アルフォンソ・ジョンソン:Weather Reportのメロディック・フレットレス・ベースとフュージョンの軌跡

アルフォンソ・ジョンソン(Alphonso Johnson)とは

アルフォンソ・ジョンソンはアメリカのジャズ/フュージョン・ベーシストで、特にエレクトリック・ベース(フレットレスも含む)を駆使したメロディックなプレイで知られます。1951年生まれ(フィラデルフィア出身)で、1970年代のジャズ・フュージョン黄金期に重要な役割を果たし、Weather Report のメンバーとして知られるほか、ソロ作や多様な共演を通じて幅広い音楽シーンに影響を残しました。

来歴の概略

  • 初期〜台頭:若年期からベースに親しみ、1970年代初頭からプロ活動を開始。フュージョンの潮流が盛り上がる中で注目を集めました。
  • Weather Report での活動:1970年代中盤に Weather Report に参加し、グループのサウンドに大きな影響を与えました。特にバンドのよりリズミカルかつグルーヴィーな展開に貢献しています。
  • ソロ/セッション活動:バンド活動と並行してソロ・アルバムやセッションワークも多数行い、フュージョンのみならずソウル/R&B/ポップス系の現場でも柔軟にプレイしました。

プレイスタイルと魅力

  • メロディ重視のベースライン:単なるリズム楽器にとどまらず、メロディやハーモニーを意識したフレーズ作りが特徴。ベースが旋律的な役割を担う場面が多く、曲全体を牽引する「歌う」ベースを聴かせます。
  • フレットレスの活用:フレットレス・ベースを用いることで滑らかな音のつながりやビブラート、滑り(グリッサンド)表現を多用。これが温かく人間味のあるトーンを生み、フュージョンの叙情性に寄与しています。
  • 音色とエフェクトのセンス:エレクトリック・ベースならではのエフェクト(オクターバーやエンベロープ系等)を適宜使い、モダンかつ表情豊かなサウンドを作りますが、決して過度にならず曲の説得力を優先するアプローチが魅力です。
  • リズム感とグルーヴ:複雑なハーモニーやポリリズムを携えたフュージョンにおいて、堅実でかつ柔軟にグルーヴを生み出すことができる点も大きな魅力です。

代表的な参加作・おすすめリスニング

ソロ作や多くの共演作があるため、入門〜深掘りまで段階的に追うことをおすすめします。以下は特に聴きどころの多いものです。

  • Weather Report 関連:1970年代中盤のアルバム群(Mysterious Traveller、Tale Spinnin' など)は、ジョンソン在籍時のバンド・サウンドを知るうえで重要です。ベースの役割が拡張された時期の演奏を聴けます。
  • ソロ/リーダー作:ソロ・アルバムでは彼自身の作曲やアレンジ、リズム感覚がよりクリアに出るため、プレイヤーとしての個性を直接感じられます(アルバム名は年代や版によって異なるため配信サービスやディスコグラフィで最新情報を確認するとよいでしょう)。
  • 共演作:多くのセッションワークに参加しているため、彼の名をクレジットで見つけたらチェックしてみてください。バンドや編成が変わるたびに違う顔を見せるのも楽しみの一つです。

作曲・アレンジ面での貢献

アルフォンソ・ジョンソンは単なるベーシストとしてだけでなく、編曲や作曲面でもバンド・サウンドに寄与してきました。ベースラインが曲のフックや構造を形作るような曲作りを好み、他楽器と絡む低音パートの構成力に優れています。フュージョンにおける「ベースの役割」を再定義した人物の一人と言えるでしょう。

影響とレガシー

  • フレットレス/メロディック・ベースの普及:彼のプレイは後続のフュージョン/ジャズ・ベーシストに大きな影響を与え、フレットレスを用いたメロディックなアプローチを広めました。
  • シーン横断的な活動:ジャズにとどまらず多ジャンルのプレイヤーと協働したことで、クロスオーバー音楽の発展にも寄与しています。
  • 教育・クリニック活動:演奏活動のほか、後進の指導やクリニックなどを通じてテクニックや思想を伝えてきた点も評価されています。

これから聴く人へのガイド

  • まずは Weather Report 在籍時のアルバムを聴いて、バンド内での役割と音色の魅力を掴むと良いでしょう。
  • 次にソロ作や参加セッションでのプレイを辿ることで、作曲性や多彩なアプローチがより見えてきます。
  • ライブ音源を聴くとスタジオ録音とはまた違う即興性やインタープレイの面白さがわかります。ベースの音作りやフレージングの変化を注目して聴いてみてください。

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参考文献