Simply RedのLPおすすめレコード深掘りガイド|Picture BookからBig Loveまでの名盤徹底解説
Simply Red:おすすめレコード深掘りコラム
イギリス出身のソウル・ポップ・バンド、Simply Red。中心人物のミック・ハックナル(Mick Hucknall)のソウルフルな歌声と、ポップ〜ソウルのあいだを行き来する洗練されたアレンジで世界的な人気を獲得しました。本コラムでは、レコード(LP)で聴く価値が高い代表作と、その聴きどころ・コレクションの指針を深掘りして紹介します。音質や盤の状態に関する細かい再生・保管のコツは省き、作品の魅力と「どの盤を探すべきか」に焦点を当てます。
1. Picture Book(1985)
デビュー作にしてバンドの原点が詰まった1枚。ソウルと80年代のポップ感覚が混ざり合い、「Holding Back the Years」などの代表曲を生み出しました。
- 代表曲:Holding Back the Years、Money's Too Tight (to Mention)
- 聴きどころ:ミックの若々しいヴォーカルと、控えめながら効果的なストリング/ホーン使い。ポップソングとしての完成度が高く、シンプルなドラマ性が胸に残ります。
- 盤のおすすめ:オリジナル・プレスは当時のアナログ・マスタリングを味わえるため人気。近年のリマスター盤や180gプレスはノイズが少なく安定して聴けますが、音色のニュアンスはプレス/カッティング次第で変わるのでジャケット・インサートやマトリクス表記をチェックしましょう。
2. Men and Women(1987)
デビュー後に続けて発表された2nd。より洗練されたソングライティングとバンドの演奏力が表れ、ツアーでの演奏力も底上げされていった頃の作品です。
- 代表曲:The Right Thing など
- 聴きどころ:ソウル/ファンクへの傾倒が強まり、よりグルーヴィーなリズムとバンドのまとまりを感じられる曲が並びます。
- 盤のおすすめ:商業的にはPicture Bookほど話題にはなりませんが、アルバム単位で楽しみたいコレクターにはオリジナル盤や良好なリマスター盤が狙い目です。
3. A New Flame(1989)
カバー曲「If You Don't Know Me By Now」(Harold Melvin & the Blue Notes のカバー)が大ヒットし、バンドの認知度をさらに高めたアルバム。ポップとスロー・ソウルのバランスが巧みです。
- 代表曲:If You Don't Know Me By Now、A New Flame
- 聴きどころ:バラードの表現力が際立ち、ミックの声の太さ・艶をダイレクトに味わえる作品。アレンジも比較的豪華で、ラジオヒットになった曲が多いのも特徴。
- 盤のおすすめ:シングル・エディットとアルバム・バージョンの違いがある曲もあるため、フルアルバムを楽しみたいなら12インチシングルではなくLPを。国内の帯付き日本盤はマスターの状態が良いことが多く、コレクション向けです。
4. Stars(1991)
商業的にバンド最大の成功を収めた作品。英国でのセールスは非常に高く、Simply Redを代表する名盤とされています。ポップさと大人のソウルが高次元で融合した一枚。
- 代表曲:Stars、Something Got Me Started、For Your Babies
- 聴きどころ:プロダクションの完成度が高く、ポップ寄りの楽曲から繊細なバラードまでレンジが広い。ミックスの巧妙さにより、アナログで聴くと楽器の空気感やヴォーカルの遠近感がよく伝わります。
- 盤のおすすめ:初回プレスや国内盤(帯付き)は人気が高いです。オリジナルのアナログ・カッティングは雰囲気が好まれる一方、近年のリマスター盤はダイナミクスを整えてあることが多いので、好みに応じて選んでください。
5. Life(1995)
90年代半ばの作品。成熟したソングライティングと、アコースティックな要素を含む柔らかい仕上がりが特徴です。
- 代表曲:Fairground(UKチャート1位を獲得)
- 聴きどころ:エレクトロニカ/ダンス的なビートが取り入れられた曲もあり、バンドのサウンドが時代とともに変化していく過程を感じられます。ヴォーカル表現の幅広さが光る一枚。
- 盤のおすすめ:シングル曲のリミックス違いが多く存在するため、アルバム本体を楽しみたいならLPの完全盤を。限定盤やプロモ盤はコレクタブルです。
6. Blue(1998)
90年代末、バンドがよりソウル寄り/リラックスしたアプローチを採ったアルバム。静かな夜に聴きたくなる、ムード重視の楽曲が並びます。
- 代表曲:Oh! What a Girl、Beside You など
- 聴きどころ:ギターやホーン、キーボードの有機的な音色が前面に出ている曲が多く、アナログでの再生だと温かみが増します。
