アラン・メンケンの映画音楽を聴く攻略ガイド:OSTとキャスト盤の違いとコレクションの楽しみ方

はじめに — アラン・メンケンとは何者か

アラン・メンケン(Alan Menken)は、ディズニー黄金期の代表的な作曲家であり、ブロードウェイ作曲家としても確固たる地位を築いた人物です。ハワード・アッシュマン、スティーヴン・シュワルツ、ジャック・フェルドマンら名高い作詞家との協働を通じて、映画音楽とミュージカルの垣根を越えた名曲群を残しました。そのメロディーは「映画の物語を歌で語る」ことに長け、劇的なオーケストレーションとポップな歌心が同居しています。

選び方の考え方(短めの指針)

  • 映画のオリジナル・サウンドトラック(OST)か、ブロードウェイ/オフブロードウェイのキャスト盤かで楽しみ方が変わる。映画版は劇伴や映画用アレンジが聴け、キャスト盤は舞台表現の強い歌唱を楽しめる。
  • デラックス/2枚組などの拡張盤はデモ音源や未使用曲を収録していることがあり、制作過程や作詞家(特にハワード・アッシュマン)の草案を知るのに有益。
  • コレクションとしては、代表作の「オリジナル盤(初出)」と、音質重視の「リマスター盤(180g 等)」の両方を追うと深掘りできる。

おすすめレコード(名盤解説)

The Little Mermaid(リトル・マーメイド) — Original Motion Picture Soundtrack

代表曲:Part of Your World, Under the Sea, Kiss the Girl

解説:アラン・メンケンとハワード・アッシュマンのタッグが最も輝いた作品の一つ。ポップでキャッチーなナンバーと映画的なオーケストレーションが絶妙に調和しています。オリジナル盤は作品の勢いをそのまま伝え、後年のデラックス版にはアッシュマンのデモやアウトテイクが収録されていることが多く、制作過程を追う喜びがあります。

Beauty and the Beast(美女と野獣) — Original Motion Picture Soundtrack

代表曲:Beauty and the Beast(タイトル曲), Be Our Guest, Belle(プロローグ)

解説:ミュージカル性と映画的スペクタクルが高次元で融合した名作。映画版はオーケストラの厚みが魅力で、タイトル曲の壮麗さやアンサンブルの完成度はレコードで聴くとより映画音楽としての力強さを実感できます。舞台版(ブロードウェイキャスト)ともアレンジが異なるため、両方揃える価値があります。

Aladdin(アラジン) — Original Motion Picture Soundtrack

代表曲:A Whole New World, Friend Like Me, Prince Ali

解説:ハワード・アッシュマン没後にティム・ライスらが関わり、作風の幅を見せた作品。アップテンポでショーマンシップ溢れるナンバーが多く、アル・ラッド(劇中の演出)を意識したアレンジが特徴的です。映画サウンドトラックはキャラクターの歌唱や効果音との一体感があり、コマ割り的な展開を音で追う楽しみがあります。

Pocahontas(ポカホンタス) — Original Motion Picture Soundtrack

代表曲:Colors of the Wind, Just Around the Riverbend

解説:スティーヴン・シュワルツとのコラボレーションによる作品で、より叙情性の高い楽曲が特徴です。民族的な色彩を取り入れたアレンジや歌詞のメッセージ性が強く、メンケンの多彩さを示す重要な一枚。

The Hunchback of Notre Dame(ノートルダムの鐘) — Original Motion Picture Soundtrack

代表曲:Out There, Someday, Hellfire(劇中で印象的なナンバー)

解説:ダークで宗教的なモチーフを取り入れた、メンケンの中でも異色かつドラマティックな作品。オーケストラと合唱が前面に出る場面が多く、映画の劇性をそのまま体感できるサウンドトラックです。大編成のスコア好きに特におすすめ。

Newsies(ニューシーズ) — ブロードウェイ・キャスト・レコーディング(おすすめ:2012年ブロードウェイ盤)

代表曲:Seize the Day, Santa Fe, King of New York

解説:映画(1992年)からブロードウェイ化された経緯を持つ作品で、ブロードウェイ盤は舞台のエネルギーとコーラスワークが魅力。メンケンの“ダイナミックなショー・チューン”の側面が満喫でき、舞台演出の熱量をそのまま音で楽しめます。

Enchanted(魔法にかけられて) — Original Motion Picture Soundtrack

代表曲:That’s How You Know, So Close

解説:既存のディズニー・ミュージカルのパロディ/オマージュ的要素を含みつつ、現代的なポップ感覚も取り入れた作品。映画のメタ性を反映した楽曲群は、メンケンの“過去と現在をつなぐ技量”がよく分かります。

Little Shop of Horrors(リトル・ショップ・オブ・ホラーズ) — オリジナル・オフブロードウェイ/映画サウンドトラック

代表曲:Suddenly Seymour, Skid Row (Downtown)

解説:メンケン初期のブロードウェイ発の傑作。ブラックコメディの要素をポップ/ソウルフルな楽曲で表現しており、ハワード・アッシュマンとの関係性や若き日の作風を知るうえで欠かせません。舞台版と映画版でテイストが異なるため、両者の比較も面白いです。

なぜ「レコード」で聴く価値があるのか(音楽的側面から)

  • メンケン作品は「ドラマ性」や「場面転換」を音だけで表現することに長けており、アルバム全体を通して聴くことで物語の流れを再体験できる。
  • オーケストレーションやコーラスの質感は、アルバム構成やマスタリングの差異が出やすく、異なるプレスや版での聴き比べが楽しい。
  • デラックス盤やキャスト盤には作詞家のデモや未発表曲が収録されることがあり、制作史や楽曲の“別面”を知る手がかりになる。

具体的に狙いたい盤(購入のヒント)

  • オリジナル・サウンドトラックの初期盤(オリジナル・リリース):当時のミックスや演奏の勢いを聴ける。
  • デラックス/2枚組リマスター:デモやアウトテイクを含む拡張内容は資料価値があり、音楽的理解が深まる。
  • ブロードウェイ/オフブロードウェイのキャスト録音:舞台表現の生々しさと歌唱の熱量が魅力。

聞きどころと聴き比べの提案

  • 同一タイトルの映画版OSTと舞台版キャスト盤を並べて、アレンジやテンポ、歌の解釈の違いを比べる。
  • ハワード・アッシュマン作詞期(リトル・マーメイド=美女と野獣=アラジン初期)と、シュワルツ期・フェルドマン期の作詞ワークを比較して、歌詞とメロディの接点を味わう。
  • デモ音源がある場合は、初期メロディの素朴さと完成形の差を追い、作曲過程を想像する。

終わりに — コレクションの楽しみ方

アラン・メンケンの作品群は「映画の名場面を音で再体験する」喜びと、「ミュージカルとしての楽曲の強度」を兼ね備えています。代表作を核に、映画版と舞台版、デラックス盤のデモ類を組み合わせることで、作曲家としての幅と時代ごとの変化を体系的に楽しめます。これから集めるなら、まずは『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』の3枚を押さえ、その後『ポカホンタス』『ノートルダムの鐘』『Newsies』あたりに広げるのが王道です。

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参考文献