ラリー・グラハムの名盤徹底ガイド:Sly時代からGraham Central Stationまでのファンク史を聴く

イントロダクション:ラリー・グラハムという人物

ラリー・グラハム(Larry Graham)は、ファンク/ソウル史における最重要ベーシストのひとりです。1960年代後半にSly & the Family Stoneでの活動を経て、1970年代にGraham Central Stationを結成。太いトーンと強烈なグルーヴ、そして「スラップ奏法」を普及させた功績で知られ、プリンスやその他多くのミュージシャンに直接的な影響を与えました。本稿では“聴くべきレコード”を中心に、各作の魅力と収集時のポイントを深掘りします。

おすすめレコード(カテゴリー別)

  • Sly & the Family Stone 時代(基礎編)

    ここでのラリーの役割はバンドのグルーヴの心臓。特に初期のアルバムは彼のベースがバンドサウンドを支える要になっています。

    • Dance to the Music(1968)
      解説:サイケ/ソウルとファンクの橋渡しをする大衆的な名盤。ラリーのビート感がポップな楽曲を骨太に支え、ファンクの入口として最適。

    • Stand!(1969)
      解説:バンドの代表作のひとつ。ソウル、ロック、ファンクが混ざり合うダイナミズムが詰まっており、ラリーのベースラインが楽曲の推進力になっている箇所が多い。

  • Graham Central Station(ラリーの巨大な実験場)

    1970年代にラリーが率いたプロジェクト。ゴスペル的な熱量、太いベースとブラス、コール&レスポンスの掛け合いなど、彼の音楽的嗜好が色濃く反映されています。

    • Graham Central Station(1974)
      解説:バンドのセルフタイトル・デビュー。ゴスペル的熱情とファンクの躍動が同居するサウンドで、ラリーのヴォーカル面とベースの両方を堪能できる一枚。

    • Ain't No 'Bout-A-Doubt It(1975)
      解説:"The Jam"などのクラシックを含む代表作。よりファンク寄りのアレンジとダイナミックなリズムが特徴で、ベースフレーズの多様性を楽しめます。

    • Mirror(1976)
      解説:GCSのなかでも抒情的な面が出た作品。スロウ〜中速のグルーヴでラリーの“歌うベース”が際立つ楽曲が多い。

  • ソロ/後期の活動(R&B寄りの魅力)

    ソロ作ではよりメロウなR&B志向が強まり、ラリーの表現の幅を別の角度で見せてくれます。

    • One in a Million You(1980、シングルおよび同タイトルアルバム)
      解説:タイトル曲はスロウR&Bの定番で、ポップなメロディとラリーのソウルフルな歌声が前面に出ます。ファンク・ベース主体の曲とは異なる“歌もの”の魅力を知るうえで重要。

  • ライブ盤・コンピレーション(変化球)

    ライブ録音や編集盤は、スタジオ音源とは異なる即興性や演奏の熱量を感じられるため、コアなファンには強く薦められます。Graham Central Stationのライブ音源ではベースの即興やブラスとの掛け合いが生で体感できます。

各アルバムを聴くときに注目したいポイント

  • ベースのフレーズ:彼の特徴はメロディックでありながらリズムを強化する“歌うベース”。楽曲ごとに音域やアタック、フレーズ構成が異なるため比較して聴くと面白いです。

  • ゴスペル的コール&レスポンス:特にGraham Central Stationでは、コーラスやブラスとベース/声が交互に盛り上げるアレンジが多いです。

  • アレンジの振れ幅:Sly時代のサイケ〜ソウル寄り、GCSのストレートなファンク、ソロでのR&B寄りの楽曲。時代やプロジェクトごとの音作りの違いを辿ると、ラリーの音楽的進化が見えます。

レコード(盤)を探すときの実務的ポイント(コレクション視点)

  • オリジナル盤の価値:初期・オリジナルプレスはアートワークや音像の魅力が強く、コレクターズアイテムとしても人気です。Sly & the Family Stoneの初期作やGraham Central Stationの70年代初期プレスは需要が高め。

  • 再発/リイシュー:近年はリマスターやアナログ再発も多く、状態やマスタリングの違いで聴こえ方が変わるため、リイシュー情報もチェックすると良いでしょう。

  • 国内盤のメリット:日本盤は帯付・解説が充実していることが多く、状態の良いものが出回る傾向があります。コレクション用途や解説重視なら国内盤狙いも有効です。

おすすめの聴き方順(入門〜深掘り)

  • まずはSly & the Family Stoneの"Stand!"や"Dance to the Music"で基礎的なファンク/ソウルの文脈を掴む。

  • 次にGraham Central Stationのセルフタイトル作、"Ain't No 'Bout-A-Doubt It"でラリーのリーダー/作曲家としての個性を体験する。

  • 最後にソロ作("One in a Million You" 等)でヴォーカルやR&B寄りの側面を聞き分ける。ライブ盤で即興性に触れるのも推奨。

まとめ:なぜラリー・グラハムを聴くべきか

ラリー・グラハムのレコード群は、ファンクとソウルの歴史を音で辿るための生きた資料であり、ベースが単なるリズム楽器にとどまらず“メロディ”や“感情”を担えることを教えてくれます。バンドの推進力として、あるいはフロントマンとして、彼の作品はどれも個性的で、コレクションとしても聴き物としても大いに価値があります。

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参考文献