空間的な使い方、リズム隊のクールな演奏が有機的に絡む。

  • ポストパンクの幅を拡張:ダンサブルな曲、憂いのあるバラード、実験的なインストなど、多様な表情を持つ点が魅力。

  • 影響力:多くの後続バンドやギタリストに影響を与え、ポストパンク以降のオルタナティブ/インディ・シーンに連なる要素を残した。

おすすめレコード — まず押さえておきたい名盤(必聴)

Real Life(1978)

デビュー作にして彼らの核となるサウンドを提示したアルバム。ポストパンクらしい緊張感とメロディの両立が印象的で、鋭利なギターと洗練された鍵盤が際立ちます。エネルギーと抑制が同居する構成で、「Magazineとは何か」を知るのに最適な一枚です。

  • 聴きどころ:立ち上がりのインパクト、デヴォトの声の距離感、ギターワークと鍵盤の対比。
  • 代表曲(本作を代表するトラック群):シングル曲の強さとアルバム曲の統一感。

Secondhand Daylight(1979)

より陰影が増し、ムード志向が強くなった作品。アレンジの幅が広がり、内向性の深い楽曲が並びます。音楽的に実験的な試みも見られ、ポストパンクの“ダーク”な側面を好むリスナーに刺さる名盤です。

  • 聴きどころ:陰影あるアレンジ、抑えたテンポの強さ、叙情的なキーボードの使い方。
  • 代表曲:バンドのダークサイドを象徴するような楽曲群。

The Correct Use of Soap(1980)

前作までの暗さを持ちながら、メロディ面やポップ感覚がさらに洗練されたアルバム。シングル性の高い楽曲とアルバム全体のバランスが良く、初めてMagazineを聴く人にも入りやすい一枚です。バンドの柔軟性とポップ/アートの融合が感じられます。

  • 聴きどころ:キャッチーさと文学的な歌詞の両立、アンサンブルの巧みさ。
  • 代表曲:比較的ポップ寄りの楽曲が並ぶ点に注目。

Magic, Murder and the Weather(1981)

初期3作とは趣を異にする、より冷めた表情のあるアルバム。バンドの解散へと向かう過程で作られた作品でもあり、曲ごとに仄暗い余韻を残す点が特徴です。好みは分かれますが、Magazineの終盤の表情を知るうえで重要です。

  • 聴きどころ:終末感に近い静けさと均衡のとれた編曲。

No Thyself(2011)

再結成後に発表されたアルバムで、往年の精神を保ちながら現代的な音像も取り入れています。懐古的なだけでなく、成熟した視点で過去と現在を結ぶ作品として評価されました。オリジナル期のファンにも新規リスナーにも勧められる出来です。

  • 聴きどころ:復活作としての落ち着きと、現代のサウンドプロダクション。

編集盤・ライブ盤の勧め

代表曲をまとめたベスト盤や、当時のライヴ音源は入門用・補完用として有用です。初期シングル群やアルバム未収録曲をまとめた編集盤は、バンドの側面を広く把握するのに役立ちます。

聴き方・楽しみ方の提案

  • アルバム単位で通しで聴く:Magazineのアルバムは楽曲間の空気感や歌詞のトーンが重要なので、曲を飛ばさず通して聴くことで全体像がつかめます。

  • 時代順に追う:デビュー→中期→解散前→再結成の流れで聴くと、バンドの変化と成熟がより鮮明になります。

  • ギター/アレンジに注目:ジョン・マッギョークらのギターワークや鍵盤の配置が楽曲の核を作るため、楽器の配置や音の余白にも耳を傾けると新たな発見があります。

レコード購入時のチェックポイント(内容に関するもの)

  • 初期プレスとリマスター:音質や収録ボーナストラックの有無が異なるので、どちらの体験を求めるかで選ぶと良い。

  • 収録曲の差異:シングルB面や別バージョンが収められているエディションがあるため、収録内容を確認する。

  • ライナーと資料:再発盤の多くには充実した解説や未公開写真が付くことがあるので、資料性を重視するコレクターはチェック。

まとめ — Magazine を聴く意義

Magazineは「詩的な歌詞」と「洗練されたアンサンブル」が合わさったバンドです。一般的なロックの直線的な表現とは異なり、余白や不協和を含む構築性が魅力。今回挙げたアルバムを通して、ポストパンクの多面性、80年代前後の音楽的実験、そして現代に残る影響力を感じ取ってください。

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参考文献