ボビー・ティモンズ徹底解説|ソウル・ジャズを象徴する歌うようなピアノと名盤・聴き方ガイド
イントロダクション — ボビー・ティモンズという存在
ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)は、ハード・バップ/ソウル・ジャズの流れを象徴するピアニスト兼作曲家です。ゴスペルやブルースの感覚をジャズに直結させた“歌うような”フレーズ、強いリズム感とブロック・コードを駆使した独特のタッチで、多くの名曲を残しました。ここでは、彼の魅力がよくわかるおすすめレコードを厳選して紹介し、それぞれの聴きどころや背景、聴き方のポイントを深掘りします。
ボビー・ティモンズの音楽的特徴(短評)
ゴスペル/ブラック教会の和声感とリズムを取り込んだメロディ志向の作曲。
右手で歌うようなリリカルなライン、左手でリズムを刻む“vamp”やブロック・コードを多用。
ソウル・ジャズ(いわゆる“funky jazz”)の代表的音楽語法を確立し、特にコンボやオルガン・トリオとの相性が良い。
代表作の多くは“短いフレーズの反復→ソロ→コール&レスポンス”という構成で、聴きやすく即効性のある魅力を持つ。
おすすめレコード(リーダー作と参加作を厳選)
Art Blakey & The Jazz Messengers – Moanin'(参加作)
まずはこれを聴かずにティモンズを語ることはできません。タイトル曲「Moanin'」はティモンズ作で、彼のゴスペル感覚がストレートに表れた名曲です。ブレイキーの強力なリズムに乗せて展開する、シンプルかつ強烈なテーマは“ソウル・ジャズ”の原型。ティモンズのピアノはテーマ提示とソロの両方で印象的な役割を果たしており、彼の作風をいちばん端的に知ることができます。聴きどころ:イントロ〜テーマの“短いフレーズ”が持つ引力、ピアノの装飾的フレーズとドラミングの掛け合い。
This Here Is Bobby Timmons(リーダー作)
リーダー作としてのティモンズの個性がもっともよく出ている一枚。自身の代表曲群や、彼が好んで取り上げるスタンダード曲の解釈を通して、メロディへの愛着とゴスペル由来の語法が際立ちます。コンボ・アンサンブルにおけるピアノの役割(伴奏とメロディ提示の往還)をじっくりと味わえます。聴きどころ:オリジナル曲とスタンダードの対比、ティモンズの編曲感覚、ソロの語法。
Soul Time(リーダー作)
ティモンズの“よりファンキーでダイナミック”な側面を堪能できる作品。リズムの押し引き、ブルージーなフレーズ、そしてグルーヴを生む短いモチーフの繰り返しが生む陶酔感が魅力です。ピアノ自体が“帯域の太い楽器”としてビートを運ぶ様子がよくわかります。聴きどころ:リズムとフレーズの反復(vamp)的手法、リズム隊との相互作用。
Dat Dere(代表曲を含むコンピやライブ録音)
「Dat Dere」はティモンズの代表的なミドル・テンポの作品で、子守唄的な親しみやすさと、どこか物憂げなメロディが同居します。スタジオ録音、ライブ録音ともに各演奏のアプローチが異なるため、複数バージョンを聴き比べると彼の即興的な引き出しがよくわかります。聴きどころ:テーマの提示方法、即興でのメロディの展開、サックスやトランペットなど他楽器との会話。
その他の注目参加作(Cannonball Adderleyなど)
ティモンズはアート・ブレイキー以外にも多くのリーダー作や参加作で存在感を示しました。キャノンボール・アダレイらとの共演作では、よりリリカルでモダンな側面が出ることがあり、彼の多面性を知るうえで貴重です。聴きどころ:編成やリーダーによって変わるティモンズの役割(支え役/ソロイスト)を比較する。
各アルバムの聴き方ガイド(深掘りポイント)
テーマをまず歌うように聴く:ティモンズは“歌う”ことを重視する作曲家です。テーマの歌わせ方に注意を向けると、彼の美学がわかりやすくなります。
短いモチーフの変化を追う:ソロ部分でのフレーズの反復・変形が彼の語法。小さなモチーフがどう発展するかを丁寧に追ってください。
リズム隊との対話に注目:特にブレイキーやオルガンとの共演では、ピアノの役割が流動的になります。ベースやドラムがどこでスペースを作るかを感じると、耳が開きます。
複数バージョンの比較:同じ曲でもスタジオ/ライブ、別編成で解釈が変わります。代表曲は複数録音を聴き比べると学びが深いです。
なぜ今聴くべきか(現代的価値)
ティモンズの音楽は即効性のあるメロディとリズムでリスナーを掴むため、ジャズ入門者にも受け入れられやすい一方で、即興の細部やハーモニーの処理には学ぶべき点が多く、演奏者にとっても参考価値が高いです。ソウル/ゴスペルの要素をジャズに自然に落とし込む手法は、現代のクロスオーバー志向の音楽にも通じる普遍性があります。
おすすめの聴き進め方(順序)
まずは「Moanin'」のような代表曲でティモンズの作曲センスとピアノ音像を掴む。
次にリーダー作(This Here Is Bobby Timmons / Soul Time など)で、より個人的な表現やアレンジ感覚を追う。
最後に複数の参加作を聴いて、編成や共演者による変化(支え役と前面に出る時の違い)を比較する。
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参考文献
- Bobby Timmons — Wikipedia(英語)
- Moanin' — Wikipedia(アルバム解説)
- AllMusic — Bobby Timmons(検索結果)
- Discogs — Bobby Timmons(ディスコグラフィ検索)
- Blue Note — Art Blakey: Moanin'(Blue Note公式)


