ボーラ・セッチをレコードで聴く:入門から深掘りまでの聴き方とおすすめアルバム
イントロダクション — Bola Sete とは何者か
Bola Sete(ボーラ・セッチ、本名:Djalma de Andrade)は、ブラジル生まれのギタリストで、サンバやボサノヴァのリズム感とジャズの即興性を巧みに融合させたアーティストです。ナイロン弦を用いたクラシカルなタッチと、ジャズ的な和声感覚、そして独自のリズム解釈が特徴で、ソロ・ギターの表現からピアノや管楽器とのコンボまで幅広い音楽性を残しました。本コラムでは「レコードで聴く」ことを前提に、入門盤・深掘り盤のおすすめを紹介し、それぞれの聴きどころを解説します。
聴く前の心構え — Bola Sete をレコードで楽しむポイント
音の空間感に注目する:ナイロン弦ギターの繊細なニュアンス、ピッキングの粒立ち、息遣いに近いダイナミクスを味わってください。
リズムの裏拍・ハネを感じる:ブラジル音楽特有の“間”や微妙な遅れ・前ノリが楽曲の肝になっています。
共演者との対話を聞き分ける:ピアノやパーカッション、ベースとの掛け合いから彼のアレンジ感覚と即興力が見えます。
おすすめレコード(入門〜必携盤)
The Solo Guitar of Bola Sete
ソロによる演奏をじっくり聴きたい人に最適。ギター単体での音色、左手のハーモニー処理、右手の指使い(アルペジオとストロークの切り替え)がよく分かります。彼のメロディ・センスとフレーズの呼吸がダイレクトに伝わる名刺代わりの一枚です。
聴きどころ:メロディの反復とバリエーション、フィンガーピッキングで作るベースラインの独立性。
Brazilliance(シリーズ)
ブラジル色とジャズ性が混在したコンボ作品群。ギターがリードと伴奏を素早く切り替える場面が多く、バンドとのアンサンブルでの存在感を楽しめます。軽快なサンバ〜ボサノヴァ・チューンからスローなバラードまでバランスよく収録されていることが多いです。
聴きどころ:リズム隊とギターの掛け合い、コードワークの色付け。
Vince Guaraldi と共演したアルバム(Vince Guaraldi & Bola Sete 系)
ピアニストとの共演作は、和声感の広がりや即興的な会話が魅力。グアルデリの軽やかなピアノとボーラ・セッチのギターが互いに補完し合い、ジャズ寄りの聴きやすさがあります。ポピュラー曲やスタンダードの解釈も参考になります。
聴きどころ:ピアノとの掛け合い、リラックスしたグルーヴ感。
Live(モントレーなどのライブ録音)
ライブ盤ではスタジオ録音では出ない即興の空気感、観客との相互作用、演奏中の自由度の高さが魅力です。テンポの揺れやソロの伸び縮みといった“生の演奏”を味わえます。
聴きどころ:即興の展開、会場の雰囲気が演奏に与える影響。
Shebaba(あるいはポップ寄りの編成作品)
オーケストレーションや吹奏楽的な編成を取り入れた作品では、ギターがより曲全体のサウンドデザインに寄与する様子が分かります。ポップ/ラテン寄りのアレンジで聴きやすいトラックも多く、入門→深掘りの橋渡しとしておすすめです。
聴きどころ:アレンジとギターのバランス、メロディのキャッチーさ。
おすすめの聴き方(トラック別・場面別ガイド)
まずはソロ曲を1曲丸ごと:ギター一台の表現力を把握するのに最適。
次にトリオ/コンボ曲を選ぶ:ベースとドラム(あるいはパーカッション)との対話に耳を向け、彼がどう伴奏を作るかをチェック。
ライブ録音でエネルギーを確認:即興展開の自由度や、スタジオ録音との差を体感。
共演作は“会話”を意識して聴く:相手がピアノ/管楽器の場合、どのようにスペースを作るかが見えてきます。
深掘りポイント — ギタリスト視点で分析する聴きどころ
左手のハーモニー処理:複音(ポリフォニー)的な動かし方でメロディとベースラインを同時にどう作るか注目。
右手のリズム解釈:クラシック系の指使いを基盤にハイブリッドでストロークを入れる場面が多いです。
モチーフの再利用:短いフレーズを変化させて曲全体を構築する手法が目立ちます。
ブラジルのリズム感とジャズの和声の融合:独特のテンション感・解決感の付け方を探してみてください。
どのアルバムを買うべきか:初心者〜コレクター別おすすめ選択
初心者:ソロや共演で聴きやすい1枚(上で挙げたソロ盤やGuaraldi共演盤)から入るのが良いです。
中級リスナー:コンボ/バラエティに富んだアルバムでアレンジの幅を確認。
コレクター:ライブ盤やリミテッドなオリジナル・プレス、未発表曲を含む再発盤を狙うと新しい発見があります(現物はディスコグラフィで要確認)。
聴き比べの提案(楽しみを倍増させる方法)
ソロ盤 vs 共演盤:同じ曲が違う編成で演奏されている場合、表現の差を比べると彼のアレンジ力が見えます。
スタジオ録音 vs ライブ録音:同じ楽曲でも即興部分やテンポ感に違いが出るため、2種類を続けて聴くと面白いです。
初期作 vs 晩年作:キャリアの変遷を追うと技法の成熟や表現の変化が感じられます。
結び — Bola Sete をレコードで追う楽しさ
Bola Sete の魅力は、ギターひとつで豊かな世界を作れる表現力と、バンドプレイで見せる柔軟な対応力にあります。レコードで聴くと空間的なニュアンスや演奏の息づかいがよりリアルに伝わってくるので、まずは上記の入門盤から聴き進め、気に入ったタイミングでライブ盤や共演作へ深掘りしていくのがおすすめです。
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参考文献
- Bola Sete — Wikipedia
- Bola Sete — AllMusic
- Bola Sete — Discogs(ディスコグラフィ)
- Bola Sete — RateYourMusic(ユーザー評価)


