Nathan East(ネイサン・イースト)— Fourplay創設メンバーが語るセッション演奏の極意とグルーヴ

Nathan East — プロフィール

Nathan East(ネイサン・イースト)は、アメリカを代表するベーシストの一人で、ジャズ、フュージョン、ポップ、R&B、ロックといったジャンルを横断して活躍する“セッション界のレジェンド”です。ソロ活動や自身が創設メンバーとして長年在籍するジャズ・フュージョン・グループ Fourplay に加え、数多くのトップ・アーティストのツアーやレコーディングに参加してきました。卓越した「グルーヴ感」と「音楽的な柔軟性」により、スタジオやステージで常に重宝される存在です。

経歴の概観

  • 若手時代からプロのセッション・ミュージシャンとして頭角を現し、多様な音楽現場で活動。
  • 1990年代初頭に結成されたFourplayの創設メンバーとして、クロスオーバー/コンテンポラリー・ジャズの分野で高い評価を得る。
  • 多くの著名アーティストのツアーやレコーディングに参加し、ジャンルを問わず作品を支える“縁の下の力持ち”としての役割を果たしている。

演奏スタイルと音楽的魅力

Nathan East の魅力は「音を支える直感」と「歌うように弾くベースライン」にあります。以下の要素が特に評価されています。

  • 徹底したポケット感(groove):ドラムと呼吸を合わせ、曲の重心を安定させるタイム感とビート作りの巧みさ。
  • 音色のコントロール:指弾きで得られる丸みのある低域と、ミュートやピッキング位置を変えることで曲ごとに最適なトーンを引き出す技術。
  • 歌心あるラインメイク:単なる低域補強にとどまらず、メロディックな動きを織り交ぜて楽曲のフックを作ることができる。
  • ジャンル適応力:ジャズのウォーキング、R&Bのシンプルで強いワンノート・グルーヴ、ロックやポップの骨太なサポートなど、状況に応じた“最適解”を即座に出せる。
  • アンサンブル感覚:演奏だけでなくアレンジ面でも貢献し、バックの楽器と調和するサウンド作りを重視する。

テクニック面での特徴

  • 主にフィンガー・スタイルを基盤に、必要に応じてスラップやピックを用いる柔軟性。
  • 右手のポジション移動やミュートコントロールでダイナミクスを細かく調整することで、同じフレーズでも曲の場面ごとに表情を変える。
  • シンプルなフレーズに隠れた“間”や“ニュアンス”を大切にし、音数の多寡よりもグルーヴの質を優先する演奏姿勢。

代表作・名盤の紹介

彼自身のキャリアはセッションワークに支えられているため「代表曲」は多岐にわたりますが、活動の中で特に注目される作品をいくつか挙げます。

  • Fourplay — Fourplay(セルフタイトル、1991)
    Fourplay のデビュー作で、クロスオーバー/コンテンポラリー・ジャズの代表的な一枚。ネイサンのタイトでメロディックなベースがグループのサウンドを支えています。
  • Fourplay — Between the Sheets(1993)
    R&Bやポップのテイストを積極的に取り入れた作品。スタジオ・ミュージシャンとしての彼のセンスが光るアレンジが多く含まれます。
  • Nathan East(ソロ・アルバム)
    ソロ名義での作品では、プレイヤーとしてだけでなくリーダー/歌手としての顔も見せ、ゲストミュージシャンとのコラボレーションを通じて幅広い音楽性を提示しています。

セッション/ツアーでの立ち回り(仕事術)

ネイサンが多くのアーティストから信頼を得る理由は、単に演奏技術が高いだけではありません。実務的な側面でも模範的なプロフェッショナリズムを持っています。

  • “まず聴く”姿勢:曲の構造やボーカルのニュアンスを丹念に聞き取り、最短で最適なベースラインを提案する。
  • スペースを残す判断:時には音数を減らし、他の楽器やボーカルを引き立てる選択をすることで、楽曲全体のクオリティを高める。
  • 短時間でのアレンジ貢献:即興でのフレーズ提案や、リズム/ハーモニー面でのアイデアを提供し、制作を効率化する。
  • コミュニケーション力:エンジニアやプロデューサーとの意思疎通をスムーズに行い、現場の空気を良くする人間力。

使用機材について(概説)

ネイサンは長年にわたり楽器メーカーとパートナーシップを結び、自らの音作りに合ったベースや機材を使っています。5弦ベースを含む複数の楽器を使い分け、演奏する楽曲ごとに最適な弦高・弦種・ピッキング位置でトーンを作り込むことで知られます。

後進への影響と活動

多くの若手ベーシストにとって、ネイサンの奏法や姿勢は教科書的な存在です。ワークショップやクリニック、マスタークラスなどを通じて技術面のみならず“音楽人としてのあり方”を伝える活動も行っており、プレイヤーとしての実績だけでなく教育的価値も高い人物です。

なぜ彼は特別なのか — 魅力の本質

  • 万能性と専門性の両立:どんなジャンルでも違和感なく溶け込みつつ、ベースひとつで曲を良くする“職人的センス”。
  • 音楽家としての謙虚さ:自己主張を控えつつ楽曲を最大化する選曲眼と演奏判断。
  • “聞かせる”ではなく“支える”芸術:派手さを追わずに曲の核を支えることで、結果として印象的な音楽を作る力量。

聴きどころのガイド(実践的アドバイス)

  • Fourplay の曲を聴く際は、ベースがどのようにリズムとコードの橋渡しをしているかに注目するとネイサンの真骨頂が見える。
  • ソロ作やゲスト参加曲では、低音の「呼吸感」やフレーズの“空間の取り方”に耳を傾けると、ミュージシャンとしての成熟度がわかる。
  • ライヴ音源では、彼のダイナミクス処理やテンポ感の柔軟さが際立つため、ステージでの即興対応力を比較してみると面白い。

最後に

Nathan East は「良いベースとはどうあるべきか」を体現しているミュージシャンです。派手さではなく確かなグルーヴと音楽的判断力で、楽曲をひとつ上のレベルに引き上げる力を持っています。ベースやアンサンブルの聴き方を学びたい人にとって、彼の演奏は教科書以上の気づきを与えてくれるでしょう。

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参考文献