White Noise の究極ガイド:An Electric Storm を中心に拡張盤・再発盤の聴きどころと購入ポイントを解説
はじめに — どの「White Noise」かを明示しておく
本稿では、1960年代後半にイギリスで結成されたエレクトロニック/実験音楽プロジェクト「White Noise」(主にデイヴィッド・ヴォーハウス=David Vorhaus、デリア・ダービッシャー=Delia Derbyshire、ブライアン・ホッジソン=Brian Hodgsonらによるもの)を対象に、聴く価値の高いレコードを中心に深掘りして解説します。彼らの代表作や再発盤、入手時のチェックポイント、楽曲・音響上の聴きどころを紹介します。
White Noiseとは(簡潔に)
White Noiseは、電子音響とポップ/ロックの要素を独自に融合させた先駆的なプロジェクトです。BBC Radiophonic Workshopでの経験を持つデリア・ダービッシャーらのコラボレーションにより、テープ操作・コンクレート的な手法、初期のシンセサイザー的サウンドをポップな構成に落とし込んだ作品を残しました。そのためロック/エレクトロニカ/実験音楽の交差点に位置する音像が特徴です。
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An Electric Storm(代表作)
概要:White Noiseを語る上で最重要作。ポップなメロディと電子音響の融合が見事で、先進的な音響実験がアルバム単位で密に詰め込まれています。
聴きどころ:
- ポップな曲構成に隠されたテープ・ループやノイズ、フェイズ処理などの実験的手法。
- デリア・ダービッシャーらによる独特のサウンドデザイン。メロディの「親しみやすさ」と「不気味さ」が同居する点。
- アルバム全体の配置(楽曲の流れ)によって生まれるコントラストとドラマ性。
どの盤を狙うか:オリジナル盤はコレクター需要が高いですが、リマスター/拡張盤は未発表テイクやデモ、ライナーノーツが充実していることが多く、初めて聴くなら拡張リイシューを推奨します。マスターの違いで音像の鮮度や低域の厚みが変わるため、リマスターのクレジットをチェックしましょう。
拡張盤・アンソロジー(An Electric Storm の再発/ボーナス収録盤)
概要:近年はオリジナル・アルバムにデモ、シングル曲、未発表トラックを加えた拡張版やコンピレーションが複数出ています。制作過程が分かるデモ、スタジオ断片、別テイクなどが収められるため、作品理解が深まります。
聴きどころ:
- デモやアウトテイクを通して、楽曲がどのように構築されたか(テープ編集/音源の重ね方)が見える。
- 同時代のスタジオ技術やサウンド・デザインの変遷を追える資料的価値。
どの盤を狙うか:ボーナス曲のトラックリストとリマスタリングの担当(マスタリングエンジニア)を確認。オリジナルの空気感を尊重するリマスターもあれば、音像を現代基準に整えたものもあるので好みに合わせて選びましょう。
シングル/レア音源集(初期シングル、BBC録音、未発表集)
概要:アルバム以外にもシングルやスタジオ・テイク、ラジオ用に録られた短い作品などが散逸しています。これらをまとめた編集盤やディスクユニオン等で入手できるEPが、コアなファンにとっては貴重です。
聴きどころ:
- 短編的な音像実験やポップ寄りの短曲に、重要なアイディアが詰まっていることがある。
- アルバムでは編集された断片が完全版で聴ける場合がある。
どの盤を狙うか:リイシュー/編集盤ならトラック出典(どのシングル、どのセッションか)が明示されているものを選ぶと、コレクションとして価値が高まります。
後年の再録・コラボレーション作品(興味があれば)
概要:White Noise名義での後年作品や再録、あるいはメンバーの個別プロジェクトを通じて、当時の実験精神が別の形で続いています。純粋な初期の音像とは異なりますが、発展系として面白いものもあります。
聴きどころ:初期作に比べて楽器編成や制作手法が変化している点。電子音響の表現が時間と共にどう変わったかを比較する楽しみがあります。
購入時・選定時の注意点(レコード本体の再生・保管以外)
- 版の明記を確認する:オリジナル盤と再発盤ではミックスやマスターが異なることがある。ライナーノーツやクレジット(リマスタリング、エンジニア名)をチェック。
- 収録トラックの差分を確認する:拡張盤にはデモや別テイクが追加される一方、オリジナルLPの曲順や曲間の「空気感」は再現されないこともある。
- ジャケットやインナーの復刻具合:オリジナルのアートワークや解説が重要なら、見開き/ブックレット付きリイシューを探すと良い。
- リイシューの製作背景を調べる:権利関係から一部トラックがカットされている盤や、オリジナル・テープからの新規マスターを使った盤など、内容はまちまちです。
楽曲ごとの注目ポイント(代表曲を例に)
- ポップなメロディに隠された実験性:キャッチーなメロディの背後で、テープ操作・エフェクト・合成音が時間軸で重層的に作用している点。
- 音像の空間性:初期電子音楽ならではの位相処理やエコー処理が、曲の「距離感」を作り出しているところ。
- 声の扱い方:ボーカルを単純に前に出すのではなく、音色変換や重ねにより物語性・幻想性を与えている点。
まとめ — どんなリスナーにおすすめか
An Electric Storm(とその関連リイシュー)は、電子音楽の歴史に興味があるリスナー、ポップと実験音楽の接点を味わいたい人、レトロなテープ/アナログ的処理が生む独特の「不穏さ」や「美しさ」を楽しみたい人に特に刺さります。初めてなら拡張リイシューで全体像を掴み、気に入ったらオリジナル盤や限定プレスを探すのが良い流れです。
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参考文献
- White Noise (band) — Wikipedia
- An Electric Storm — Wikipedia
- AllMusic: White Noise 検索結果
- Discogs 検索:White Noise / An Electric Storm


