Matching Mole おすすめアルバム完全ガイド|デビュー作からLittle Red Record、BBCセッションまでカンタベリー・サウンドを深掘り
はじめに — Matching Moleとは
Matching Mole(マッチング・モール)は、ソフト・マシーンを離れたロバート・ワイアット(Robert Wyatt)が1971年に結成したバンドで、カンタベリー系の代表格のひとつです。ジャズ、ロック、実験音楽を柔軟に行き来する音楽性と、ワイアットの特徴的な歌声・ユーモア交じりの歌詞が魅力。活動期間は短かったものの、1970年代初頭の英国プログレ/ジャズロック・シーンに強い影響を残しました。本稿では、Matching Moleのおすすめレコード(スタジオ作・重要音源・編集盤)を中心に、各作品の聴きどころや選び方、コレクション時のポイントを解説します。
おすすめレコード総覧(優先度順)
- Matching Mole(デビュー・アルバム) — 入門に最適な名盤
- Little Red Record(セカンド) — より実験的・バンド色の強い傑作
- BBCセッション/ライブ、編集盤 — レア音源や別テイクを楽しむ
- 関連作:ロバート・ワイアットのソロ作(特にRock Bottom) — バンド後の展開を知るために
1. Matching Mole(デビュー盤) — なぜ聴くべきか
おすすめポイント:
- ワイアットの作曲・歌唱が前面に出た作品で、「カンタベリー・サウンド」を感じやすい入門盤。
- ジャズ由来の柔軟なリズム感、メロディアスさと実験性のバランスがとれている。
- 曲ごとに表情が異なり、優れたポップ感覚と前衛的アプローチが共存している。
聴きどころ(代表曲や注目点):
- 「O Caroline」のような叙情的で親しみやすいナンバーは、ワイアットならではの温度感がある。
- インスト/長尺パートでは、ジャズ的即興や変拍子が顔を出し、バンドの演奏力がわかる。
入手・選び方のヒント:
- オリジナル盤はコレクターズアイテムになっていることがあるが、まずは近年の良好なリマスター・CDや再発LPで音楽性を掴むのがおすすめ。
- 国内外の再発でボーナストラック付きのエディションが存在するので、別テイクやライヴ音源が好きならボーナス収録版を検討すると良い。
2. Matching Mole's Little Red Record(セカンド) — 深堀り向けの傑作
おすすめポイント:
- よりバンド志向で、アンサンブルの凝縮感やアレンジの緻密さが増している作品。
- 政治的/社会的なテーマを取り入れた歌詞や、音楽的な冒険心が強い点が特徴。
- デビュー盤よりもアグレッシブかつ実験性が前面に出るため、既にデビュー盤が気に入ったリスナーに特におすすめ。
聴きどころ(代表曲や注目点):
- フリージャズ的な要素や、曲内でのダイナミクスの振幅が大きく、聴き手を突き放したり引き込んだりする構造が魅力。
- 組曲的に展開する楽曲や、短いパートを繋ぎ合わせた実験的な編集も聴きどころ。
入手・選び方のヒント:
- セカンドも再発盤が複数あるため、解説やボーナストラックの有無を確認して選ぶとよい。
- スタジオ的完成度が高い反面、別テイクやセッション音源に価値を見出すコレクターも多い。
3. BBCセッション/ライブ音源・編集盤 — レア・テイクを楽しむ
おすすめポイント:
- 短い活動期間だったため、オフィシャルのスタジオ作品以外にBBCセッションやライヴ録音でしか聴けない演奏・編成がある。
- 別テイクや即興パート、ステージ上でのアンサンブルの熱量を味わえる。
聴きどころ:
- デモ的なアレンジや、アルバム版と異なる編曲での曲の表情の違いを楽しめる。
- メンバー・チェンジによるサウンドの違い(初期と後期で色合いが変わる)が確認できる。
4. ロバート・ワイアット関連作(必読)
補足として、Matching Moleをきっかけにロバート・ワイアットのソロ作品へ進むと、彼の作曲の幅広さと深さがより深く理解できます。特に『Rock Bottom』はワイアット作品の金字塔で、Matching Moleの流れを汲む名作です。
どのエディションを選ぶか(実務的なアドバイス)
- まずはストリーミングやCDで音楽性を把握:短命なバンドながら音楽的に濃密なので、まずは手軽に聴いて好みを確かめるのが現実的です。
- アナログでコレクションするなら:オリジナル盤はメンテナンスや価格の面でハードルが高いことがあるので、信頼できる再発プレス(リマスター済みの再発)を狙うのが現実的。
- ボーナス/別テイクに興味があれば:拡張版・再発盤の中には未発表曲やBBCセッションを収録したものがあるため、購入前にトラックリストの確認を推奨します。
聴き方のヒント(音楽的に楽しむための視点)
- ワイアットのボーカルと作風に注目:時に子守唄のように柔らかく、時にシニカルに響く声が曲の核になります。
- インスト・パートの即興性を楽しむ:ジャズ的なアプローチや予想外の展開が多いので、アルバム全体を通して“場”として聴くと面白いです。
- カンタベリー・シーンの文脈で比較する:同時代のSoft MachineやCaravan、Hatfield and the Northなどと比べると、Matching Moleの位置づけが見えてきます。
コレクター向けの注意点
- リリース年やレーベル表記などでプレス違いが多く出回っているため、オリジナル/再発を区別したい場合は盤面の刻印やカタログ番号を確認してください。
- なお、スタジオノイズや編集の違いで音像が変わることもあるため、レビューや専門サイトでの音質評価を参考にするのがよいです。
まとめ
Matching Moleは短期間の活動ながら、カンタベリー・シーンの中でも独特の存在感を放ったバンドです。まずはデビュー作『Matching Mole』でワイアットの歌世界とバンドの核を掴み、より実験的な『Little Red Record』で音の幅を体験すると良い流れです。BBCセッションや編集盤では別テイクや生の熱気が味わえます。再発・リマスター盤が多数存在するため、目的(音質重視・コレクション重視・希少音源狙い)に合わせて版を選んでください。
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参考文献
- Matching Mole — Wikipedia
- Matching Mole (album) — Wikipedia
- Matching Mole's Little Red Record — Wikipedia
- Matching Mole — AllMusic
- Matching Mole — Discogs


