Klusterのおすすめレコード徹底解説:聴きどころ・入手ポイント・版差ガイド
Kluster — おすすめレコード深掘りコラム
Kluster(クラスター/クルスター表記も見られる)は、1969年頃の西ドイツ、特にベルリン周辺の実験音楽シーンから生まれた重要なグループです。Conrad Schnitzler、Hans-Joachim Roedelius、Dieter Moebius の3人を核に、ノイズ、電子音響、即興演奏、テープ操作を大胆に取り入れた作品群は、その後のクラウトロック、アンビエント、ノイズ・ミュージックに大きな影響を与えました。本稿では、Kluster の代表作を中心に「なぜそのレコードを買うべきか」「聴きどころ」「入手時のポイント(メンバーや版の違いを含む)」を深掘りして解説します。
Kluster の代表作(おすすめレコード)
Klopfzeichen(初期盤)
概要:Kluster のデビュー作にあたるアルバム。長尺の即興的テクスチャーと実験的ノイズが前面に出た作品で、当時の地下音楽/コスミック音楽的な感性が色濃く残っています。
- 聴きどころ:アコースティック楽器やオルガン、テープ・エフェクト、声と機械音が混ざり合う密度の高いサウンド。一見ランダムに聞こえる音の配置が、反復や微細な変化によって独特の時間感を生み出します。
- おすすめのエディション:オリジナルのスワン(Schwann)盤はコレクターズアイテムですが、音質や周辺情報(ライナーノーツやアートワークの忠実さ)を重視するなら初期プレスが価値あり。日常的に聴くなら、信頼できるリマスターCD/再発盤でも十分に作品の核は伝わります(版ごとにトラック編集や曲順が異なることがあるので注意)。
- 購入チェックポイント:ジャケットの表記(バンド名の綴りやメンバー表記)、盤のマトリクス(runout)情報、インナースリーブやライナーノーツの有無などを確認しましょう。
Zwei-Osterei(代表作の一つ)
概要:デビュー後に続いたアルバムの一つで、より実験性が深化した音像を聴けます。音響の「密度」と「余白」のバランスが特徴で、初期の過激なノイズ志向と映像的な音景の間を揺れ動きます。
- 聴きどころ:場面転換のための短い音素材や断片的なインプロヴィゼーションが目立ち、部分的に微細なノイズ・テクスチャから静寂へと移行する場面が印象的です。
- おすすめの聴き方:ヘッドフォンで細部のノイズやテープヒス、アンビエント的余韻を追うと、録音当時のスタジオ実験の息遣いが感じられます。
Eruption(ライブ/未発表音源を含む諸作)
概要:Studio録音/ライブ録音の性格が交錯する録音群や、後年にまとめられた編集盤的なリリースを含め、Kluster の即興性を直接的に伝えるタイトル群です。演奏の「現場感」「混沌」としてのリアリティが魅力。
- 聴きどころ:録音状況によってはノイズや音割れ、遠近感のある収録があるため、生々しさや即興の焦燥感が強く出ます。メンバーのやり取りや反応がそのまま音像に反映される点が興味深いです。
- 入手上の注意:編集やタイトル表記が版によって異なることが多く、同名タイトルでも収録内容が違う場合があります。購入前に収録トラック/録音日時の情報を確認することをおすすめします。
聴きどころの深掘り — Kluster の音楽的特長
- テクスチャ志向:メロディよりも「音の質感」「物質感」「空間感」を重視した構成。微細なノイズや持続音がレイヤーとして組まれ、時間経過とともに変化します。
- 即興と実験:ジャズ的なソロ主体の即興ではなく、サウンド・オブジェや電子工作的な実験の積み重ねから生まれる即興性が中心。
- 機材と手法:オルガンやアコースティック楽器の加工、テープループ、コール&レスポンス的な声や効果音、物理的な打撃音などを取り込み、楽器/非楽器の境界を曖昧にします。
- 影響と系譜:後の Cluster(C表記)やRoedelius / Moebius のソロワーク、さらにはアンビエントやインダストリアル、ドローン系に大きな影響を与えました。
関連盤・拡張コレクションのおすすめ
- Conrad Schnitzler のソロ作品群:Kluster での実験をさらに推し進めた作品が多数あります。電子音響やコラージュ志向の強いアルバムは、Kluster の音世界を補完してくれます。
- Cluster(C表記)初期作品:Kluster 解散後に名前を改めた Cluster の初期作は、よりメロディやミニマルな構成が取り入れられ、Kluster 期との対照が面白いです。
- ライブ/未発表コンピレーション:複数の編集盤が存在するため、年代や録音環境を確認して選ぶと良いでしょう。
レコード購入時の実務的なポイント(保存・再生以外)
- 版の確認:オリジナル(初版)と再発盤では音源の編集やマスタリングが異なる場合があります。購入前にプレス情報や曲目/収録時間を照合しましょう。
- 情報源の活用:Discogs のリリースページや信頼できる販売店の説明は非常に有用です。出品写真でジャケット背表紙や盤面のマトリクスを確認すると版の特定が容易になります。
- 価格動向:オリジナル盤はコレクターズアイテム化していることがあり価格差が大きいです。まずはストリーミングや手に入りやすい再発で作品を掴んでから、コレクターズアイテムを狙うのが賢明です。
- エディション差の例:同一タイトルでも収録時間が短縮・伸長されていたり、トラック分割が異なることがあります。ライナーノーツやクレジットが再発で補填されているケースもあるので、自分が重視する要素(音質/資料性)に合わせて選びます。
聴き方の提案
- 最初は通しで全体の時間感覚を掴む:Kluster の魅力は「時間の流し方」にあります。小さなイベントの積み重ねが大きな構成を作るので、途中で切らずに一気に聴くのがおすすめです。
- 細部はヘッドフォンで:微細なテープノイズや歪み、左右の定位の差など、細部の面白さはヘッドフォンで聴くと明確になります。
- 他作との比較聴取:Cluster(C)期やSchnitzler のソロ作品と並べて聴くと、Kluster の「過激さ」や「即興性」が相対化され、理解が深まります。
まとめ
Kluster は、音楽の「なにを音とみなすか」を根本から問い直すようなグループであり、彼らのレコードは単に聴くための音源ではなく「実験の記録」です。オリジナル盤はコレクター的価値も高い一方で、再発盤や良質なデジタルリマスターでも作品の核心は十分に味わえます。まずは代表作を通しで聴いて、気に入ったら関連ソロ作やCluster期の作品へと掘り下げていくのが良い流れです。
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参考文献
- Kluster - Wikipedia(英語)
- Kluster - Discogs(ディスコグラフィ/プレス情報確認に便利)
- Kluster - AllMusic(概要/レビュー)
- Conrad Schnitzler 関連情報(Brainwashed)


