Klaus DoldingerとPassportの名盤ガイド:聴き方・選盤のコツと映画音楽の魅力を徹底解説
はじめに — Klaus Doldinger を聴く理由
クラウス・ドルディンガーはドイツを代表するサックス奏者/作曲家で、ジャズ・フュージョン・バンド「Passport」のリーダーとしての活動と、映画・テレビ音楽の両面で長年にわたり高い評価を得てきました。欧州的なメロディ感覚とジャズの即興性、ロック/ファンク的なリズム感覚を融合させたサウンドは、レコードで聴くほどに味わいが深まります。本稿では「聴くべきレコード」をピックアップし、それぞれの聴きどころや選盤のアドバイスを交えて深掘りします。
短い略歴(要点)
- 生年:1936年(活動は1950年代末〜現在に至る)
- バンド:Passport(1971年結成。欧州を代表するジャズ・フュージョン・グループ)
- 映画/テレビ音楽:TVシリーズのテーマや映画音楽も多数担当(代表作に『Das Boot』『The NeverEnding Story』など)
- 楽器:主にテナー/ソプラノ・サックス。作編曲家としての評価も高い
おすすめレコード(名盤ピックアップ)
1. Passport — 「Passport」 (デビュー作、初期Passportの衝撃)
なぜ聴くか:Passportの自己紹介的デビュー作は、ジャズの即興性とロック的推進力、当時のシンセ/電気楽器を取り入れた実験精神が詰まっています。欧州発のジャズ・ロック/フュージョンを知る上で最重要の一枚です。
- 聴きどころ:ドルディンガーの太く伸びのあるテナー、フレーズの歌心、バンドとしてのテンションの作り方。曲ごとのダイナミクス(静→爆発の構造)を意識して聴くと面白い。
- おすすめトラック(注目ポイント):タイトル曲やリード曲のサックス・メロディ、バンドのグルーヴ感に注目。
- 盤の選び方:オリジナルのアナログLPは熱量とダイナミクス感が魅力。リマスターCDはディテールが聴き取りやすいので、聴く環境に合わせて選ぶと良い。
2. Passport — 1970年代中期のライヴ/スタジオ作(代表的な中期作群)
なぜ聴くか:初期のブルース/ジャズ寄りの色合いから、徐々にシンセやエレクトリック・ベースを大胆に導入し、より“フュージョン”方向へ到達していく過程が味わえます。バンドの変遷とドルディンガーの作曲スキルが立体的に見える時期です。
- 聴きどころ:リズム隊と鍵盤のアンサンブル、ソロの作り方。アルバムごとに異なるゲストや編成の違いを比べると興味深い。
- おすすめ盤の選び方:同一タイトルでもリマスターやボーナストラックの有無で印象が変わります。初期の熱気を求めるなら初期プレス、中期以降のサウンドプロダクションを楽しみたいならリマスター盤が良いでしょう。
3. Das Boot — Original Motion Picture Soundtrack(映画『Das Boot』のサウンドトラック)
なぜ聴くか:ドルディンガーは映画音楽でも高評価を得ており、『Das Boot』はその象徴的な仕事のひとつです。映画の緊張感と閉塞感を音で表現する手腕は、映画音楽としてだけでなく独立した音楽作品としても成立しています。
- 聴きどころ:テーマの反復と変奏による緊迫感の構築、管弦楽的アプローチとジャズ的表現のバランス。サウンドトラックとして劇中の場面転換に伴う音楽の効果を確認すると理解が深まります。
- おすすめ盤の選び方:サントラは映像と結びつくため、映画を観た上でサウンドトラックを聴くと相乗効果があります。リマスターされたCDやデジタル・ハイレゾがあれば、低域の表現や残響感がより明瞭になります。
4. The NeverEnding Story — Original Motion Picture Soundtrack(映画『ネバーエンディング・ストーリー』の一部スコア)
なぜ聴くか:ファンタジックな要素とメロディ・センスの高さが際立つ仕事です(主題歌は別作曲家のヒット曲が有名ですが、スコア自体の構築も印象的)。劇的なフレーズと繊細なオーケストレーションの扱いに注目してください。
- 聴きどころ:主旋律の扱い方、場面に合わせた色彩感(木管やシンセの使い分け)、映画的なフレーズの“歌わせ方”。
- おすすめ盤の選び方:映画音楽は複数版(サントラ版、拡張版、リマスター版)が出ることが多いので、トラックリストを比較してボーナス曲や未発表曲が含まれるか確認すると良いです。
5. ベスト/コンピレーション(入門用に最適)
なぜ聴くか:長いキャリアの中で多様な側面を持つため、まずはベスト盤でドルディンガーの代表的なサウンドを俯瞰するのが効率的です。Passportから映画音楽までバランスよく収録された編集盤を1枚持っておくと、好みの方向性が見えます。
- 聴きどころ:収録曲の時代順に聴いて、サウンドの変化(アコースティック寄り→エレクトリック寄り→シネマティック)を確認する。気に入った曲からオリジナル・アルバムに遡ると深掘りが容易。
- おすすめ盤の選び方:収録曲の網羅性、音質(リマスターの有無)、解説やライナーノーツの充実度で選ぶと良い。
聴き方のコツ(作品ごとのフォーカスポイント)
- Passport(初期〜中期):リズムの乗り方とサックスのフレージング。ソロの構築を追うことで演奏者間の対話が見えてくる。
- 映画音楽:テーマのヴァリエーション、楽器編成による色彩表現、劇中での機能(緊張・解放・回想など)を意識して聴く。
- コンピレーション:作品を横断して聴き、作曲・編曲上の共通項(メロディの作り方、コード進行の好み、リズム処理)を探す。
選盤アドバイス(フィジカル盤の目利き)
- オリジナルLP:初期Passportのエネルギーやライブ感を味わいたければオリジナル・プレスが一枚目の候補。プレス状態(盤面とジャケットの保存状態)を確認する。
- リマスター/拡張盤CD:映画音楽や後期作品の細部を聴くならリマスターや拡張版が有利。ボーナストラックや未発表音源が付くこともある。
- デジタル/ハイレゾ:低域や残響、シンセの細かな音色を重視するならハイレゾ配信を検討。逆に「温かみ」を求めるならアナログLPを。
どこから入るか(入門〜上級の歩き方)
- 入門者:まずはベスト/コンピレーションで代表曲を押さえる。
- 中級者:Passportの初期フルアルバムと1〜2枚のサントラを比較して、ジャンル間の橋渡しを体感する。
- 上級者:各アルバムのオリジナル盤やリマスター盤を複数聴き比べ、アレンジやミックスの違いを検証する。
最後に:Klaus Doldinger の魅力とは
一言で言えば「メロディとバンドのためのフレーズ作りの巧さ」です。ジャズ的なアドリブとポップ・メロディの橋渡しを自然に行い、バンド全体のダイナミクスとドラマ性を作り出す稀有な音楽家です。レコードで聴くと、録音/ミックスの空気感や演奏時の呼吸が肌で感じられ、より深く楽しめます。
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参考文献
- Klaus Doldinger — Wikipedia (English)
- Passport (band) — Wikipedia (English)
- Das Boot (film) — Wikipedia (English)
- The NeverEnding Story (film) — Wikipedia (English)
- Klaus Doldinger — Discogs


