Toti dal Monteの聴き方ガイド:おすすめレコードとリイシューの選び方
Toti dal Monte — おすすめレコード深掘りコラム
トティ・ダル・モンテ(Toti dal Monte、1893–1975)は、20世紀前半に活躍したイタリアのリリック・コロラトゥーラ・ソプラノです。小柄ながら透明感のある柔らかな声と俊敏なパッセージをもって、ドニゼッティやベッリーニ、ロッシーニなどベルカント作品で高い評価を得ました。本コラムでは、ダル・モンテを初めて聴く方から既にファンの方までを対象に、「聴くべき代表レコード(リイシュー含む)」と、それぞれの聴きどころ・選び方のコツを整理して紹介します。
ダル・モンテの音楽的特徴(聴き始める前に押さえたい点)
- 声質:明るく透明感のある軽めのソプラノ。高音の伸びと色彩感、フレーズの細やかな装飾が魅力。
- レパートリー:ドニゼッティ(特に「ルチア」)、ベルカント全般、軽いヴェリズモやオペレッタの一部も歌唱。
- 表現スタイル:ベルカント伝統に根ざしたアジリタ(速いパッセージの正確さ)と、イタリア語の語感を生かしたヴィブラートとポルタメントの使い分け。
おすすめレコード(入門〜愛好家向け)
- コンピレーション(「Complete Recordings / The Best of」系)
概要:78回転盤時代のスタジオ録音やシングル録音をまとめたCD/デジタル音源。各レーベルから「Complete」「Anthology」「The Art Of」などのタイトルで出ています。
聴きどころ:ドニゼッティやベッリーニのアリアでの細かい装飾、息遣い、リズムの軽やかさ。録音は古典的ですが、ダル・モンテ本来の声質と表現がまとまって聴けます。
入手のヒント:製作(リマスター)元が明記されたもの、ライナーノーツで録音年・共演者が分かる盤を選ぶと歴史的背景を把握しやすいです。
- 「代表アリア」セレクション(ベスト・オブ)
概要:「ルチア(ドニゼッティ)」「リゴレット(ギルダ)」「ラ・ソンナンブー(アミーナ)」などの代表アリアを集めた短めの編集盤。初めて聴く方におすすめ。
代表曲例(聴きどころ):
- ルチアのガラスの場面(Mad Scene)系の断片 — フレージングの切れ味と高音の透明さ
- ギルダの「Caro nome」類 — レガートとコロラトゥーラの繊細さ
- アミーナのアリア — 哀感を帯びた抒情表現
長所:短時間で主要な魅力が掴める。音質が良いリイシューを選べば初期録音でも聴きやすいです。
- 歴史的ライブ/放送録音のリイシュー(入手できればぜひ)
概要:オペラ・ハイライトやコンサートの放送録音、舞台での実演を収めた音源。現代のスタジオ録音のような完璧さはないものの、ライブならではの表現の自由さや演奏時の熱気が魅力です。
聴きどころ:演唱の即興的な装飾、共演者とのやりとり、舞台上の表現力。ダル・モンテの役作りや演技性をより実感できます。
- 専門レーベルによる高品質リマスター盤(Marston / Preiser / Testament 等の歴史音源復刻)
概要:オリジナル78回転や初期電気録音を丁寧に復刻・解説した盤。ノイズ低減やEQ調整が施され、音の輪郭が明瞭になることが多いです。
選ぶポイント:復刻の方針(原音重視か聴きやすさ重視か)、付属ライナーの充実度(録音年・キャスト情報)をチェックすると良いです。
各盤の「聴きどころ」を具体的に解説
- コロラトゥーラの技巧を見る
高速のパッセージ(アルペッジョやトリル)の正確さ、テンポに対する安心感。ダル・モンテは機械的な速さではなく「歌としてのコロラトゥーラ」を表現するタイプなので、フレーズの歌心に注目すると良いです。
- レガートとブレスの使い方
長いフレーズでの呼吸法、語尾の処理、ポルタメントやヴィブラートの変化。特にベルカント系アリアではこれらが表現の鍵になります。
- 言語表現(イタリア語の母音扱い)
母音の明瞭さ、子音の処理、詩句の強弱で感情がどう成り立っているか。声の色彩が言葉にどう結びつくかを聴き取ると理解が深まります。
リイシュー/盤選びの実践的アドバイス(音質や情報の見方)
- 製作レーベルの信頼度を確認:歴史音源の復刻に定評のあるレーベル(Preiser、Testament、Marston、Naxos Historicalなど)を優先すると音質と解説が充実しています。
- ライナーノーツを読む:録音年・共演者・録音条件が分かると、その演奏がどの時期のものであるか理解しやすくなります。
- デジタル配信も活用:CDが入手困難な場合、正規配信サービスや専門サイトのストリーミングで聴ける場合があります。配信版でも高音質(FLAC等)を提供していることがあるため確認を。
聴き比べの楽しみ方
- 同一アリアの複数録音を比較:例えばルチアやギルダの同一場面を、ダル・モンテの録音と別歌手(現代のベルカント歌手や他の歴史的歌手)と比べると、様式の違いが分かりやすいです。
- 伴奏や合唱の違いにも注目:古いオーケストラ録音は音響や演奏習慣が現代と異なるため、歌と伴奏の関係性を体感できます。
初めての一枚に迷ったら(短いおすすめガイド)
- まずは:コンパクトな「ベスト・オブ/代表アリア集」1枚で声と主要レパートリーを把握。
- 次に:Complete/Anthology系のリイシューを1枚。録音年順で聴くと声の変化や表現の発展がわかります。
- 余力があれば:ライブ/放送録音の復刻で舞台上のダイナミズムを楽しむ。
コンサートや研究目線での楽しみ方
歴史的歌唱の研究や公演準備の参考にする場合、録音年別に聴き、周辺にいる歌手やディレクター(指揮者)の解釈傾向も併せて参照すると深い洞察が得られます。歌唱のフレージングや装飾の実例として音源は貴重な資料です。
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参考文献
- Toti Dal Monte — Wikipedia (英語)
- AllMusic — 検索結果: Toti dal Monte
- Discogs — 検索結果: Toti dal Monte(ディスコグラフィ情報)
- Naxos — 検索: Toti dal Monte(リイシュー情報)
- Preiser Records — 検索: Toti dal Monte(復刻盤のチェックに)


