マリエッラ・デヴィアのベル・カント名盤ガイド:代表作の聴きどころと録音選びのコツ

マリエッラ・デヴィアとは

マリエッラ・デヴィア(Mariella Devia)は、主にベル・カント・レパートリーで高い評価を受けたイタリアのソプラノです。華やかな高音ときめ細かな装飾、精緻なパッセージワーク、そしてピアニッシモの表現力が持ち味で、ドニゼッティやベッリーニ、ロッシーニなど19世紀イタリア・オペラの“歌手の芸”を体現する歌手のひとりとして知られます。

おすすめレコード(代表的録音とその聴きどころ)

  • ドニゼッティ:ルチア(Lucia di Lammermoor)

    おすすめポイント:ルチアはデヴィアの代名詞的役柄の一つで、色彩感ある高音と鋭いアジリタ(装飾)技術が生きます。狂乱のアリア「Il dolce suono(あまき歌声)」や第1幕の繊細なレチタティーヴォなど、歌唱の対比とドラマ性が際立つ箇所が聴きどころです。

    選び方のヒント:スタジオ録音は均質で細部が聴き取りやすく、ライヴ録音は演技的高まりやアンサンブルの熱気が魅力。どちらも持っていると比較して楽しめます。

  • ベッリーニ:夢遊病の女(La Sonnambula)/アミーナ(Amina)

    おすすめポイント:ベッリーニは長いレガートと繊細なラインが求められる作曲家で、デヴィアのレガート美とピアノのコントロールが際立ちます。高音の柔らかさと呼吸の処理が良く分かるので、ベル・カントの“歌いまわし”を学びたいリスナーに最適です。

    聴きどころ:第一幕の細かな装飾、終幕付近の情感の込め方。ライヴだとカット無しの演出やカーテンコールも楽しめます。

  • ドニゼッティ:マリア・ストゥアルダ(Maria Stuarda)

    おすすめポイント:歴史的ドラマに富むこの作品では、デヴィアの表現の幅とドラマ性が試されます。特に行間を歌う場面や女王同士の対峙シーンでのテンポ感や強弱の付け方に注目してください。

    聴きどころ:二重唱やモノローグでの緊迫感、延ばしやアジリタをどう使って感情を構築するかが明確にわかる録音が良いでしょう。

  • ロッシーニ/ベッリーニ等:ベル・カント・アリア集(リサイタル盤)

    おすすめポイント:オペラ全篇を聴く時間が取れない場合や、デヴィアの声の「小品」での技術や色彩を手早く楽しみたいときに最適。個々のアリアごとに技巧の見せ場が凝縮されていて、どの曲でどのような声の美点が出るかが分かりやすいです。

    聴きどころ:速いパッセージ、トリルやフェイク、ピアニッシモでのブレスの処理など、技術面の“教科書”的な聴き方ができます。

  • ロッシーニ:アリア集・セミラーミデ等の役録音

    おすすめポイント:ロッシーニ作品では、デヴィアの俊敏な発声と明晰な色彩が映えます。特にベル・カントに影響を与えたロッシーニの作品での演奏は、音楽的な華やかさと技巧の両立を示してくれます。

    聴きどころ:長いカデンツァ的パッセージ、コーラスとのバランス、楽器群との掛け合い。

どの盤を買う/聴くかを決めるポイント

  • スタジオ録音かライヴか:スタジオ録音は音色の均質さと細部の明瞭さ、ライヴは演技的な高揚や舞台の空気感が魅力。両方を比較することで歌手の持ち味がより立体的に見えます。

  • 録音のリマスタリング度合い:オリジナルの音色を重視したいか、ノイズ低減や音圧の改善を求めるかで選びます。近年のデジタル・リマスター盤は高域が鮮明になる反面、オリジナルの柔らかさが変わることもあります。

  • ライナーノーツや解説:解説に歌手や演出、舞台背景の情報が充実している盤は鑑賞の理解を深めます。歌詞対訳の有無もチェックしましょう。

  • 取扱い・入手性:希少盤は音質や編集がまちまちなので、信頼できるレーベルの復刻や評判を確認するのがおすすめです。

聴きどころ(曲ごとのチェックポイント)

  • ルチア:「Regnava nel silenzio」や狂乱の場面での色彩と落差、最後の高音の安定感。

  • 夢遊病の女:長いレガート線と呼吸の取り方、弱音での表現。

  • マリア・ストゥアルダ:二重唱での会話的表現、モノローグでの情感の高まり。

  • アリア集:技巧的パッセージの明瞭さ、トリルやフェイクの精度。

最後に(コレクションの進め方)

デヴィアは“ベル・カントを現代に伝える歌手”の代表格です。まずは代表的レパートリー(ルチア、夢遊病の女、マリア・ストゥアルダ)を1枚ずつ揃えて、スタジオ/ライヴ盤を比較することをおすすめします。リサイタル盤やアリア集は細部の技巧を確認するのに最適で、声の変化や表現の幅を短時間で知る手がかりになります。

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エバープレイ(EverPlay)は、クラシック音楽の名盤や注目録音を紹介・キュレーションする企画やサービスを指す名称で用いられることがあります。当コラムでは、エバープレイ的な視点(代表作・録音の質・入手しやすさなど)でマリエッラ・デヴィアの録音を推奨しました。購入や詳細確認の際は、各配信サービスや発売元の情報を合わせてご確認ください。

参考文献