ラウリンド・アルメイダ名盤ガイド|ジャズとブラジル音楽の融合をLPで楽しむおすすめレコードと聴き方
はじめに — ラウリンド・アルメイダとは
ラウリンド・アルメイダ(Laurindo Almeida, 1917–1995)は、ブラジル生まれのギタリスト/作曲家で、クラシック・ギターの技巧をジャズやブラジル音楽(ショーロ、サンバ、ボサノヴァの前身)へ溶け込ませた先駆者です。1950年代を中心にロサンゼルスのジャズ/レコーディング・シーンで活躍し、ブラスやフルート、弦楽器などを配した“室内ジャズ”的な美しいアレンジと、繊細なギター表現で広く評価されました。本稿では、「レコード(LP)で聴く価値のあるおすすめ作」を中心に、各盤の聴きどころや入手・版の選び方、楽しみ方のポイントを深掘りして紹介します。
おすすめレコード(厳選)
Brazilliance!(Laurindo Almeida with Bud Shank)
概要:アルメイダとアルト・サックス/フルート奏者のバド・シャンクが組んだ初期の名盤。1950年代の西海岸ジャズ/ラテン風味が融合したサウンドで、ブラジル的リズムと現代的ジャズ・アンサンブルが自然に調和します。
聴きどころ:アルメイダの繊細で透明感のあるアルペジオやハーモニクス、バド・シャンクのリリカルなソロの掛け合い。ジャズの即興性とブラジル民謡的なフレーズが共存する点に注目してください。
版の選び方:オリジナルのPacific Jazz盤は音の太さや空気感が魅力です。CD再発やデジタル・リマスターが存在するので、ノイズ許容度やコレクション性で選ぶと良いでしょう。
Brazilliance Vol. 2(Laurindo Almeida & Bud Shank)
概要:第一作の延長線上にありつつ、より多彩な編成やアレンジを試みた続編的作品。アルメイダのブラジル音楽への深い理解がより鮮明に出ています。
聴きどころ:一曲一曲に異なる色彩があり、室内楽的なアンサンブルの妙とジャズのスウィングが同居。ギターの音色の微妙な変化、リズムの揺らぎを意識して聴くとアルメイダの「橋渡し」的役割がよく分かります。
版の選び方:上と同様にオリジナルのアナログ盤は音場が魅力。近年のリマスター盤はノイズ低減と解像度向上が期待できます。
Duets with the Spanish Guitar(Salli Terri, Laurindo Almeida & Martin Ruderman)
概要:歌手サリー・テリーをフィーチャーした、クラシックとラテンの香りを纏った名盤。アルメイダのクラシック寄りのギター伴奏が歌の表情を引き立てます。ヴィラ=ロボスなどブラジル系作曲家の作品も含まれることが多く、クラシック側の作品解釈としても価値があります。
聴きどころ:声とギターの繊細な対話、フレーズの間(ま)の取り方、音色のコントラスト。アルメイダの“クラシカルな右手”と“ジャズ的な色づけ”が同居する貴重なドキュメントです。
版の選び方:オリジナル(Vanguardなど)もしくは良質なCDリマスターを。歌声のニュアンスを大切にしたリマスター盤がおすすめです。
ソロ/クラシカル寄りのギター作品(編集盤やソロLP)
概要:アルメイダはクラシック・ギタリストとしての側面も強く持っており、ソロ・ギターやクラシック寄りの録音も多数残しています。ヴィラ=ロボスやスペイン/南米の小品を中心に、ギターの音色と奏法をじっくり味わいたい人向け。
聴きどころ:ポジション移動、トレモロ、アルペジオ、左手の音色処理など、ピュアなギター技巧と音楽表現。ステレオ収録以前のモノラル録音でも、演奏のニュアンスは十分伝わります。
版の選び方:収録曲や録音年代で好みが分かれます。曲目重視で選ぶのが吉です(全集的編集盤やベスト盤が便利)。
映画/スタジオワーク集(コンピレーション)
概要:ロサンゼルスでのスタジオ仕事や映画音楽での参加曲を集めた編集盤は、アルメイダの多才さと商業的セッションでの柔軟性を示しています。
