Franz Waxmanの映画音楽レコード完全ガイド:おすすめ盤と聴きどころ・入手方法を徹底解説
はじめに — Franz Waxmanという作曲家
Franz Waxman(フランツ・ワックスマン、1906–1967)は、映画音楽の黄金期に活躍したドイツ出身の作曲家/指揮者です。ハリウッドに移住してからは、劇映画のドラマ性を的確に補強するオーケストレーションとドラマティックな主題作りに定評を残しました。映画スコアの名匠としてアカデミー賞を受賞した作品もあり、シネマティックな響きを求めるレコード・コレクターには魅力的なレパートリーが多く存在します。
コラムの目的と構成
以下では、レコード(LPやCD、再発盤)で楽しむべきワックスマンのおすすめ盤を、作品の魅力・聴きどころ・入手時の選び方の観点から深掘りして紹介します。実際のヴィニールの保管・再生・メンテナンス方法については扱いませんが、音質や版の選び方に関する実践的な助言は含めます。
おすすめレコード一覧(基本編)
Sunset Boulevard(『サンセット大通り』) — 代表作としての必聴盤
概要:映画の暗く皮肉なトーンを反映した劇的かつ黒い色彩のスコア。ワックスマンの映画音楽技術が結実した作品の一つです。
聴きどころ:メインタイトルの凝縮されたドラマ性、主人公(ノーマ・デズモンド)を象徴するテーマの変奏、サスペンス的な間とシネマティックなクライマックス処理。管弦楽の色彩感と映画的な「間」の使い方に注目してください。
盤の選び方:アルバムは「オリジナル・サウンドトラック(映画挿入音源)」と「再録音/コンサート・スイート」の双方が存在します。映画の場面で聴かれたそのままの効果音やダイアローグを含むオリジナル・トラックを求めるならオリジナル・サウンドトラック(あるいは拡張された“complete score”)のリマスター盤を。音楽だけ純粋に聴きたいなら、ワックスマン自身や実力ある指揮者による再録音スイートも秀逸です。
A Place in the Sun(『陽のあたる場所』) — 繊細で悲劇性の高い音楽
概要:抑制された美しさと悲劇的な陰影が同居するスコア。メロディの美しさと繊細な伴奏処理が印象的です。
聴きどころ:テーマの抒情性、クライマックスでのオーケストレーションの広がり。映画的なエモーションを大きく揺さぶる箇所が多いので、順に追って聴くことでワックスマンのドラマ構築術がよく分かります。
盤の選び方:こちらも“complete score”や再発CDでの拡張版がコレクター向き。音質の良いリマスター盤を選ぶと、弦楽のニュアンスや木管の質感がしっかり立ちます。
Bride of Frankenstein(『フランケンシュタインの花嫁』) — 初期ホラー映画の名スコア
概要:ゴシックな色彩と劇的な管弦楽表現により、ホラー映画音楽の古典として評価されるスコアです。ワックスマンのハリウッド初期の力量が見られます。
聴きどころ:低音弦や金管を使った不穏な「塊」と、突然の高音域での切れ味。場面描写のための短いモティーフの効果的な連結に注目してください。
盤の選び方:映画史的価値も高いため、オリジナル・セッション音源や近年の復刻CD(音源を可能な限り補完した拡張版)が人気です。リマスターのクオリティで印象が大きく変わるのでレビューを確認して選ぶと良いでしょう。
ワックスマン自身の指揮盤・アンソロジー(例:「Waxman Conducts Waxman」的な編集盤)
概要:映画用に書かれたスコアを作曲者自身がレコーディングして指揮した盤は、作品理解の面で非常に示唆に富みます。彼自身のテンポ感やフレージング、意図した強弱配分が直接伝わってきます。
聴きどころ:映画劇伴とコンサート譜の差異、映画的効果を除いた純音楽としての表情。ワックスマンの細やかなニュアンス表現を味わえます。
盤の選び方:オリジナルのLP復刻やCD化があるので、発売元の評判やリマスタリング情報をチェック。ブックレットに作曲者のコメントや当時の解説が付くものは資料価値も高いです。
選盤の実務アドバイス — 何を基準に買うか
- オリジナル音源 vs 再録音:映画の“そのまま”を楽しみたいならオリジナル(映画録音)/complete score。音質と演奏の洗練度を優先するなら再録音(指揮者やオーケストラの実力が反映)を検討。
- モノラルかステレオか:古い映画音源はモノラルが原音。古いモノの持つ力強さやバランス感を重視する向きもあります。ステレオ再生のリミックスは広がりが出ますが、原色を失うこともあるので注意。
- 拡張版(complete/expanded)か編集盤か:スコア全体を追いたいなら拡張版。アルバムとしてのまとまりやハイライトだけで良ければ選り抜き編集盤で十分です。
- ブックレット/解説の有無:作曲背景や録音情報、音源の出所が明記されているかは重要。特に映画音楽は編集の経緯が複雑な場合があるため、出典が明確な版を選ぶと安心です。
- 中古レコードを買うとき:盤の状態(スリーブ・ラベル・針跡)、盤面のノイズ情報、リリース年・プレス国を確認。ディスコグラフィー情報(Discogs等)で版を照合すると確実です。
音楽的特徴と聴取のポイント
- テーマ作り:ワックスマンは短いモティーフを効果的に変奏・展開してドラマを進行させます。主題の提示→変奏→クライマックスの流れを追うと構造がよく分かります。
- オーケストレーション:弦楽のレイヤリング、金管の衝撃、木管の色彩的使用が巧み。特に弦の描写は情感のレンジを決定づけます。
- 映画的時間の扱い:「間」の使い方や場面転換時の音楽的繋ぎが見事で、単にメロディが良いだけでなく映像の時間感を音で補強する手腕が光ります。
- 感情の“寸止め”表現:抑制された悲しみや緊張を音で演出するのが巧みで、ドラマの芯を直接突く瞬間が多数あります。
入手先と探し方のヒント
- 専門レーベル:Film Score Monthly、Varese Sarabande、Intrada、Naxos(クラシック寄りの再録)などは信頼できる再発・拡張盤を出すことが多いです。
- ディスコグラフィ参照:DiscogsやAllMusicで盤の版を照合。オリジナル・プレスとリイシューの違いを確認すると良いです。
- デジタル配信も検討:まずはストリーミングやダウンロードで音源を確認してから、満足できる版をアナログ/CDで探すのも効率的です。
まとめ — なぜワックスマンのレコードを集めるべきか
ワックスマンのスコアは映画史的価値と音楽的完成度の双方で魅力的です。ドラマを的確に支える主題構築、豊かなオーケストレーション、そして映画音楽的な語法の練達が、1曲1曲に凝縮されています。オリジナルのサウンドトラックから作曲者指揮の再録音、拡張スコアまで、目的に応じて版を選び、音質や解説を確認していくと、より深くワックスマンの世界を楽しめます。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
参考文献
- Franz Waxman — Wikipedia
- Franz Waxman — AllMusic
- Franz Waxman — Discogs
- Film Score Monthly(映画音楽リイシュー情報)


