デューク・エリントン おすすめレコード深掘りガイド|初心者からコアファンまで聴きどころと背景を徹底解説
Duke Ellington — おすすめレコード深掘りガイド
デューク・エリントン(Duke Ellington)は、20世紀ジャズの最重要作曲家・バンドリーダーのひとりです。ビッグバンドを単なる「ダンスバンド」から芸術的に高め、編曲・オーケストレーションの幅を大きく拡げました。本コラムでは、初心者からコアなファンまで楽しめる「おすすめレコード」を厳選し、それぞれの作品が持つ歴史的背景・音楽的特徴・注目すべき聴きどころを深掘りして解説します。
入門に最適:Ellington at Newport (1956)
なぜ聴くべきか:キャリア再生の象徴的ライヴ。1956年のニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルでの演奏は、当時やや停滞していたエリントン楽団に再びスポットライトを当て、大ヒット作となりました。
- 代表曲・聴きどころ:Paul Gonsalves の27コーラスにも及ぶソロをフィーチャーした「Diminuendo and Crescendo in Blue」。会場の熱狂とソロの爆発力が伝わる名場面。
- 編成・ソロ:トランペット、トロンボーン、テナーを含む典型的なビッグバンド編成。ソリストの個性が際立つライヴならではのエネルギーを味わえる。
- おすすめポイント:エリントンのバンドが「生きている」瞬間を体感できる一枚。ジャズ入門者にも強く勧められる。
異色の三人会:Money Jungle (1963)
なぜ聴くべきか:チャールズ・ミンガス(ベース)とマックス・ローチ(ドラム)というモダン・ジャズの重鎮とエリントンが三重奏を組んだ異色作。ビッグバンドの作曲家が小編成で見せる新たな表現力が興味深い。
- 代表曲・聴きどころ:「Money Jungle」「Fleurette Africaine」など。エリントンのピアノがより露わになり、ミンガスの鋭いベースラインとローチのリズムが緊張感を生む。
- 編成・ソロ:トリオ編成のため各楽器の対話が中心。即興の応酬と強い個性のぶつかり合いを楽しめる。
- おすすめポイント:エリントンの別側面を知るのに最適。ジャズの構造や即興の巧妙さを聴き取る練習にもなる。
旅と色彩の組曲:Far East Suite (1967)
なぜ聴くべきか:アジア・中東方面のツアー体験を基に作られた組曲で、多彩なリズムや和声のテイストを織り込んだ大作。ビッグバンド・ジャズの作曲力・編曲力の高さが光ります。
- 代表曲・聴きどころ:「Isfahan」(通称「ブルー・モダンなバラード」)や「Afghanistan」。メロディと色彩感覚が豊かで、聴き手を旅行に連れ出すような仕上がり。
- 編成・ソロ:バンド全体の色彩的アレンジに注目。ソロは抑制的に用いられ、アンサンブルのテクスチャーが重視される。
- おすすめポイント:作曲家エリントンの視座が丸ごと味わえる。映画音楽的な情緒を好むリスナーにも刺さる一枚。
文学と音楽の融合:Such Sweet Thunder (1957)
なぜ聴くべきか:シェイクスピアの登場人物やモチーフを元にした組曲で、文学的発想をジャズで表現した野心作。テーマ性のあるアルバムを楽しみたい人に最適です。
- 代表曲・聴きどころ:「Sonnet For Caesar」「Lady Mac」など。登場人物の性格を音で描写するたくらみが聴きどころ。
- 編成・ソロ:楽団員の演奏力を前提にしつつ、各曲で異なる色合いを出す編曲技術が冴える。
- おすすめポイント:ジャズが文学とどう結びつけられるかを示す好例。ストーリー感のある聴き方ができる。
共演の化学反応:The Duke Ellington & John Coltrane (1963)
なぜ聴くべきか:モダン・ジャズの巨頭ジョン・コルトレーンとの共演。エリントンの作曲/アレンジ感覚とコルトレーンのスピリチュアルな即興が交差する名盤です。
- 代表曲・聴きどころ:「In a Sentimental Mood(エリントンとコルトレーンによる有名な共演バージョン)」。どちらの個性も損なわず融合している点が魅力。
- 編成・ソロ:コルトレーンのテナーがエリントンのピアノやバンド色に溶け込み、時に対照的に響く。
- おすすめポイント:異なる世代・スタイルの巨匠が同じ空間で何を引き出すかを聴ける貴重な記録。
歴史を語る大作:Black, Brown and Beige(代表的録音は1958年)
なぜ聴くべきか:エリントンがアメリカ黒人の歴史を音楽で描こうとした長大組曲。ジャズを通じて社会的・歴史的テーマに挑んだ意欲作として評価されます。
- 代表曲・聴きどころ:組曲全体がテーマ性を持つため、通しで聴くことで全体像が把握できる。「Black, Brown and Beige」自体が聴くべき中核。
- 編成・特徴:合唱やストーリーテリング的な要素も含むスケールの大きな編曲。舞台的な展開がある。
- おすすめポイント:ジャズを単なるエンターテインメント以上の芸術表現として捉えたい人に特に薦めたい作品。
映画とジャズの交差点:Anatomy of a Murder (1959)
なぜ聴くべきか:映画音楽として書かれた作品ですが、ジャズ的なセンスが前面に出たスコアで、エリントンの多才さがよく分かる一作。映画を知らなくても音楽単体で強く楽しめます。
- 代表曲・聴きどころ:映画の場面に寄り添う多彩な小品群。ムードの切り替えとテーマの風景化が巧みです。
- 編成・特徴:オーケストラ的な編成を取り入れつつ、ジャズ的な即興や色彩感覚が随所に現れる。
- おすすめポイント:エリントンが映画音楽でどのように語るかを知ることで、彼の表現の幅を再認識できる。
聴き方のヒント(音楽的フォーカス)
- 編曲を観察する:エリントンの真骨頂は「誰がどの音を出すか」による色彩表現。メロディだけでなく、ハーモニーの配置や楽器の重なりに注目すると新たな発見があります。
- ソリストを追う:レコードごとに異なる名手がソロを取ります。ポール・ゴンザルヴェス、ジョニー・ホッジス、ブラッド・ジョンソン等、個別の音色を耳で追ってください。
- 曲間の「空白」を味わう:エリントンは間(ま)や色彩的休止を効果的に使います。音が鳴らない瞬間も作曲の一部として捉えましょう。
- 時代背景を意識する:各作品はその時代の社会・文化と結びついています。たとえば「Black, Brown and Beige」は公民権運動の文脈でも読む価値があります。
リスニング順のおすすめ
- 入門:Ellington at Newport(ライヴの熱量で入る)
- エリントンの作曲力を味わう:Far East Suite → Such Sweet Thunder
- 異色作・共演:Money Jungle → Duke Ellington & John Coltrane
- 大作・歴史的テーマ:Black, Brown and Beige
- 映画音楽に興味があるなら:Anatomy of a Murder
最後に — エリントンを聴き続ける理由
エリントンの音楽は単発の名曲集ではなく、編曲とアンサンブルを通じて世界観を築く「長期の芸術プロジェクト」です。彼の作品群を通して聴くと、ジャズが如何に豊かに、かつ社会や文化と結びつき得るかが見えてきます。まずは上に挙げた数枚から入り、そこからソロ奏者や時代ごとの盤を掘っていくと、新しい発見が続きます。
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