アルフォンソ・ムーゾンのフュージョンを極める:必聴アルバムと聴きどころ完全ガイド

Alphonse Mouzon — フュージョン界の多彩なリズム・クリエイター

Alphonse Mouzon(アルフォンソ・ムーゾン、1948–2016)は、1970年代のジャズ・フュージョンを象徴するドラマー/作曲家の一人です。卓越したグルーヴ感、ロックやファンクを取り込んだ攻めのビート、そしてメロディ=フックに富んだ楽曲センスで、リーダー作から数多くのセッションまで幅広く活躍しました。本稿では「是非レコードで聴いてほしい」おすすめ作をピックアップし、それぞれの聴きどころやアルバムが示す音楽的特徴を深掘りしていきます。

おすすめレコード一覧(解説付き)

  • Mind Transplant

    ムーゾンの代表作。ハードで直球のフュージョン・サウンドが詰まった一枚で、エネルギッシュなドラムとファンク/ロック色の強いギターワークが印象的です。タイトル曲のような突進力のあるナンバーから、メロウでシネマ的なパートまで幅があり、ムーゾンのコンポジション力とドラミングの両方を堪能できます。フュージョン初心者にも刺さりやすい“聴きやすさ”と“アグレッシブさ”を兼ね備えた傑作です。

  • Funky Snakefoot

    アルバム名が示す通り、ファンク色を前面に押し出した作品。太いベースライン、ホーンやキーボードのファンキーなリフ、そしてムーゾンのグルーヴィーなスネア・ワークが絡むことで、ダンス寄りのソウル/ファンク感覚が強く出ています。1970年代のフュージョン文脈で“踊れる”要素を求めるなら外せない一枚。アレンジのコントラストが効いており、トータルの流れも良好です。

  • The Essence of Mystery

    初期のリーダー作のひとつで、よりジャズ寄りの感覚とムーゾンの作曲センスを感じられるアルバム。しなやかなスウィング感やスペーシーなエレクトリック・サウンドを同居させ、フュージョンの“幅”を見せる内容です。ドラミングは技巧的でありながら曲をしっかり支えるプレイが評価される一枚で、ムーゾンの多面的な魅力に触れられます。

  • In Search of a Dream(/同時期のメロウ路線作)

    この系統の作品では、ムーゾンの作曲におけるメロディ重視の姿勢が強く出ます。スロー〜ミディアムテンポのトラックでの叙情性、クールなアレンジ、そして時折見せるソウルフルな歌心が特徴です。リスニング用途(深夜やリラックス時)のBGMとしても優秀で、ムーゾンの“静と動”のバランス感覚が光ります。

  • The Man Incognito / ヴァラエティに富んだ中期作

    中期以降のアルバム群は、ムーゾンの音楽的な冒険心が色濃く出る時期。ロック、ファンク、R&B、ジャズを自由に往来し、時にボーカル曲を取り入れるなどポップ性も増しています。多彩なゲストを迎えたアレンジや、プロダクションの変化を楽しむのに適したコンピューション的価値もあります。

  • セッション参加作(必聴のコラボレーション)

    ムーゾンは多数のリーダー作だけでなく、他アーティストの作品における名脇役としての仕事でも知られます。彼の特徴的なドラミングは、ソロでも伴奏でも作品の色を決定づけることがあるため、彼が参加しているセッション作(ジャズ/フュージョンの名盤や名演盤)をチェックするのも非常に有意義です。リズムの“色付け”としてのムーゾンを発見できます。

各アルバムの聴きどころ(技術・表現面から)

  • ダイナミクスとフレーズの組み立て

    ムーゾンは単に速く叩くドラマーではなく、曲の構造に合わせてダイナミクスをコントロールする巧者です。イントロでの呼吸感、ブレイク部分での空間処理、ソロでのドラマ構築など、楽曲ドラマを意識したプレイに注目してください。

  • ファンクとジャズのハイブリッド

    スネア・ワークやシンコペーションに見える“ファンクの匂い”と、スウィングやポリリズムに見える“ジャズ的な自由”が同居します。これが彼のプレイをユニークにしており、同時代の多くのドラマーと一線を画すポイントです。

  • 作曲家としての耳

    ドラマーでありながらメロディやアレンジに対する嗅覚が鋭く、楽曲そのものが印象に残ります。単なる伴奏以上に「曲をどう魅せるか」を考えた構成がされているので、作曲視点で聴くと発見が多いです。

買い方・聴き方のアドバイス(音源選び)

  • まずは代表作(上で挙げたMind TransplantやFunky Snakefootなど)から聴いて、ムーゾンのプレイの方向性と好みを把握するとよいでしょう。

  • リイシュー盤にはボーナストラックやリマスターが施されたものもあるので、新旧を比較して音作りの違いを楽しむのもおすすめです。

  • セッション参加作も並行してチェックすると、彼が他者の音楽にどう接続しているかが見えてきます。バックでの“色付け”が見えると、ムーゾンの音楽性が一層立体的に理解できます。

まとめ — ムーゾンを聴く価値

Alphonse Mouzonは、テクニックだけでなく「音楽としての強さ」を兼ね備えたドラマー/作曲家です。フュージョンの“熱”とジャズの“緻密さ”、ファンクの“ノリ”を等しく備えた作品群は、聴き手に豊かな発見を与えてくれます。まずはエネルギッシュな代表作で引き込まれ、その後でメロウな作品やコラボ盤に踏み込むと、ムーゾンの全体像がより鮮明になるはずです。

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参考文献