Planxty(プランクスティ)徹底解説:アイルランド伝統音楽の黄金期を築いた編曲・演奏技術・代表曲とライブの魅力
Planxty — プロフィールと概観
Planxty(プランクスティ)は、アイルランド伝統音楽の黄金期を代表するバンドの一つで、1970年代に登場して以降、アイルランドのトラディショナル・リバイバルに決定的な影響を与えました。伝統的な民謡やダンス曲を現代的かつ洗練された編曲で提示し、演奏技術、アンサンブル感、選曲のセンスで多くの聴衆と演奏者に衝撃を与えました。
主要メンバーとそれぞれの役割
- Christy Moore — ボーカル、ギター、ボーランなど。感情のこもった歌唱と曲解釈でグループの顔的存在。
- Dónal Lunny — ブズーキ、ギター、編曲、プロデュース面でも中核的役割。アイルランド音楽におけるブズーキ伴奏法の普及に貢献。
- Andy Irvine — ボーカル、マンドリン、バウズーキ(あるいは独自の奏法)、バルカン的リズムや東欧の音階を持ち込んだ多彩なレパートリー。
- Liam O'Flynn — ユーリン・パイプ(uilleann pipes)の名手。管楽器としての深い表現力と伝統音楽の知識でサウンドに独特の「色」を与えた。
サウンドの特徴 — 何がPlanxtyを特別にしたか
- 楽器編成と音色の対話:ユーリン・パイプの哀愁を帯びた長い旋律線、ブズーキのリズム/ハーモニー支え、マンドリンやギターの刻み、そしてボーカルが互いに引き立て合う。各楽器が単に伴奏するのではなく、旋律の“会話”を行うような編成が特徴。
- トラッドの再解釈:民謡や古いバラッドを単純に再現するのではなく、現代的な編曲やテンポ、ハーモニーを取り入れて再提示。曲ごとに緊張と緩和の構築がなされ、聴き手にドラマを与える。
- リズム感とセット構成:ジグ、リール、ポルカ、バラッドなど異なる型を組み合わせ、楽曲の流れをドラマチックに演出。Andy Irvineの東欧リズムの影響は、セットに新たな躍動感をもたらした。
- 歌唱と語り:Christy MooreやAndy Irvineの表現力豊かな語り口。歌詞の情景描写や人物像を的確に引き出すことで、バラッドは“物語”として強く響く。
編曲・演奏技法の深掘り
Planxtyの編曲は「余白」を効果的に使うことが多く、各楽器が交互に主題を提示したり、短い間奏で空間を作ったりして、曲全体の緩急を巧みにコントロールします。ブズーキは単なるコード楽器ではなく、モード(ドリア、エオリアンなど)に合わせたドローンや部分的なメロディ補強を行い、ユーリン・パイプの旋律をいっそう引き立てます。
ユーリン・パイプは息継ぎやビブラートを用いた豊かな歌わせ方、装飾音(ロール、カット、グリスなど)により哀愁や力強さを表現。ボーカル面では語り(speech-like phrasing)と旋律的歌唱を状況に応じて使い分け、曲のドラマ性を高めます。
レパートリーの特徴と代表曲・名盤(入門ガイド)
Planxtyのレパートリーは古いアイルランド民謡、ヨーロッパ各地の民謡、そして現代的な書き下ろし曲まで幅広いです。ここでは入門向けの代表曲とアルバムを紹介します。
- 代表的な曲
- 「Raggle Taggle Gypsy」 — 活気あるバラッドで聴衆参加を誘うナンバー。
- 「The Blacksmith」 — 歌唱表現の深さが光る伝統バラッド。
- 「The Well Below the Valley」 — 物語性の強い曲で、暗く重厚な演奏が魅力。
- インスト・セット(ジグやリールの組曲) — 各メンバーの技術とアンサンブルを堪能できる。
- おすすめアルバム(名字順や代表作として)
- デビュー・アルバム(代表作) — グループの基本的な美学と選曲センスが詰まった一枚。
- 名盤アルバム(バラードとインストのバランスが良い作品) — Liveのエネルギーやアレンジの妙が楽しめる。
- 復帰/後期のアルバム — メンバーの成熟した表現力と技術が反映されている。
(注:初めて聴く方は、バンド編成の良さがわかる代表アルバムから入ると、Planxtyの「音の作り方」と「物語の語り方」が直観的に理解できます。)
ライブの魅力と舞台上の化学反応
Planxtyはスタジオ盤以上にライブでの評価が高く、ステージ上での即興的な掛け合いや、曲間のトーク、曲を聴衆と共有する空気感が魅力です。演奏中の瞬時のダイナミクス変化や、メンバー間の視線/ジェスチャーによる合図で曲を伸縮させ、会場全体を巻き込むような表現ができます。こうした“生のやり取り”は、伝統音楽が持つ共同体的側面を強烈に示します。
影響力と後世への遺産
- Planxtyはブズーキのアイルランド伝統音楽への導入・定着に大きく寄与しました。以後、多くのバンドがブズーキを伴奏の中核として採用しています。
- 編曲手法やセット構成は、Bothy BandやMoving Heartsなど、その後のグループに直接的な影響を与えました。
- 個々のメンバーはソロや他プロジェクトを通じて、アイルランド音楽の普及と国際的な評価向上に寄与し、伝統と革新の橋渡しを行いました。
聴きどころ・楽しみ方のヒント
- 歌詞を事前にチェックしてから聴く:多くのバラッドは物語性が強いので、背景を知ると表現の深さが増します。
- インスト・セットでは楽器ごとの役割に注目:メロディ、ハーモニー、リズムの役割分担を聞き分けると編曲の妙が分かります。
- ライブ音源を聴く:スタジオ盤と比べて即興的な展開やエネルギーが感じられます。
- 他の現代アレンジと比較してみる:Planxty以前・以降のバンドを比較すると、彼らの影響の大きさが明瞭になります。
まとめ:なぜ今も聴かれるのか
Planxtyは、伝統を尊重しつつもそれを現代の感性で再構築する方法を示したバンドです。技巧的な演奏だけでなく、歌の語り口、選曲の厳選、ステージでの空気作りなど、総合的なアーティスト性があったため、単なる“懐古的な演奏集団”に留まらず、世代を超えて影響を与え続けています。アイルランド音楽の豊かさと可能性を感じたい音楽ファンにとって、Planxtyは必聴の存在です。
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参考文献
- Planxty — Wikipedia
- Planxty — AllMusic(アーティストページ)
- Christy Moore — 公式サイト
- Andy Irvine — 公式サイト
- Irish Times(アイルランド音楽や関係者の解説記事)
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