- 盤のおすすめ:この時期のアルバムはCD時代に作られたマスターが基になっていることが多いですが、良好なアナログ・カッティングがされたプレスを選べば十分魅力的です。
7. Simplified(2005)
既存楽曲をアコースティックやストリングス中心に作り直したセルフ・リ・アレンジ・アルバム。ヒット曲を違う角度で楽しみたい人におすすめです。
- 代表曲(再構築版):Holding Back the Years(再演)、If You Don't Know Me By Now(再演)
- 聴きどころ:原曲の骨格を保ちつつ、余分な装飾をそぎ落としたアプローチ。歌とメロディが直接響くため、ヴォーカルの表現をしっかり味わえます。
- 盤のおすすめ:リワーク作品として興味深いため、通常盤LPまたは限定盤を探すと良いでしょう。
8. Big Love(2015)
バンド解散(2010年の一度の解散後に再始動)以降の作品で、成熟したソングライティングと現代的なプロダクションの融合が特徴。最新期のSimply Red像を知るには最適です。
- 代表曲:Thinking of You など(アルバムのトーンに応じた曲が中心)
- 聴きどころ:クラシックなソウル感を保ちつつも、時代に合わせた音作りがなされており、長年のファンにも新規リスナーにも受け入れられやすい作品です。
- 盤のおすすめ:近年のプレスなので、状態の良い中古LPや公式再発を狙うと良いでしょう。
9. 入門盤・ベスト盤のすすめ
Simply Redはシングルヒットが多いため、まずはベスト盤やコンピレーションで「音楽性の幅」を掴むのがおすすめです。1996年リリースの『Greatest Hits』や、その後のベスト盤は、初めてLPを揃える人の入口として最適です。
レコード選びの実用的ポイント(作品別の選び方)
- オリジナル・プレス vs リマスター:オリジナル・プレスは当時の音像が楽しめる一方で、経年ノイズや傷が気になる場合があります。リマスター/再発の180gプレスはノイズが少なく聴きやすい反面、マスタリングの違いで音色が変わることを念頭に。
- 国内盤の魅力:日本盤(帯付き)はマスターの選定やプレス品質が良好であることが多く、コレクター価格でも価値があります。
- シングル・テイクとアルバム・テイク:ラジオヒットになった曲はしばしばシングル・エディットがあります。アルバムで聴きたいならLP本編を優先しましょう。
- 特別盤・限定盤:デラックス・エディションやボックスセットはボーナストラックやデモ音源が収録されることが多く、ファンなら押さえておきたいアイテムです。
聴き方の提案(アルバム体験を深めるために)
- ヴォーカルに注目:ミック・ハックナルの声の表情が作品の核。曲のフレーズや息遣いを聴き取ることで歌詞の感情が伝わります。
- アレンジの変化を見る:デビュー期の生バンド感→90年代の洗練されたポップ・ソウル→2000年代以降のアコースティック寄り再構築。時代ごとの変化をLPを並べて聴き比べると面白いです。
- アルバム曲順の妙:ベスト盤では切り出されがちな「アルバム曲」は、その順序で聴くことで制作時の意図やムードの流れが見えてきます。
どの盤から集めるべきか(おすすめ順)
- Picture Book — バンドの原点を知るために必須
- Stars — 商業的・制作的にハイライトの名盤
- A New Flame — バラード中心の魅力を堪能
- Life / Blue — 90年代以降の成熟期を聴く
- Simplified / Big Love — リワーク・近年作で幅を広げる
まとめ
Simply Redは「ヴォーカル主導のソウル・ポップ」として、アルバムごとに違った魅力を見せてくれます。初期のエモーショナルなポップ/ソウル、商業的成功を収めた『Stars』、そして成熟したバラード群。LPで聴くとアレンジの空気感やヴォーカルの息づかいがダイレクトに伝わるため、レコード収集は大いに価値があります。オリジナル・プレス、国内帯付き、リマスターのどれを選ぶかで音の色合いが変わるのも楽しみの一つです。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
参考文献
投稿者プロフィール
最新の投稿
音楽2025.11.22Paul Carrack 完全ガイド: Ace・Squeeze・Mike + The Mechanics からソロ作まで聴き方と必聴アルバム
音楽2025.11.22ポール・キャラック徹底ガイド:Ace・Squeeze・Mike + The Mechanicsを彩る歌声と名曲・名盤の魅力
音楽2025.11.22The Records(ザ・レコードス)徹底ガイド:UKパワーポップの名盤Shades in Bed/Crashes/Music on Both Sidesと聴き方
音楽2025.11.22The Recordsの概要と代表曲を徹底解説|英国パワー・ポップの名盤を聴く入門ガイド