聴きどころ:短いフレーズや色付けで瞬時に情景を作る技術、様々なジャンルへの適応力。アルメイダの“プロとしての側面”を知るには最適です。
盤ごとの楽しみ方・聴きどころを深掘り
ジャズ寄り(Brazilliance系)を聴く際
・編成の“隙間”に注目:ピアノが入らない編成や室内楽風の配分では、ギター/管楽器の残響や会話が良く聴き取れます。アルメイダの右手の細かな強弱や、サステインの使い方を追ってみてください。
・アドリブとアンサンブルの線引き:アルメイダはソロだけでなく“伴奏であること”の美学を重視します。独奏が出ても必ずアンサンブルに戻るような構成が多く、その戻し方が勉強になります。
クラシック/歌ものを聴く際
・声とギターのテンポ感:歌手とのデュエットではテンポの揺らぎやルバートの取り方に注目。ギターは決して伴奏を埋めない、隙間を作る技巧が見事です。
・音色の描き分け:ナイロン弦ギターの倍音やタッチの変化で作られる“色”を、ヘッドホンや良いスピーカーで確認するとアルメイダの細やかな表現がより伝わります。
版(プレス)選びのコツ
- オリジナル・アナログ:1950年代のオリジナル盤はテイクの空気感やアナログの温度が魅力。針やプレイヤーの状態次第ですが、音場の自然さは代えがたいです。
- リマスター/CD:ノイズを気にするなら良質なリマスター盤を。特にクラシック系の録音はダイナミクスを潰さないマスタリングを選ぶのが重要です。
- 日本盤・紙ジャケ:国内盤はパッケージや解説が充実していることが多く、選曲・解説で価値が上がる場合があります。
- デジタル配信:便利ですがマスタリングや音源元が不明な場合もあるので、配信のマスター情報(どのリマスターか)を確認すると良いです。
聴くときの具体的なチェックポイント(リスニング・ガイド)
- ギターの右手(タッチ):アルメイダは爪の使い方/指先の当て方で音色を細かく変えます。ソロや小さな伴奏フレーズでの右手のニュアンスを探してください。
- アンサンブルの“間”:特に室内楽的アレンジでは「間」の使い方が表現の鍵。音が鳴っている部分だけでなく、鳴っていない瞬間に注意を払うと演奏者同士の会話が見えてきます。
- リズムの化粧:ブラジル音楽のリズムは西洋拍節と微妙にズレることがあり、そこが魅力。スウィングとは違う“揺れ”を感じ取ってみましょう。
入手のヒント
- コレクター向け:Discogsでプレス情報や市場価格を確認。オリジナル盤は年代やマトリクスで価値が変わります。
- 再発/編集盤:AllMusicや各レーベル(Pacific Jazz、Vanguardなど)の再発情報をチェックすると、まとまった選集や音質の良いリマスターを見つけやすいです。
- サブスク/配信:手早く入門するなら配信サービスで代表作をチェック。気に入ったらアナログやCDの良盤を狙う、という流れが現実的です。
アルメイダを聴き進めるためのロードマップ
- まずは:Brazilliance!(ブレイジリアンス)系で“ジャズ×ブラジル”の側面を体感。
- 次に:Duets with the Spanish Guitar のような歌もの・クラシック寄りでギターの細やかさを味わう。
- 深掘り:ソロ・ギター作品やコンピレーションで奏法・レパートリーの幅を確認。
まとめ
ラウリンド・アルメイダは「国境をまたぐギタリスト」として、クラシックの繊細さとジャズの即興性、そしてブラジルのリズム感を等しく備えていました。LPというフォーマットで聴くと、当時の録音空間や演奏者の呼吸がよりリアルに伝わります。まずはBrazilliance!系でその独特の融合感を味わい、クラシック寄りのデュエット盤で細部を確認する──この二段階で彼の魅力がぐっと見えてくるはずです。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


