Doobie Brothersのおすすめアルバムを深掘り解説—初期ロックからマイケル・マクドナルド期までの名盤ガイド
Doobie Brothers — おすすめレコード深掘りコラム
1970年代を代表するアメリカのロック・バンド、Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)は、トム・ジョンストン期のアメリカンロック~カントリー寄りのグルーヴから、マイケル・マクドナルド加入後のソウル/AOR寄りの洗練されたサウンドまで、幅広い音楽性を持ちます。本コラムでは、バンドの歴史的背景を踏まえつつ、コレクションに加えるべき“おすすめレコード”をピックアップして深掘りします。各アルバムの魅力(代表曲・制作時期・バンドの変遷における位置づけ)を中心に解説します。
簡潔なバンド史(背景)
ドゥービー・ブラザーズは1970年初頭にカリフォルニアで結成。初期はトム・ジョンストンを中心としたリズム重視のギター・ロックを基調とし、1973年~1975年頃のヒットで大きく飛躍しました。1975年前後にメンバーの入れ替わりが進み、1975年以降にマイケル・マクドナルドが正式加入すると、ソウルフルで鍵盤中心のサウンドへと方向転換。これによりバンドは新たなファン層を獲得しながらも、初期ファンとの間で音楽性の幅が広がりました。
Toulouse Street(1972)
・主な代表曲:Listen to the Music、Jesus Is Just Alright
・特徴:ブレイク作。トム・ジョンストン期のドライブ感あるギター・アンサンブルとコーラスが前面に出た、バンドの“原点”がよくわかる一枚。フィドルやブルージーな要素が程よく混ざるアメリカンロックで、初期のエネルギーを感じられます。
- なぜおすすめか:バンド入門として最適。シングル曲「Listen to the Music」は彼らの代名詞的存在で、ライヴでの盛り上がりも想像しやすい。
- 聞きどころ:ギター・リフとハーモニーの密度、初期のソングライティングの素地。
The Captain and Me(1973)
・主な代表曲:Long Train Runnin'、China Grove
・特徴:バンドの作曲力・演奏力が成熟した作品。リフとリズムの切れ味、米国南部的な香りとロックのダイナミズムが同居しており、商業的にも成功しました。
- なぜおすすめか:バンドの“黄金期”を象徴するアルバム。ロック・ファンが求めるグルーヴとフックが詰まっている。
- 聞きどころ:ギターのユニゾンやリズムの推進力、アルバム全体の統一感。
What Were Once Vices Are Now Habits(1974)
・主な代表曲:Black Water、Another Park, Another Sunday
・特徴:「Black Water」が全米チャートで上位に入り、一躍彼らをスターの座へ押し上げた作品。アコースティックで温かみのある曲から、ロック色の強い楽曲まで多彩です。
- なぜおすすめか:「Black Water」などのヒットを通じてバンドの幅が広がったことを示す重要作。アルバムのバランスが良い。
- 聞きどころ:コーラス・アレンジ、フォーキーなナンバーとロックの対比。
Stampede(1975)
・主な代表曲:Take Me in Your Arms (Rock Me a Little While)、Neal's Fandango(インスト)など
・特徴:この時期はメンバー交代が進む時期で、音楽性に変化の兆しが見え始めます。プロダクションはより多彩になり、カバー曲やインストの幅も拡がりました。
- なぜおすすめか:初期のロック志向から新たな要素を取り入れていく過渡期の記録として興味深い。
- 聞きどころ:アレンジの実験性、楽曲ごとの色の違い。
Takin' It to the Streets(1976)
・主な代表曲:Takin' It to the Streets、It Keeps You Runnin'(シングル)
・特徴:マイケル・マクドナルドが正式に参加してからの第一弾(部分的に関与は1975年頃から)。彼のソウルフルで伸びやかなボーカル、鍵盤を中心としたアレンジがバンドの音を大きく変えました。
- なぜおすすめか:“ドゥービー節”から“マイケル流”への転換点がはっきりわかる重要作。AOR・ソウル好きにも刺さる。
