Blue Mitchellのハードバップを徹底解説:おすすめアルバムと聴き方のコツ
Blue Mitchell — 程よく歌う“ハードバップの詩人”を知るために
Blue Mitchell(ブルー・ミッチェル、1930–1979)は、しなやかで温かみのあるトランペット・トーンと、メロディを大切にするフレージングで知られるハードバップ/モダンジャズの名手です。テクニックは堅実でありながら決して過度に技巧に走らず、ブルース感覚やリリシズムを前面に出す演奏が魅力。ここでは、彼の音楽性を深く味わえるおすすめレコードをピックアップし、各盤の聞きどころや楽曲の特徴、聴き方のポイントを解説します。
The Thing to Do(Blue Note)
代表作の一つで、ハードバップの良心的な魅力が凝縮された一枚。リズム隊との堅実なスイング感、テナーとの掛け合い、そしてミッチェルの歌心あるソロが堪能できます。テンポの変化やブルージーなフレーズ、バンドのダイナミクスが非常にバランスよく構成されており、初めて彼を聴く人にも最適です。
- 聞きどころ:タイトル曲をはじめ、メロディの“歌わせ方”、中間部でのソロ展開、リズム隊の応答性。
- どんなときに聴くか:夜のリスニングやジャズ・セッションの模範例を学びたいとき。
Step Lightly(Blue Note/録音1963)
録音時期の良さ(60年代初頭のハードバップ成熟期)を感じさせる演奏が詰まった作品。ミッチェルの端正で深みのあるトーン、フレーズのテンポ感が特に際立ちます。録音と曲構成に余裕があり、ソロごとの表情の違いを聴き比べるのが楽しい一枚です。
- 聞きどころ:フレーズのビルドアップ、短いモチーフを繰り返して発展させる手法、リズムの微妙な間合い。
- どんなときに聴くか:プレイヤーとしての表現技法を学びたい人の分析リスニングに向く。
Smooth as the Wind(Riverside/オーケストレーションを取り入れた作品)
ストリングスやアレンジを用いた編成で、ミッチェルの「歌」部分がより際立つアルバム。小編成のハードバップとは対照的に、アレンジによってトランペットの表情が豊かに引き出されます。バラードやミッドテンポの曲での抑制された表現は、ミッチェルの隠れた魅力を知るうえで貴重です。
- 聞きどころ:オーケストレーションに対するソロの立て方、儚さや温かさを出すための息づかい。
- どんなときに聴くか:リラックスした時間、映画的な情感を求めるとき。
Blue Soul / Blue's Moods(Riverside周辺の初期作)
初期のリリース群は、ミッチェルの“基礎の堅さ”と若々しい熱量が感じられます。小編成中心で、演奏はストレートにして強靭。メロディラインを大切にする姿勢は既に確立されており、その後の成熟へと続く片鱗が聴けます。
- 聞きどころ:初期ならではのエネルギーと、後年のムーディーな側面が混じる対比。
- どんなときに聴くか:ハードバップの入門盤や、ミッチェルの音楽的成長を辿りたいとき。
選盤のポイントと聴き方のコツ
Blue Mitchell を楽しむ際の視点をいくつか挙げます。
- メロディ重視で聴く:ソロの流れ(モチーフの発展、反復、呼吸)に注目すると、彼の「歌い方」がよく分かります。
- テナー・トランペットの掛け合いを見る:Junior Cook 等のテナー奏者と共演することが多く、対話形式のソロ交換が作品の特徴です。
- 編成の違いを比較する:小編成の硬質なスウィング感と、オーケストラ伴奏の叙情性を聴き比べると幅が分かります。
- 曲のキーとなるフレーズを耳で追う:短いモチーフがどのように変化してソロの要素になるかを追うと学びが深まります。
入手・選択のアドバイス(どの盤を優先するか)
初心者はまず「The Thing to Do」や「Step Lightly」といった、演奏の核が分かりやすい小編成のアルバムから。リリシズムや表現の柔らかさを味わいたいなら「Smooth as the Wind」などアレンジ主体の作品も加えると、彼の多面性が理解できます。コレクションを進めるなら、レーベル(Blue Note / Riverside 等)ごとの時期差や録音クオリティもチェックすると面白いです。
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参考文献
- Blue Mitchell — Wikipedia
- Blue Mitchell — AllMusic
- Blue Mitchell Discography — JazzDisco.org
- Blue Note Records — 公式サイト(アーティスト/作品検索)


