ステルヴィオ・チプリアーニの映画音楽全解剖:Anonimo Venezianoを軸に70年代サウンドの魅力を再評価
プロフィール
ステルヴィオ・チプリアーニ(Stelvio Cipriani)は、イタリアを代表する映画音楽作曲家の一人で、1937年にローマで生まれ、2018年に逝去しました。映画産業の黄金期から活動し、特に1970年前後から多くの劇伴を手がけ、情感豊かなメロディと映画的な色彩感で幅広い支持を得ました。
キャリアの概要と代表的な仕事
チプリアーニは、商業映画のための劇伴作曲を中心に、スパゲッティ・ウェスタン、イタリアン・スリラー(いわゆる“giallo”)、ポリツィオテスキ(イタリアン犯罪映画)など多彩なジャンルの作品を手がけました。その中で最も広く知られているのが1970年の映画「Anonimo Veneziano(英題:The Anonymous Venetian)」の主題で、この美しいメロディは映画音楽の名テーマとして長く愛されています。
- 映画音楽全般にわたる幅広い活動(商業映画、TV、ドキュメンタリーなど)
- ジャンルを横断する柔軟性—ロマンティックな弦楽器主体のテーマから、ジャズ・ファンク寄りのリズム主体のスコアまで対応
- 1970年代を中心に多くのサウンドトラックを発表し、後年に再評価・再発されるケースが多い
音楽的特徴と魅力
チプリアーニの音楽の大きな魅力は、「メロディの確かさ」と「映画表現における色彩感覚」にあります。具体的には以下の点が挙げられます。
- 記憶に残るメロディ:主題やリフを中心に据え、聴き手の印象に残る確かな旋律を書きます。特にラヴテーマや叙情的な曲は単独でも成立する完成度があります。
- オーケストレーションの巧みさ:弦楽器を中心とした豊かなハーモニーと、管楽器やピアノ、エレキギターなど当時のポピュラー楽器を効果的に組み合わせ、場面に応じて色合いを変えます。
- ジャンル適応力:サスペンスやアクションではテンションを生むリズムと短いモチーフを使い、ロマンスでは広がりのある旋律で感情を引き出すなど、映画のジャンル・場面に忠実です。
- 時代感のあるサウンド:1970年代前後の音響テイスト(ファンクベース、エレピ、ワウギター等)を映画的文脈で活かし、いわゆる“時代を感じさせる魅力”を残しています。
なぜ今も聴かれるのか — 現代における評価と影響
近年、チプリアーニの音楽は映画音楽ファンやレコード収集家、プロデューサーやサンプリングするミュージシャンなどから再評価されています。理由は次の通りです。
- 普遍的なメロディ:映画を知らないリスナーにも響く旋律は、映画サウンドトラックとしてだけでなく純粋な音楽としても楽しめます。
- ジャンル横断的な魅力:オーケストラ中心の叙情曲からビート感のあるトラックまで含むため、様々なプレイリストや用途に適合します。
- リイシュー・ライヴ演奏の増加:サウンドトラック再発やコンピレーションへの収録、映画音楽フェスなどで取り上げられる機会が増え、若いリスナー層にも届いています。
聴きどころ・おすすめの楽しみ方
チプリアーニの音楽をより深く味わうためのポイントを挙げます。
- 主題(メインテーマ)を中心に聴く:まずは代表的なメロディを把握してから、劇中での展開や短いモチーフの反復や変奏に注目すると、作曲手法が見えてきます。
- ジャンルごとの対比を楽しむ:同じ作曲家でもスリラー/刑事もの/恋愛ものでアプローチが大きく異なるため、複数のサウンドトラックを続けて聴くと多彩さがわかります。
- 編成と録音に注目:アナログ録音ならではの温かみや、弦楽・管楽器のバランス、現代リマスター版とオリジナル盤の音の違いを比較するのも面白いです。
- サントラ単体での鑑賞と映像付での鑑賞を両方試す:音だけで情景を想像する楽しみと、映像と合わせて観ることで感じる音楽の映画的役割、両方の面白さがあります。
まとめ — チプリアーニの位置づけ
ステルヴィオ・チプリアーニは、映画音楽の“職人的な名手”であると同時に、独自のメロディセンスでリスナーの心に残るテーマを数多く生み出しました。ジャンル映画の仕事が多かったためその名はコアな映画ファンやコレクターに深く知られていますが、作品の質はジャンルを超えて普遍的に楽しめるものです。映画音楽の魅力を改めて楽しみたい方、70年代の映画的サウンドに惹かれる方にはぜひ聴いてほしい作曲家です。
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