ピーター・ポール&マリー|60年代フォーク・リバイバルを牽引した三声ハーモニーと社会的影響

プロフィール

Peter, Paul and Mary(ピーター・ポール&マリー)は、1960年代のアメリカン・フォーク・リバイバルを代表するトリオ。1961年にニューヨークで結成され、メンバーはPeter Yarrow(ピーター・ヤロウ)、Paul Stookey(ポール・ストゥーキー/通称“Paul”または“Paul ‘Tone’”)、Mary Travers(メアリー・トラヴァース)。アコースティック・ギターを基調としたシンプルな伴奏と、澄んだ三声のハーモニーで幅広い聴衆を獲得しました。

音楽的特徴と魅力

彼らの魅力は、技術的な派手さよりも「伝える力」と「親しみやすさ」にあります。以下の要素が特に際立ちます。

  • 三声ハーモニー:3人それぞれの声質を活かした緻密で温かいハーモニー。表情豊かなコーラスが物語性の強い歌詞を引き立てます。
  • 歌詞の明瞭さと物語性:歌詞を聴衆に伝えることを重視した発音とアレンジ。政治的・社会的メッセージもわかりやすく提示しました。
  • 選曲力:トラディショナル曲、ピート・シーガーなどの先達、ボブ・ディランやジョン・デンバーといった同時代のソングライターの作品をうまく取り入れ、広い層に届くポップ性を付加しました。
  • シンプルで効果的なアレンジ:過剰装飾を避けた編成と、Milt Okunらによる洗練されたプロダクションが、歌のメッセージをストレートに届けました。
  • ステージングの親しみやすさ:聴衆を巻き込むトークや温かな存在感、共感を呼ぶパフォーマンスでライブでも高い支持を得ました。

代表曲・名盤の紹介

代表曲はプロテスト・フォークの精神とポップ感覚が同居するものが多く、以下は特に有名で影響力の大きな楽曲・アルバムです。

  • If I Had a Hammer (The Hammer Song):フォークの古典的なプロテスト・ソングをポップに昇華させたヒット。グループの知名度を一気に高めました。
  • Blowin' in the Wind(Bob Dylanのカバー):ディランの代表曲を広い層に届けたカバー。彼らのレパートリーが社会的問いかけを伴うことを象徴します。
  • Puff, the Magic Dragon:物語性の高い曲。子ども向けのやさしい語り口と深い寓意のバランスが特徴です。
  • Leaving on a Jet Plane(John Denver作):ジョン・デンバーの作品を取り上げたヒット。後にシングルで大きな成功を収め、世代を超えて知られる曲になりました。
  • The Wedding Song (There Is Love)(Paul Stookey作):ポールの作曲力を示す曲で、結婚式などでも広く歌われる名曲です。

代表的なアルバム:

  • Peter, Paul and Mary(デビュー盤, 1962):初期の魅力が詰まった作品群で、グループの基盤となったアルバム。
  • In the Wind(1963):重要なカバー曲を多数収録し、フォーク・プロテスト・ソングを広く伝えたアルバム。
  • Album 1700(1967):商業的にも成功した作品で、「Leaving on a Jet Plane」などが含まれるアルバム。

社会的・文化的影響

Peter, Paul and Maryは単なるヒット・グループではなく、1960年代の社会運動と強く結びついた存在でした。

  • 公民権運動や反戦運動の集会やチャリティ・コンサートに出演し、音楽を通じて政治的メッセージを広めました。
  • ボブ・ディランのようなフォーク系ソングライターの作品を取り上げることで、若手作家を主流市場へ橋渡ししました。
  • フォークからポップへと接着剤のような役割を果たし、その後のシンガー=ソングライター/フォーク・ポップ系アーティストに影響を残しました。

各メンバーの役割と個性

  • Peter Yarrow:主にテノール的なパートを担当し、多くのアレンジや作詞作曲に関与。社会活動にも積極的で、グループの“顔”の一人。
  • Paul Stookey:ギターと低めの声でハーモニーの土台を作る一方、ソングライターとして「The Wedding Song」などを提供。ソロでの活動も長く続けています。
  • Mary Travers:温かく力強いアルトでグループの声の重心を支え、聴衆との共感を作る重要な存在。ソロでも歌唱活動を行い、2009年に逝去しました。

現代への遺産と聴き方のヒント

現代のリスナーにとっても、Peter, Paul and Maryの曲は歌詞の普遍性とメロディの親しみやすさで色あせません。初めて聴くなら、まずは代表曲数曲を通して歌詞に耳を傾け、その後ライブ録音やアルバム全体で編曲やハーモニーの妙を味わうと理解が深まります。また、彼らがカバーした作家(Bob Dylan、John Denverなど)を辿ることで、60年代の音楽的ネットワークが見えてきます。

まとめ(魅力の要点)

  • わかりやすく心に残るメロディと歌詞を、清潔で力強い三声ハーモニーで届ける点。
  • 社会問題に対して音楽で行動を起こした、文化的な影響力。
  • フォークの伝統とポピュラー感覚を結びつけ、幅広い聴衆にアクセスさせたこと。

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参考文献