Doobie Brothersのレコード聴き比べ完全ガイド:初期作からMinute by Minuteまでのおすすめアルバムと聴きどころ
イントロダクション — Doobie Brothersとレコード選びの視点
Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)は1970年代から続くアメリカンロック/AORの代表格。初期のギター中心のロック&ブルースから、マイケル・マクドナルド加入後のソウル/ブルーアイド・ソウル色の強い洗練されたサウンドまで、時代ごとに音像が大きく変化します。本コラムでは「レコードとして聴く」ことを前提に、音楽的特徴や聴きどころ、どんなリスナーに向くかを中心におすすめアルバムを深堀りして紹介します。
おすすめアルバム一覧(概観)
- The Doobie Brothers(1971)— デビュー作、ルーツ志向の出発点
- Toulouse Street(1972)— ブレイク作、「Listen to the Music」収録
- The Captain and Me(1973)— バンド・サウンドの完成形、ギターの躍動感が魅力
- What Were Once Vices Are Now Habits(1974)— ブルーグラス的要素とヒット「Black Water」
- Takin' It to the Streets(1976)— マイケル・マクドナルド加入、音楽性の転換点
- Minute by Minute(1978)— 商業的な到達点、洗練されたソウル/ポップ
- Best Of The Doobies(1976)— 初期〜中期のヒットを凝縮した入門盤
The Doobie Brothers(1971) — デビュー作の素朴さと原点
特徴:アコースティック/カントリー的な要素を含むフォーク寄りのルーツ・ロック。若さと伸びやかなハーモニーが魅力。
- 聴きどころ:バンドの素の演奏感、初期トム・ジョンストンのボーカルとギター・プレイ。
- おすすめポイント:後の洗練された作品を楽しむ前に、バンドの源流的な感性を知るには最適。
- 向くリスナー:フォーク/カントリーロック寄りのサウンドや、バンドの“素”を楽しみたい人。
Toulouse Street(1972) — ブレイクスルーと名曲の登場
特徴:「Listen to the Music」などのヒットを含む、商業的ブレイク作。ギター・ハーモニーとコーラスが前面に出た、ギター・ロックの快作。
- 代表曲:Listen to the Music、Jesus Is Just Alright(カバー)
- 聴きどころ:ポップでキャッチーなメロディに、バンドらしい複数ギターの絡み。テンポ感とドライブ感が心地良い。
- 向くリスナー:ラジオヒット的な名曲をレコードで楽しみたい人、70sロックの“爽快さ”を求める人。
The Captain and Me(1973) — ギター・アンサンブルの最高到達点
特徴:リズムとギターの相互作用が際立つ1枚。ロックのタフさと洗練が共存しており、バンド演奏の厚みが聴きどころです。
- 代表曲:Long Train Runnin'、China Grove
- 聴きどころ:リフによる楽曲構築、リズムのタイトさ、コーラスワーク。演奏中心のロック・アルバムとしての完成度が高い。
- 向くリスナー:ギター・ロックの生々しさやバンド感を重視するレコード・ファン。
What Were Once Vices Are Now Habits(1974) — 深みを増した作風とヒット曲
特徴:アコースティック寄りの曲も混じるが、ブラック・ミュージックやカントリーの要素が巧みにブレンドされた一枚。「Black Water」の成功で広い層に届きました。
- 代表曲:Black Water、Another Park, Another Sunday
- 聴きどころ:コーラスの厚みとハーモニー、楽曲ごとの色彩感の豊かさ。リラックスしたグルーヴが魅力。
- 向くリスナー:メロディと歌の魅力、曲ごとに変化する雰囲気を楽しみたい人。
Takin' It to the Streets(1976) — マイケル・マクドナルド期の始まり
特徴:トム・ジョンストン主体のロックから、キーボードを中心にしたソウル/AOR寄りのサウンドへと大きく舵を切った転換作。マイケル・マクドナルドの参加がサウンドを一新しました。
- 代表曲:Takin' It to the Streets、It Keeps You Runnin'
- 聴きどころ:緻密なキーボードアレンジ、ソウルフルなリードボーカル、洗練されたコード進行。これまでのロック色とは異なる層に響きます。
- 向くリスナー:ブルーアイド・ソウル、AOR、都会的なポップスが好きな人。
Minute by Minute(1978) — 商業的・音楽的ピーク
特徴:マイケル・マクドナルドの時代の集大成。ポップネスと複雑なハーモニーが融合し、グラミー受賞曲「What a Fool Believes」を含む名盤。
- 代表曲:What a Fool Believes、Minute by Minute、Dependin' on You
- 聴きどころ:スタジオでの緻密な仕上げ、洗練されたリズム、クリーンで艶のあるキーボード/ボーカル表現。商業的にも成功し、時代を代表するサウンド。
- 向くリスナー:ポップ志向で完成度の高いアレンジを求めるリスナー、AOR好き。
Best Of The Doobies(1976) — 初期〜中期ヒットを一枚で
特徴:バンドの代表曲を網羅したコンピレーション。初めてレコードでDoobie Brothersに触れるなら、この編集盤は手軽で分かりやすい入口になります。
- 聴きどころ:時間をかけずに主要曲の流れと音色の変遷を掴める点。ラジオヒット中心の流れで、パーティやクルマでの再生にも向く。
- 向くリスナー:まずは代表曲だけ抑えたい人。かつてのシングル感覚をレコードで楽しみたい人。
選び方ガイド:好み別のおすすめ
- ギター・ロックが好き → The Captain and Me、Toulouse Street
- ルーツ感/アーリー・フォーク寄り → The Doobie Brothers(デビュー作)
- ソウル/AOR系の洗練を楽しみたい → Takin' It to the Streets、Minute by Minute
- 代表曲を一気に楽しみたい → Best Of The Doobies(1976)
レコードで聴く際の“音の楽しみ方”ポイント(内容に集中するための視点)
- テープ/アナログらしい密度感:初期の作品はギターとハーモニーの密度が高く、盤の前に座って細部を追う楽しさがある。
- 編曲の違いを比べる:Toulouse Street〜Captain and Meのギターフォーカスと、Takin' It〜Minute by Minuteのキーボード中心アプローチの差を聴き分けると変化が面白い。
- ボーカルの質感:トム・ジョンストンのロック寄りの直球さと、マイケル・マクドナルドのソウルフルで色合いのある歌唱の対比が、このバンドの醍醐味。
- アルバム曲順にも注目:当時のアルバムはシーケンスで聴かせる作りになっているので、A面B面の流れを通して聴くと発見がある。
購入・盤の選び方(簡潔)
オリジナルの1970年代盤は当時の音作りやミックス感がそのままなのでコレクター向け。一方で、リマスターや180gの再発盤はノイズ処理やラウドネスが調整されており、現代設備で聴きやすいことが多いです。購入前に収録曲やクレジット(参加ミュージシャンやプロデューサー)を確認すると、バンドのどの時期の音かが把握しやすくなります。
まとめ
Doobie Brothersは「ギターのロック魂」から「洗練されたAOR/ソウル」まで幅広く楽しめるバンドです。レコードで聴くと、演奏の生々しさやアレンジの手触りがより明確に伝わってきます。初めてならBest Ofで代表曲を掴み、好みに応じてToulouse Street / The Captain and Me(ギター派)か、Takin' It to the Streets / Minute by Minute(ソウル/AOR派)を深掘りするのがおすすめです。
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参考文献
- The Doobie Brothers — Wikipedia
- The Doobie Brothers — AllMusic
- The Doobie Brothers — Rolling Stone
- The Doobie Brothers — Discogs
- Official — The Doobie Brothers


