ラリー・グラハムのスラップ奏法とファンク名盤を徹底解説するレコードおすすめガイド

はじめに — ラリー・グラハムという人物

ラリー・グラハム(Larry Graham)は、ソウル/ファンク史において「スラップ奏法」を確立したベーシストとして知られるレジェンドです。Sly & the Family Stone のリズム隊での活躍を経て、自身のバンド Graham Central Station(以下 GCS)を率い、70年代以降のファンク/R&B に強烈な影響を与えました。本コラムでは、「レコード(LP)」という視点から、ラリー・グラハムを深掘りし、これからコレクションに加えたいおすすめ盤とその聴きどころを解説します。

なぜラリー・グラハムのレコードを聴くべきか

  • ベースの革新性:スラップ/ポップ奏法の原点に触れられる。ベースがメロディとリズムの両面を担う、ダイナミックなサウンドはレコードで聴くと一層生々しい。

  • ブラック・ミュージックの転換点:60〜70年代のソウルからファンク、そして後のR&B/ヒップホップに続く流れがそのまま記録されている。

  • バンドとしての存在感:GCS の作品は、グルーヴの強さとコーラス/ホーンアレンジのロック的な迫力が同居しており、アナログ盤でのダイナミクス表現が魅力的。

おすすめレコード(厳選)

  • Sly & the Family Stone — Stand!(代表曲を含む盤)

    ラリーが在籍した時期の代表作群のひとつ。ソウル、ロック、ファンクが混ざり合ったダイナミックなサウンドは、ラリーのベースがリズムとメロディ双方で機能する良い教科書になります。特にベースラインが印象的な楽曲群は、後のスラップ奏法やファンクの基礎を理解するのに最適です。

    聴きどころ:低域の推進力とフィルの効いたベースライン。グループヴォーカルとリズムの掛け合い。

  • Sly & the Family Stone — There's a Riot Goin' On(深みのあるファンク)

    前作から一転、よりダークでミニマルなサウンドに傾いた名盤。ラリーのプレイはより“曲に溶け込む”形で機能しており、フレーズのニュアンスやタッチを味わうのに向いています。レコードで聴くと独特の空気感と低音の暖かさが伝わりやすいです。

    聴きどころ:抑えた中にも存在感を放つベース、リズムの“間”とテクスチャ。

  • Graham Central Station — Graham Central Station(デビュー作)

    ラリー脱退後に結成した自身のバンドのデビュー。ここで彼はベーシスト/リーダーとしての個性を前面に出し、ファンクをより“祝祭的”に昇華させます。ベースが歌うようなフレーズ、派手なスラップ、ホーンやコーラスとの掛け合いはレコードでの再現性が高く、当時の演奏の勢いがそのまま伝わってきます。

    聴きどころ:ベースのリード的プレイ、コール&レスポンスのテンション。

  • Graham Central Station — Ain't No 'Bout-A-Doubt It(GCS の充実期)

    GCS の人気が確立された時期の傑作で、ファンキーなダンスチューンからスローなソウルまでバラエティに富みます。ラリーのベースワークは楽曲ごとに異なる顔を見せ、グルーヴの幅広さを体感できます。クラブファンク的な曲もあり、アナログならではのパンチが楽しめます。

    聴きどころ:楽曲によるベースの表情の変化、リズムセクションの一体感。

  • Larry Graham(ソロ/80年代以降のバラードやR&Bを含むソロ作)

    ソロ活動ではファンクだけでなく、R&B やバラード寄りの曲も多く出しています。ベースが主役のファンク曲とは違い、シンガーとしての表現や楽曲プロデュース面も評価できます。ラリーのヴォーカルと繊細なベースワークが両立した一枚は、彼の音楽的幅を知るうえで重要です。

    聴きどころ:ヴォーカル表現とベースのバランス、メロウなアレンジ。

各盤の「聴き方」ガイド — 深掘りポイント

  • フレーズ単位で聴く:ラリーはベースに歌わせるタイプの奏者です。ひとつのフレーズを繰り返し聴き、ミュートの使い方、タッチの変化、ポップ(弦を弾いて音を出す)とスラップの切り替えを確認してください。

  • ドラムとの“間”を意識する:彼のプレイはキックとの対話に特徴があります。ベースとキックの関係性が楽曲の推進力を生むので、低域の輪郭に注目してみましょう。

  • バックコーラス/ホーンとの相互作用:GCS の魅力はアンサンブルの密度です。ベースが埋もれずにヴォーカルやホーンとどう絡むかを聴くとアレンジの妙が見えてきます。

  • 曲ごとの役割を比較する:同一アーティスト内でも「ベースが主旋律を担う曲」「リズムに徹する曲」「空間を作る曲」があります。複数のアルバムを並べて聴くと、彼の引き出しの多さがよく分かります。

コレクター向けの楽しみ方・発見ポイント(音そのものへの注目)

  • プレスやマスタリングの違いでベースの輪郭やアタック感が大きく変わります。好みの音を見つけると聴く喜びが増します(盤のメンテナンスや再生方法についてはここでは扱いません)。

  • シングルカットやプロモ盤には別テイクやモノラルミックスが残っていることがあるため、音像の違いを比較すると新しい発見があります。

まとめ — ラリー・グラハムのレコードが教えてくれること

ラリー・グラハムのレコードは、単に「ベースがうまい」だけではなく、楽曲全体のグルーヴを組み立てることの意味、ポピュラー音楽におけるベースの可能性を教えてくれます。Sly & the Family Stone 時代の革新性、Graham Central Station の祝祭性、そしてソロで見せる表現の幅──これらを通して彼の全体像を追うことは、ファンク/R&B をより深く理解することにつながります。

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参考文献