Ian Dury & The Blockheads: 必聴アルバム総まとめとコレクター向け再発・プレス選びのポイント
はじめに — Ian Dury & The Blockheads の魅力
Ian Dury(イアン・デューリー)とThe Blockheads(ザ・ブロックヘッズ)は、1970年代後半の英国シーンにおいてパンク/ニュー・ウェイヴの枠を越えた独自性で知られる存在です。デューリーの洒脱で時に辛辣な語り口と、The Blockheads のファンク、ジャズ、R&B を横断する演奏力が融合した音楽は、単なるヒット曲以上の「物語」を聴き手に与えます。本稿では、初めて手を伸ばす人にもコレクターにも役立つ“おすすめレコード”を軸に、各作品の背景、聴きどころ、再発・プレス選びのポイントを深堀りします。
New Boots and Panties!!(1977) — 入門かつ必携のデビュー作
イアン・デューリーの名を一躍知らしめたソロ(=ブロックヘッズ結成前後のメンバーが参加)アルバム。ロンドン下町の語り手としてのキャラクターが明確に打ち出され、ポップでありながら文学的な歌詞が光ります。代表曲「Sweet Gene Vincent」「Wake Up and Make Love with Me」など、多様な曲調をひとつのアルバムにまとめ上げた構成力が特徴です。
- 聴きどころ:デューリーの朗々とした語りと、Chaz Jankel のソウルフルな鍵盤/ギターワークの相性。
- おすすめ盤:オリジナルのStiff Records(UK)盤はコレクターズアイテム。ただしリーズナブルに良好な音で聴きたいなら、Edsel/Demon 系のリマスター&ボーナス入り再発が使いやすい。
- なぜ聴くべきか:デューリーの作家性と、後年のBlockheads の核がここにある。
Do It Yourself(1979) — ブロックヘッズ名義での初期代表作
Ian Dury & The Blockheads 名義でリリースされた初期のスタジオ作(1979)。バンドとしてのまとまりが出てきて、よりダンサブルでファンク色が濃くなります。Norman Watt‑Roy のベースラインや Davey Payne のサックスが際立ち、バンドアンサンブルが曲を牽引する作品です。
- 聴きどころ:グルーヴに乗るバンド演奏と、デューリーの語りの対比。ライブで映える楽曲が多いのも特徴。
- おすすめ盤:オリジナル盤は音作りやジャケットが当時の空気を伝えるため価値が高い。一方でボーナス曲やブックレットが欲しい場合は公式リマスターを検討。
- キーワード:ファンク、ライブ感、バンドの結束力。
Laughter(1980) — 多様化と成熟のサウンド
1979〜80年の流れを受け、より幅を広げたアレンジとポップさが強調されたアルバム。歌詞のトーンは軽妙さと皮肉を併せ持ちつつ、サウンド面ではブロックヘッズのテクニックがさらに洗練されています。
- 聴きどころ:ポップ寄りの楽曲とブロックヘッズならではの即興的なソロや間奏。
- おすすめ盤:初期リリースのアナログは入手価値あり。現代のリマスターでは音場が整えられている場合が多い。
Mr. Love Pants(1998) — 再結成作(後期の傑作)
1990年代後半、久々にブロックヘッズとともに制作されたアルバム。デューリー晩年の視点がにじむ一方で、若々しいバンドの勢いも感じられる一枚です。過去のスタイルを踏襲しつつ、より洗練されたプロダクションでまとめられています。
- 聴きどころ:復調期の創作意欲が反映された楽曲群。Chaz Jankel やバンドメンバーとの化学反応が再び強く出ています。
- おすすめ盤:CD/デジタル中心に流通しているため、音質の良いCD再発を狙うと良いでしょう。
必聴シングルとコンピレーション
アルバム外で欠かせない重要曲が多くあります。シングルや編集盤は、デューリーの代表曲を短時間で俯瞰するのに便利です。
- 「Sex & Drugs & Rock & Roll」 — デューリーのアンセム的シングル。スローガン的な印象を否定する歌詞の巧妙さも注目。
- 「Hit Me with Your Rhythm Stick」 — ブロックヘッズ名義での最大ヒット曲。ベースとドラムのグルーヴが強烈。
- 編集盤:「Reasons to Be Cheerful: The Best of Ian Dury & The Blockheads」などのベスト集は入門用として優秀。
聴きどころをもう少し掘る
- 歌詞:Cockney(コックニー)文化の匂いを残しながらも普遍的な人間描写が多く、英語詞のニュアンスを味わうのが重要。翻訳や歌詞対訳と合わせて聴くと新たな発見がある。
- バンドの技術:Norman Watt‑Roy のベースは曲の推進力、Davey Payne のツインサックスはユニークな色付け、Chaz Jankel の多彩な鍵盤/ギターで曲の雰囲気が決まる。
- ジャンル横断性:パンク的な直截さだけでなく、ファンク、ジャズ、R&B、ポップスの要素が混在しており、アルバムごとに異なる顔が楽しめる。
コレクター視点:どのプレス/再発を選ぶか
- オリジナル盤(Stiff Records のUK初版)は歴史的価値が高く、ジャケットやラベルの違いも楽しめる。ただし高価なことが多い。
- 音質重視なら公式リマスター:Edsel、Demon、あるいは近年のリマスター盤は音場が整理されていて聞きやすい。ボーナストラックや当時のデモ、詳細なライナーノーツが付く場合もある。
- コンピや編集盤は入門用として最適。アルバム単位でじっくり味わいたいならオリジナル/リマスターのアルバムを優先するのが良い。
まとめ — 何を買うべきか(優先順位)
- 最初に:New Boots and Panties!! — イアン・デューリーの世界を知るのに最適。
- 次に:Do It Yourself — The Blockheads の演奏力とグルーヴを味わうために。
- その後:Laughter、Mr. Love Pants、そして必聴シングル(特に「Hit Me with Your Rhythm Stick」)へ。
- コレクターはオリジナル盤を、音質と解説を重視するなら公式リマスターを検討すると良い。
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参考文献
- Ian Dury — Wikipedia
- New Boots and Panties!! — Wikipedia
- Do It Yourself — Wikipedia
- Laughter — Wikipedia
- Ian Dury & The Blockheads — AllMusic
- Ian Dury And The Blockheads — Discogs
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