- 聞きどころ:リズム・セクションとマクドナルドの鍵盤ワーク、都会的なサウンドメイク。
Minute by Minute(1978)
・主な代表曲:What a Fool Believes、Minute by Minute
・特徴:商業的にも批評的にも成功したアルバム。シングル「What a Fool Believes」はグラミーを含む各種賞を獲得し、マイケル・マクドナルド期の代表作となりました。アレンジは洗練され、ソウル/ポップの境界で大きな影響力を持ちます。
- なぜおすすめか:マイケル・マクドナルドのソングライティングとボーカルが結実した傑作。AORや都会派ソウルの名盤としても評価が高い。
- 聞きどころ:緻密なコーラスワーク、スムースな歌メロと洗練されたプロダクション。
One Step Closer(1980)
・主な代表曲:Real Love、You Belong to Me(カヴァー)など
・特徴:1980年前後の作品で、商業的なポップさとバンドの成熟が混ざり合うアルバム。マクドナルド色は残りつつも、バンドとしてのアンサンブル感も重視されています。
- なぜおすすめか:70年代の流れを受け継ぎつつ80年代の洗練に向かう過程が感じられる一枚。コレクションに加えることでバンドの年代ごとの変遷が追いやすい。
近年の注目作:Southbound(2014)
・主な特徴:カントリー/現代のアーティスト達とのコラボレーションで過去のヒット曲を再録した作品(例:Blake Shelton、Brad Paisley ら参加)。オリジナルの味わいを保ちつつ、現代的なアレンジで再構築されています。
- なぜおすすめか:オリジナル曲の別アプローチを楽しめる。クロスオーバー的な楽しみがあるため、現代のアーティストのファンにも入りやすい。
おすすめレコードの“選び方”ポイント(音楽的観点)
- 初期のギター主導のロックを楽しみたいなら:Toulouse Street、The Captain and Me、What Were Once Vices Are Now Habits を優先。
- マイケル・マクドナルド期の洗練されたソウル/AORを好むなら:Takin' It to the Streets、Minute by Minute を。
- 年代ごとの変遷を通して聴きたい場合は:上に挙げた主要作を年代順に揃えるとバンドの進化がよくわかる。
- コラボや再解釈を楽しみたい場合は:Southbound のような再録・コラボアルバムも面白い補完になる。
リイシュー/プレス選び(購入アドバイス)
オリジナル盤(1970年代のオリジナル・ワーナー盤)はコレクターズアイテムとしての魅力があります。一方で、1990年代〜2000年代にかけてのリマスター盤やRhino等による再発は音質やボーナストラックの面で利点があることが多いです。どの版を選ぶかは“音の雰囲気を重視するか”“オリジナルのアートワークやビンテージ感を重視するか”で判断すると良いでしょう。
まとめ
Doobie Brothers は、初期のアメリカンロック的な魅力と、マイケル・マクドナルド加入後の洗練されたソウル/AOR的側面という二面性を持つ稀有なバンドです。コレクションを組む際は、まず“Toulouse Street”→“The Captain and Me”(初期の代表作)と、“Takin' It to the Streets”→“Minute by Minute” (マクドナルド期の代表作)を押さえると、彼らの全体像が把握しやすくなります。好みに応じて他のアルバムや近年作を加えると、より奥行きのあるディスコグラフィーが完成します。
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参考文献
- The Doobie Brothers — Wikipedia
- Doobie Brothers — AllMusic(アーティスト概要)
- Toulouse Street — AllMusic
- The Captain and Me — AllMusic
- What Were Once Vices Are Now Habits — AllMusic
- Takin' It to the Streets — AllMusic
- Minute by Minute — AllMusic
- The Doobie Brothers — Discogs(ディスコグラフィー/プレス情報)


