Emily Remler 入門から深掘りまで|ジャズギターの名手のおすすめアルバムと聴き方ガイド
Emily Remler — 簡単な紹介
Emily Remler(1957–1990)はアメリカのジャズ・ギタリスト/作曲家で、若くしてテクニックと歌心を併せ持つ演奏で注目を集めました。Wes Montgomery や Jim Hall、Pat Martino らからの影響を感じさせつつ、自身のオリジナリティを強く打ち出したプレイが特徴です。ここでは、彼女の“入門から深聴き”まで対応するおすすめレコードを厳選し、それぞれの聴きどころや代表的な曲の聞き方を掘り下げます。
おすすめレコード(注目作を深掘り)
Firefly(デビュー作)
概要:Emily Remler の名を世に知らしめたファースト・アルバム。若さと情熱が直球で伝わってくる作品で、スタンダードとオリジナルがバランスよく配置されています。
聴きどころ:
- トーン:比較的ストレートで明快、ピッキングのアタックがはっきりしており、音色からプレイヤーの確信がうかがえる。
- フレージング:モダン・ビバップ的な語法にしっかり根差しつつ、メロディ重視のソロ構成が光る。
- 初心者へのおすすめポイント:彼女の“素の魅力”が最も分かりやすく出ているので、Remler を初めて聴く人に最適。
This Is Me(中期作)
概要:デビュー直後の伸びやかな個性がさらに洗練された時期の作品。オリジナル曲の比重が増え、作曲家としての側面も楽しめます。
聴きどころ:
- 作曲性:自身の曲で表現の幅を広げており、アレンジやリズムの取り回しに独自性が出ている。
- 対話力:バンドメンバーとの掛け合い、コンピング(伴奏)での空間把握が巧みで、アンサンブル志向の聴き方が楽しい。
- 聴取のコツ:ソロの流れ(テーマ→展開→締め)に注目し、彼女がフレーズをどう“組み立てる”かを追うと学びが深い。
East to Wes(ウェス・モンゴメリー・トリビュート)
概要:Wes Montgomery に捧げた作品で、彼女が最も敬愛していたギタリストへのオマージュです。ウェス・スタイルのオクターブ奏法やグルーヴ感を自分の言葉に翻訳しています。
聴きどころ:
- リスペクトと解釈:単なる模倣ではなく、Wes の語法を吸収しつつ Emily の語彙で歌うアプローチが聴ける。
- オクターブ奏法/指使い:Wes 的なオクターブやブロックコードをどう現代的に解釈しているかを聴き比べると面白い。
- 代表曲の注目点:原曲のメロディをどうアレンジしてソロへつなげるか、コール&レスポンス的な場面を追ってみてください。
ベスト/編集盤(入門用コンピレーション)
概要:単作を順に聴く時間が取れない場合は、各時期のハイライトをまとめた編集盤やベスト盤が便利です。Emily のスタイル変遷(若手の勢い→成熟→Wes への帰着)が短時間で掴めます。
聴きどころ:
- 時間効率:代表的なソロの“核”だけをつなぎ合わせて聴くことで、彼女の語彙が短時間で把握できる。
- 比較の楽しみ:初期と晩年の演奏を並べて聴くと、フレージングや音色選択の変化がよく分かる。
各アルバムの「聴き方」ガイド — もう一歩深く
ただ曲を流すだけでなく、以下のポイントを意識して聴くとEmily Remlerの魅力がより深く分かります。
- テーマとソロの関係を追う:テーマ(メロディ)に対してソロがどう発展していくか、各ソロの“設計図”を意識する。
- モチーフ展開を見る:短いフレーズを反復・変形して長いソロを作る手法(モチーフの発展)に注目。Remler はこの手法が巧みです。
- コード・アプローチ:コンテンポラリーなコード選択やテンションの付け方。和音の外側(アルタード系)に踏み込む場面を探すと現代的な語法が分かる。
- リズム感とグルーヴ:単に速く弾くだけでなくスウィング感やバックのリズムへの“はまり方”に耳を傾ける。
- 音色の使い分け:クリーンなジャズ・トーンから少し歪んだトーンまで、フレーズによって音色を変える点を観察。
演奏技術的な注目点(ギター弾き向け)
ギタリストが学べる具体的要素を挙げます。
- オクターブ奏法の使い方:単にオクターブを弾くだけでなく、フレーズの“歌わせ方”に用いる手法。
- ハーモニクスとコンピング:コードの分散やボイシングの選び方、伴奏時のスペース作り。
- フレージングの“間”の取り方:フレーズの終わりに短い休符や伸ばしを入れて緊張解放を作る術。
- リズム的装飾:裏拍でのアクセントやシンコペーションの使いどころ。
どの盤から始めるべきか(リスナー別おすすめ)
- ジャズ初心者:まずは「Firefly」やベスト盤で Emily の基礎的魅力に触れるのが良い。
- ギターを弾く人:中期作(This Is Me など)でソロ構築やアレンジの具体例を学ぶと実践的。
- ウェス好き・ジャズ・ギター史に興味がある人:「East to Wes」で伝統と現在の接続を見ると理解が深まる。
聴くときの小ネタ(コラム風)
Emily は「テクニックの見せびらかし」だけで聴かせるタイプではなく、“歌う”ことを常に第一にしていました。速いテンポでもフレーズが一つの歌のように聞こえる点を意識して聴くと、彼女の表現力の根っこが見えてきます。また、同時代のギタリストと比べて温かみのある音色選択や、ブルース感・メロウさを大切にする姿勢も特徴です。
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