Laurindo Almeidaのクラシック×ジャズを結ぶブラジリアン・ギター名盤ガイド
Laurindo Almeida — 簡潔な紹介
Laurindo Almeida(ラウリンド・アルメイダ)はブラジル生まれのギタリストで、クラシックの技術とジャズの即興性、ブラジル音楽のリズム感を独自に融合させたパイオニアです。20世紀中葉からアメリカで活躍し、映画音楽やスタジオワークでも幅広く活動。特に、冷静で透明感のあるトーンと繊細な指さばき、そしてジャズ奏者とのセンスの良い対話で知られます。本稿では“レコードで聴くならこれ”という視点で代表的・必聴の盤を深掘りし、各盤の聴きどころを解説します。
おすすめレコード(解説・試聴ポイント付き)
Brazilliance!(Bud Shank と共演)
概要:アルメイダがサックス奏者Bud Shankと組んだ代表作。西海岸ジャズのクールな感触とブラジル的なリズムが自然に溶け合った一枚です。
聴きどころ:アルメイダの繊細なアルペジオと、Shankの歌うようなフレーズの対比。アンサンブルの中での“間”の使い方、ビートに対する余裕あるタイム感に注目してください。ブラジリアン・リズムが前面に出るトラックと、よりジャズ寄りのナンバーが混在しているので、彼の多面性がよく分かります。
おすすめトラック:ギターとサックスの掛け合いが光る小品群(アルバムを通しての一貫したムードを楽しんでください)。
Brazilliance, Vol. 2(続編)
概要:第1作の流れを受け継ぎつつ、より余裕のあるアレンジや選曲が楽しめるフォローアップ。コンボのサウンドがさらに洗練されています。
聴きどころ:編成やアレンジの違いから来る音の厚み、アルメイダのフレーズに見える“クラシック的な整合感”が際立つ場面があります。和声進行の扱いやギターの音色変化を追うと、彼の音楽観が垣間見えます。
Guitar Music of Spain and South America(クラシック寄りの作品)
概要:アルメイダの“クラシック・ギター”としての面を強調したアルバム群の代表例。スペイン・南米の古典的レパートリーや民謡的な曲を、クラシカルな技巧で演奏します。
聴きどころ:ナイロン弦ならではの繊細な表現、左手の音色コントロール、フレーズの歌わせ方に注目。ジャズ的即興とは異なる“書かれた音楽”への取り組み方から、彼のテクニックと音楽性の深さが分かります。
クラシックとジャズの架け橋的録音・室内楽的な共演盤
概要:オーケストラや室内楽、あるいはクラシック奏者との共演を収めた録音群。ここではクラシック的編曲とジャズ的感性が同居します。
聴きどころ:編成が大きくなっても失われないギターの存在感、そしてクラシック的な配置の中で見せる即興的要素。音の「間」と「余白」をどう活かすかという点が面白く、アルメイダのアレンジ感覚も楽しめます。
編集盤・アンソロジー(入門・再発盤)
概要:初期の名演からスタジオワーク、コンボ作品までを幅広く網羅した編集盤は、アルメイダの全体像を手っ取り早く把握するのに向いています。オリジナルLPが入手困難な場合はCD/配信のリイシューを探してください。
聴きどころ:いろいろな時期の録音を比較することで、演奏スタイルの変遷、録音技術やアンサンブルの違いが分かります。お気に入りの一曲が決まったら、その時期のアルバムを深掘りすると発見があります。
各盤を深掘りするための“聴き方”と注目ポイント
音色の把握:ナイロン弦の柔らかさと、ピックや指のアタックの違い。アルメイダはクラシック流の右手指使いを基盤にしつつ、ジャズの略式表現(スウィング感や小節の前後感)を巧みに取り入れます。音の立ち上がりや減衰を注意深く聴くと彼の技巧が分かりやすいです。
ハーモニーの扱い:クラシック的な和声進行とジャズ的コードのテンション(9th、13th等)が混在する場面が多いです。単にコードをなぞるのではなく、内声や分散和音の使い方に耳を傾けてください。
リズムと“ラテン感”:ブラジル音楽由来のアクセントやスウィングのニュアンス(例えばバランスドな裏拍感)をどうギターで表現しているか。小編成のコンボでのスネアやブラシとの絡みも重要です。
対話(インタープレイ):サックスやピアノなど他楽器との掛け合いに注目。ソロが立つ場面と伴奏に回る場面での音の作り分けが巧みで、演奏家としての成熟度がうかがえます。
レコードを選ぶ際の実用的なアドバイス
オリジナルLPとリイシュー(CD/配信)は音作りが異なります。オリジナル盤は録音の空気感が魅力、リイシューは音の均一性や帯域補正で聴きやすくなっていることが多いです。好みで選んでください。
クレジット(演奏者名、録音年、スタジオ)をチェックすると、その盤がどの時期の録音か、どのような編成で作られたかが分かります。特に共演者に著名なジャズ奏者がいる盤は、演奏の化学反応に注目。
編集盤は“名演集中型”なので入門に適していますが、気に入った時期・サウンドが見つかったらオリジナルアルバムを追いかけるとより深く楽しめます。
まとめ
Laurindo Almeidaはクラシックの精緻さとジャズの即興性、そしてブラジル独特のリズム感を一つの語り口にした希有なギタリストです。Brazillianceシリーズのようなコンボ盤での軽やかな対話、クラシック寄りのソロ録音での繊細な音作り、共演作で見せるアレンジ性――どの方向から入っても楽しめる器用さがあります。まずは代表的なコンボ盤とクラシック寄りの一枚を聴き比べ、彼の“二面性”を堪能してみてください。
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参考文献
- Laurindo Almeida — Wikipedia
- Laurindo Almeida — AllMusic(ディスコグラフィーとレビュー)
- Laurindo Almeida — Discogs(レコード一覧)


